女流タイトル戦の最長手数を更新
里見香奈女流王位へ西山朋佳白玲・女王が挑戦する第33期女流王位戦五番勝負(主催・新聞三社連合)の第1局が4月26日に兵庫県姫路市「夢乃井」で行われました。結果は239手で西山白玲・女王が勝ち、開幕戦を制しました。
本局は振り駒の結果、西山白玲・女王の先手番から相振り飛車に進みます。最初に駒がぶつかったのは29手目ですが、ここから長い中盤が続きました。形勢の均衡は取れたままで、お互いがどこに戦機を求めるか難しい勝負です。指し手は100手、150手とどんどん進んでいきますが、双方の玉はまだ堅いままで、どこで決着するのか全く想像もつかない展開となりました。
ついに迎えた200手目、里見女流王位が打った△2八金はただ捨てですが、▲同玉と取らせることで先手玉を危険地帯に呼ぶ意味があります。とはいえ以下の西山白玲・女王もうまく立ち回って、決定打を許しません。そして220手目を迎え、それまでの女流タイトル戦における最長手数だった第7期女流王位戦第3局の記録が更新されました。この次に指された221手目の▲3四歩が、先手玉の脱出口を広げる一着です。さらに▲3三歩成とできたと金が、入玉のための大きな駒になりました。最後は先手の入玉が確定して、大熱戦に終止符が打たれました。後手玉もまだ詰む形ではありませんが、相入玉が実現しても点数勝負は先手に分があります。
今期が女流王位戦初参加となる西山白玲・女王は、予選・紅白リーグ・挑戦者決定戦を無敗で駆け上がってきましたが、この勝利で女流王位戦の無敗記録が継続されました。とはいえ里見女流王位も黙ってはいないでしょう。女流王位戦と並行して行われているマイナビ女子オープンでは1勝1敗と両者譲らずです。女流棋界トップの十番勝負から、ますます目が離せません。
相崎修司(将棋情報局)