レタスはそのみずみずしさゆえに、「栄養はない」と思われがち。しかしレタスはカリウムやビタミンC、β-カロテン、食物繊維といった栄養素をバランスよく含む野菜です。
本記事ではレタスの栄養素と効能をくわしく解説します。また、レタスとキャベツの栄養の比較や、おいしさを長持ちさせる保存方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
レタスとは
レタスはキク科アキノノゲシ属のなかでも「チシャ」の分類に入ります。「チシャ」とはレタスの和名です。レタスの芯を切ると断面から白い汁が出ることから「乳草」と呼ばれていたことが由来とされます。
チシャには一般的に良く知られている玉レタスやサニーレタス、サラダ菜など色々な種類がありますが、総称してレタスまたはチシャと呼ばれます。原産国は地中海沿岸、西アジアです。
レタスの主な産地は長野県、茨城県、群馬県など。レタスの旬は初夏のころとされていますが、夏は長野県などの冷涼地、冬は四国や九州などの比較的暖かい産地などで栽培され、一年を通じて手に入れることができる野菜です。
レタスの種類
レタスは種類ごとに、以下のように分けることができます。
・結球した形のレタス(玉チシャ)
店頭でよく見かける、丸い形のものが玉チシャにあたります。
・葉が巻いていない立ちチシャ
葉を巻かずにまっすぐ上へと生育します。シーザーサラダに用いられるロメインレタスが立ちチシャの代表例です。
・非結球リーフレタス
サラダに用いられるサニーレタスや、グリーンリーフなどがあります。
・茎から葉を取るカッティングレタス(掻きチシャ)
韓国焼き肉でおなじみの、包み菜として知られるチマ・サンチュなどがこの種類です。日本では、葉の部分を掻いて売られています。
レタスの栄養素と効能
ここからは、レタスの栄養素と効能を紹介していきます。後ほど、サニーレタスやキャベツの栄養素も紹介し、栄養価の違いを見てみます。
レタスの栄養素 (生、土壌栽培、可食部100g当たり)
エネルギー11kcal
・水分95.9g
・たんぱく質0.6g
・脂質0.1g
・炭水化物2.8g
・カリウム200㎎
・カルシウム19mg
・β-カロテン240μg
・ビタミンC5㎎
・食物繊維1.1g
上記の表をご覧いただくとわかるように、レタスは95%近くが水分です。そのためカロリーも低めです。続いて、レタスはどのように体にいいのか、栄養素の効能を見ていきましょう。
【カリウム】高血圧やむくみを予防する
レタスに含まれるミネラルのひとつ、カリウムは、体の余分なナトリウムや水分を排出して、血圧を安定させて高血圧を防いだり、むくみを予防したりする効能があります。
【β-カロテン】アンチエイジング
β-カロテンには、老化の原因とされる活性酸素を取り除く抗酸化作用があるとされています。動脈硬化の予防にも役立ちます。β-カロテンは体に入るとビタミンAとなり、発育に関わったり、皮膚や粘膜を健やかに保つことで免疫力向上につなげたりする効能があります。
【ビタミンC】肌を健やかに保つ
ビタミンCはコラーゲンの生成を助けて、健やかな肌につなげる栄養素です。抗酸化の作用もあり、免疫力アップにつなげます。
【食物繊維】整腸作用で便秘の予防に
食物繊維は、水に溶けてゲル化する水溶性のものと、水を含んで膨らむ不溶性のものと2種類あります。レタスには不溶性食物繊維が含まれており、腸に働きかけて便を排出しやすい状態にします。
レタスとサニーレタスの栄養を比較
「レタスとサニーレタス、どっちを選ぼう?」と迷う方もいるでしょう。ここではレタスの仲間、サニーレタスの栄養素について紹介します。
サニーレタスの栄養素 (生、土壌栽培、可食部100g当たり)
エネルギー15kcal
・水分94.1g
・たんぱく質1.2g
・脂質0.2g
・炭水化物3.2g
・カリウム410㎎
・カルシウム66㎎
・β-カロテン2000μg
・ビタミンC17㎎g
・食物繊維2.0g
レタスとサニーレタス、どちらが栄養がある?
上記の表を見る限り、サニーレタスもそのほとんどは水分です。ただし、レタスに比べるとカリウムはレタスの2倍、β-カロテンは約8倍、ビタミンCは約3倍の含有量と豊富。食物繊維もレタスより多く含んでいることが分かります。つまり、レタスとサニーレタスでは、サニーレタスのほうが栄養価が高いといえるでしょう。
レタスとキャベツの栄養を比較
「キャベツとレタス、どちらが栄養ある?」と疑問に思う方に向けて、キャベツの栄養素も比較してみます。
キャベツの栄養素 (生、可食部100g当たり)
エネルギー21kcal
・水分92.7g
・たんぱく質1.3g
・脂質0.2g
・炭水化物5.2g
・カリウム200㎎
・カルシウム43㎎
・β-カロテン49μg
・ビタミンC41㎎
・食物繊維1.8g
キャベツとレタス、どちらが栄養がある?
レタスとキャベツの栄養素、単純にデータの数値で比較すると、キャベツのビタミンCはレタスの約8倍含まれていることが分かります。そしてキャベツと言えば、消化作用のある「キャベジン」という栄養成分が有名です。キャベジンには消化を促すなど胃腸の調子を整える効能があります。さらにキャベツにはうまみ成分ともされるアミノ酸も含まれています。
レタスの選び方
レタスを選ぶときに注目したいポイントを紹介します。
・切り口が白い
レタスの裏側にある切り口が、できるかぎり白いものを選びます。
・葉に張りがあり、ふわっと巻いてある
レタスはギュッと葉がまかれて重みのあるものは、苦みが出ている可能性があります。ふわっと軽いもののほうがおすすめです。
・サニーレタスは先端が縮れているもの
先端が縮れているもののほうが、十分に栄養がいきわっているとも言われます。また、見た目や食感もよくなります。
レタスの栄養素を活かす調理方法
次に、レタスの調理方法を紹介します。サラダにすることが多いレタスは調理方法もシンプルですが、できるかぎり栄養素を効率よくとるためのコツがあります。
■まず、芯をくり抜く
レタスは水分がとても多く、葉も薄くてやわらかいというデリケートな野菜です。芯の部分から傷みやすいので、まず芯をくり抜くとよいでしょう。レタスを逆さにして芯の部分を持ち、くるくると回転させるとくり抜くことができます。
■包丁を使わずに手でちぎる
芯をとったレタスの葉を1枚ずつはがし、水でさっと洗います。包丁で切ると切り口が茶色く変色することがあるので、手でちぎるのがおすすめです。繊維に沿ってちぎることができるので、食感や味しみもよくなります。
■冷水に浸すのはちぎる前。短時間にとどめる
レタスはまだ新鮮なうちは、冷水にさらすとシャキッとした食感になります。ただし、水溶性のビタミンやミネラルは流出してしまうことに。少しでも流出を抑えるために、さらすのは葉をちぎる前に、そして時間も短めにしましょう。1分程度でもシャキッと仕上がります。
■加熱すれば脂溶性ビタミンの吸収率がアップ
生で食べることの多いレタスですが、レタスに含まれるβ-カロテンなどは油に溶け出るため、吸収されやすい状態になります。加熱し過ぎないよう、チャーハンやスープの仕上げに加えるのもおすすめです。
サラダなど生で食べる場合は、油使用のドレッシングをかけるとよいでしょう。レタス料理に使うツナ缶は、オイルごと使うというのも手です。
レタスの保存方法
レタスは95%近くが水分のため、野菜の中でも特に傷みやすいといえます。乾燥すると葉の水分が失われてしおれ、反対に湿気が多いと傷んでとろみが出てしまいます。では、レタスのおいしさを長持ちさせるには、どのように保存すればいいのでしょうか。
・芯を乾燥させない
レタスは芯の部分から水分が抜けていくといわれます。芯の切り口に小麦粉を薄く付けておけば、乾燥しづらくなります。
・キッチンペーパーで包んで、保存袋に
レタス全体をキッチンペーパーで包んでから保存用のポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に入れます。この時、レタスが畑で育っていたころのように、芯を下にして保存しましょう。
・冷凍保存も可能
レタスをちぎり、水気をとって、冷凍保存することもできます。ただし、食感は失われてしまうので、サラダではなくスープや炒め物など、加熱して使う料理が適しています。一度冷凍すると、味しみはよくなります。
レタスの主な栄養素はカリウム、β-カロテン、食物繊維など
レタスには、食物繊維に加えて、カリウム、β-カロテンといったミネラルやビタミンCがバランスよく含まれています。栄養素の数値だけ見ると、サニーレタスやキャベツのほうが栄養価が高いですが、レタスならではのやわらかく、シャキッとした食感もおいしいですよね。
レタスは芯の部分から傷みやすいので、保存の際は芯が乾燥しないようにするのが大切。小麦粉を薄く付けるという方法もありますが、レタス全体をキッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れるという方法もあります。
レタスの栄養素には脂溶性のものもあるので、サラダにはオイル入りのドレッシングを使う、油と炒める、など調理を工夫すれば、吸収されやすくなりますよ。