長い連休。年度始めで疲れた心身によい休養を与えられていますでしょうか。家でダラっと配信を見るのもいい選択ですね。今回は「Apple TV+ 」からおススメの「休み明けに元気になれる作品」をご紹介します。いつもの毎日が始まる前に、一気見でどうぞ!
SF歴史ifが描く“あったかもしれない未来”『フォー・オール・マンカインド』
『フォー・オール・マンカインド』シーズン1・2
<スタッフ>
製作総指揮:ロナルド・D・ムーア/ベン・ネディヴィ/マット・ウォルパート
<出演者>
エドワード・ボールドウィン:ヨエル・キナマン
ゴードー・スティーブンス:マイケル・ドーマン
マーゴ・ マディソン:レン・シュミット
トレイシー・スティーブンス:サラ・ジョーンズ
ニール・アームストロング:ジェフ・ブランソン
ヴェルナー・フォン・ブラウン:コルム・フィオール
1969年、アメリカ。テレビに流れる月着陸船からの映像を、固唾を飲んで見守る人々。しかしニュースを読む声は硬く、観衆には熱狂のかけらもない。場面がNASAの管制室へ移ると、そこは閑散とし、コマンダーはテレビ中継を見ている…。
世界で初めて月面に降り立ったのは、ソビエト連邦の宇宙飛行士だった。そんな「SF歴史if」の世界を描くのが『フォー・オール・マンカインド』です。遅れをとったアメリカは政治的思惑から計画を加速させ、宇宙開発競争が激化。作中には実在した宇宙飛行士・科学者・政治家が多数登場し、程よい現実味が並走します。しかし開発の方向性はどんどん史実を離れ、私たちの知る'70年代とは違う歴史が出来上がっていくのです。
自分の夢を描きながら、組織の都合や政治的思惑に阻まれたり、時に利用されたり。それでも登場人物たちは、それぞに強さや弱さを持ちながら宇宙を目指します。その結果辿り着いた'80年代の世界とは…。いま、自分の決断はどんな未来を選び取っているのでしょうか。明日の自分に、勇気ある決断を促してくれる作品です。
6月にはシーズン3の配信が決定していますので、追いつくなら今がチャンスです。
振り幅の広い人間模様で心をストレッチ『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』シーズン1・2
<スタッフ>
製作総指揮:Jeff Ingold/Liza Katzer/Bill Lawrence/ジェイソン・サダイキス
<出演者>
テッド・ラッソ:ジェイソン・サダイキス
レベッカ:ハンナ・ワディンガム
ビアード:ブレンダン・ハント
ロイ:ブレット・ゴールドスタイン
ジェイミー:フィル・ダンスター
キーリー:ジュノー・テンプル
以前もご紹介した作品ですが、昨年配信されたシーズン2でさらに評価が高まっているので改めて。キービジュアルから弱小チームの成長物語といった印象を持つ方もいらっしゃると思いますが、いわゆる感動熱血スポーツものではありません。「仲間」とか「絆」みたいなノリが苦手な方も安心してご覧いただけます。
英米の“フットボール違い”がある意味ネタになっているように、登場人物たちの間には文化の違い、男女の違い、出自の違いなど、いろいろな違いがあり、ある時は「ネタ」、ある時は「壁」となって、誰もがぶつかり合ったり諦めたりうまくかわしたりしています。わかっていても「みんな仲良く」とはいかないのが大人の世界。それをキレイごとで収めず、しかも絶妙なところに着地させていくのがこの作品の面白さです。
シーズン2ではレギュラーキャラクターたちが存在感を増し、新キャラクターも登場することで、サイドストーリーがどんどん分厚く。一方で主人公のテッドやレベッカは、自身が抱える問題に改めて向き合い、自分なりに答えを出していきます。そして一つレベルが上がった…と思ったところで大きな事件が…。シーズン3の配信が待たれます。
1話約30分しかないのがびっくりな濃密さは相変わらず。セリフや演出の隅々にまで人物像が滲み出る非常に丁寧な描写では、現実の人間関係に疲れた時の心のストレッチになるはずです。
伝説的名選手の“マジック”は過去形じゃない『マジックと呼ばれる男』
『マジックと呼ばれる男』
<スタッフ>
監督:リック・ファミュイワ
製作総指揮:ジョーダン・ファッジ/ジェレミー・アレン/ブライン・ムーザー
<出演者>
マジック・ジョンソン
クッキー・ジョンソン
ラリー・バード
バラク・オバマ
スヌープ・ドッグ
マイケル・ジョーダン
カリーム・アブドゥル・ジャバー
Netflixがマイケル・ジョーダンなら、Apple TV+ はマジック・ジョンソンでスポーツドキュメンタリーを加速しに来ました。バスケに詳しくない人でも、全米プロバスケットボールリーグ(NBA)の伝説的選手、マジック・ジョンソンの名前には聞き覚えがあるのではないでしょうか。
スポーツドキュメンタリーはむき出しの取材力と編集力が見える作品です。本人はもちろん、元チームメイトやライバル選手、当時の記者たち、著名人、元大統領まで登場し、発言を緻密に積み重ねて過去の活躍を浮き彫りにしていく様子はお見事。映像のつなぎやBGMの使い方も効果的で、バスケを知らなくても当時の熱狂を感じることができるでしょう。
そんな熱狂の中、話が大転換するのが第3話。当時を知らない方のためにネタバレは避けますが、日本でも報道された大きな出来事がありました。当時何が起きていたのか、その後の本人の活動や社会の動きが、プレーヤー時代と同じように丁寧に描かれます。再びプレーで世界を沸かせる機会もあったのですが、最終的に完全に引退。注目はその後です。
バスケに注いでいた情熱をビジネスに向けようとした時、マジック・ジョンソンは何を目指したのでしょうか。
アメリカの社会問題から彼自身の家族の問題までを正面から語り尽くし、結果的に非常にメッセージ性の高いドキュメンタリーになっています。Apple TV+らしい作品というか、さすが、単にNetflixに対抗するだけではありませんでした。
優れたアスリートから学ぶべきものは数多くあり、アスリートの枠を越え、人として魅力あふれる人からもまた然り。自分のやるべきことに取り組み、何かを変えたり、つくり出したりしていく人の姿は、心にエンジンをかけてくれるものです。
この作品を視聴するには
- 配信サービス:Apple TV+
- 視聴方法:iPhone、iPad、Macなどの「Apple TV」アプリ、スマートテレビ、Amazon Fire TV、Chromecast with Google TV、PlayStation、Xbox、PCブラウザ(https://tv.apple.com/jp)
- 料金:月額600円(ファミリー共有可能)
Apple TV+とは?
Appleが提供する、完全オリジナル作品だけのサブスクリプション型映像配信サービス。ドラマ、長編作品、ドキュメンタリー、アニメなど、毎月新作が提供されている。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞などの映像作品賞ノミネート・受賞作も多数。
(画像提供:Apple TV+)