JR東日本高崎支社・盛岡支社・新潟支社は27日、各支社が保有する蒸気機関車3機による汽笛一斉吹鳴を実施し、YouTubeのJR東日本公式チャンネルでライブ配信を行った。ぐんま車両センターにて、C61形20号機の汽笛吹鳴に伴う報道公開も行われた。
蒸気機関車3機による汽笛一斉吹鳴は、JRグループが4月1日から実施している「鉄道開業150年キャンペーン」を盛り上げるべく、企画された。JR東日本高崎支社のC61形20号機(ぐんま車両センター)、JR東日本盛岡支社のC58形239号機(盛岡車両センター)、JR東日本新潟支社のC57形180号機(新津運輸区)を使用し、普段は見ることのできない蒸気機関車3機の「共演」が実現した。
ぐんま車両センターの報道公開では、C61形20号機の汽笛吹鳴に先立ち、SL検修庫での検修作業も公開された。1949(昭和24)年、三菱重工により製造されたC61形20号機は、おもに東北地方で運行され、1973(昭和48)年に廃車。華蔵寺公園遊園地(群馬県伊勢崎市)で保存・展示された。2011(平成23)年の「群馬デスティネーションキャンペーン」を契機として復元工事が行われ、高崎車両センター高崎支所(現・ぐんま車両センター)所属として復活。現在、おもに上越線高崎~水上間の「SLぐんま みなかみ」、信越本線高崎~横川間の「SLぐんま よこかわ」で活躍している。
打検ハンマーを用い、ボルト等に緩みがないか確認する打音検査、金属同士が接触する部分の摩耗と温度上昇を防ぐために行う注油作業に続き、蒸気の力でブレーキ等に使用する圧縮空気を作り出す作業(空気圧縮機動作)が行われる。その後、車両移動機(アント)に連結されたC61形20号機は、転車台に向けてゆっくりと移動。車両移動機を切り離し、転車台の上で時計回りに回転した。C61形20号機を含む蒸気機関車3機の汽笛吹鳴は正午に合わせて行われ、カウントダウンの後、白煙とともに汽笛の音が鳴り響いた。
汽笛一斉吹鳴を終え、インタビューに応じたぐんま車両センター所長の栗原芳勝氏は、「これまでコロナ禍でSLが活躍する機会もあまりありませんでしたが、今年度は鉄道開業150年の記念の年であり、SL運転も復活します。景気づけの意味も込め、3カ所合同でのイベントを立ち上げました。YouTubeの配信をご覧いただいた方々も、SLの凄さや迫力を多少なりともご理解いただけたのでは」とコメント。「やはり生で見たほうが迫力も違いますので、ぜひ現地まで足を運んでいただければと思います」と付け加えた。
報道公開が行われたぐんま車両センターでは、C61形20号機とともにD51形498号機の姿もあったが、担当者によれば、「D51のほうは中間検査を実施しており、火が入れられない状態のため、今回はC61を選びました」とのことだった。ゴールデンウィーク期間の「SLぐんま みなかみ」「SLぐんま よこかわ」もC61形20号機の牽引で運行を予定している。
なお、JR東日本高崎支社・盛岡支社・新潟支社は、各エリアでのSL列車の運行に際し、車内やゆかりのある駅を対象としたデジタル形式の「SLスタンプラリー」を4月29日から9月30日まで実施すると発表している。