氏神神社はその名の通り、氏神(うじがみ)をまつる神社のことです。氏神は地域に住む人々を守ってくれ、特にお宮参りや七五三といった人生の節目のときにお参りするといいとされています。
日頃から氏神様を大切にしておくと、いざというとき守ってくれるかもしれません。この記事では、氏神神社の基本的な意味や自分の氏神神社の調べ方、氏神神社でできることなどについてまとめています。
氏神神社とは
まずは氏神神社の基本情報をまとめました。氏神神社の意味、普段の生活にどのように関わってくるのかを知っておきましょう。
氏神の意味
氏神神社は氏神をまつるのが役割です。氏神とは、現在では「その土地に住む者を守る神様」とされていますが、本来は血縁で結ばれた同じ氏姓を持つ一族、つまり氏族の間でまつる神様のことでした。
かつては同じ氏族同士が一つの土地に集まって暮らすのが一般的だったため、集団で一つの神様をまつっていたようです。しかし時代の流れとともに人の行き来が増え、血縁よりも地縁的な意味合いが強くなっていきました。
そのため現在では、氏神は住む土地を守る神様を意味し、必ずしも同じ氏族の氏神にこだわる必要はありません。
氏神と氏子
氏神をまつる人々を氏子(うじこ)といいます。前述したような昔の風習でいえば、同じ氏神を信仰する氏族の集団を氏子と呼びました。最近では「氏子区域(うじこくいき)」が氏神神社によって決められており、その区域に住む人々を、その氏神の氏子と定義しているようです。
氏神と産土神の違い
氏神と産土神(うぶすながみ)はよく混同されますが、本来は別々の神様です。同じ氏族・氏子を守る氏神と、生まれた土地とそこで生まれた人の一生を守る産土神という違いがありました。
前述のように、氏神において血縁より地縁が時代とともに重要視されるようになり、さらに国や王城などの場所を守る鎮守神と合わさって、この三者は同じ神様としてまつられることが多くなっていきました。
氏神神社と崇敬神社の違い
地縁や血縁によって自動的に決まる氏神神社と異なり、個人の信仰により自分で好きな神社を選ぶことができるのが崇敬神社(すうけいじんじゃ)です。
崇敬神社は、氏神神社とあわせて複数信仰してもいいとされています。また崇敬神社の中には決まった氏子がいない神社もあり、その神社を信仰する崇敬者によって神社の活動が支えられているというケースもあります。
自分の氏神神社の調べ方
その土地に暮らす以上、自分の氏神神社を知っておいて損はないでしょう。氏神神社の調べ方についてまとめました。
神社庁に問い合わせる
最も確実な方法が、神社庁に問い合わせることです。神社庁は都道府県ごとに神社に関わる業務を行う場所で、神社本庁のホームページには日本全国の神社庁の連絡先がまとめられています。自分が住む地域の神社庁に直接問い合わせてみるといいでしょう。
インターネットで調べる
現在では多くの神社がホームページを持っています。自分が住む地域の氏神をインターネットで検索して、調べてみるのもいいでしょう。
地図で調べる
地図で自分が住む場所の近くにある神社を調べてみるという方法もあります。ただし家の近くに神社があったとしても、自分の家はその神社の氏子区域ではない可能性もあります。Googleマップなどを使えば、そのまま神社の公式ホームページや連絡先を確認することもできるので、めぼしい神社を見つけたら直接連絡して確認するといいでしょう。
近隣住民に聞く
近くに住んでいる人に氏神神社がどこか聞いてみるのもおすすめです。特にその場所に長く住む人や、個人商店の店主など土地勘がある人に聞いてみるといいでしょう。ただしその場合も氏子区域が異なる可能性があるので、最終的には神社に確認を取ることが大切です。
氏神神社でできること
氏神神社でできる代表なことをまとめてみました。
お参り
当然ですが、神社は神様をおまつりし、まつってある神様にお参りするためにあります。初詣のほか、お宮参りや七五三といった人生の節目にお参りするのもいいでしょう。地域や神社によっては、お宮参りをすることで初めてその神社の氏子になれる、とするところもあるようです。
また、合格祈願や交通安全祈願などで有名な神社にお参りすることもあるかもしれませんが、いつも自分を見守ってくれている氏神様にお参りしておくのもいいでしょう。
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お神札(おふだ)やお守りの取り換え
神棚におまつりするお神札や普段使っているお守りは、一年ごとに取り換えるといいとされています。
古いお神札やお守りは、一年間お守りいただいた感謝の気持ちとともに入手した神社に納めるのがベストですが、遠方で難しい場合は、近隣の氏神神社でお焚き上げ(おたきあげ)できるかどうか確認してみましょう。
地鎮祭など建築にまつわるおまつり
新しく家を建てるときは、その土地の神様をおまつりしましょう。
具体的には工事を始める前に行う「地鎮祭」、建物の骨格ができたときに行う「上棟祭(じょうとうさい)」、建物が完成したことを神様に知らせる「竣工祭(しゅんこうさい)」などがあります。特に地鎮祭は、その土地に新しく建物を建てる際に工事の無事を祈る祭事で、耳にしたことも多いでしょう。
地鎮祭は地域によって細かな流れなどが異なりますが、大まかに3つの行事が行われます。
- 祓(はらい)の行事
- 起工の行事
- 供物の行事
近所の氏神神社に相談してみましょう。
氏神神社にまつわるQ&A
氏神神社は血縁・地縁に関する氏神をまつる神社なので、自分の住む場所が変わったり親族に何かしらの変化があったりしたときはあいさつやお祓いに行くこともあります。代表的なものをまとめました。
引っ越ししたとき
かつては一族の守り神を氏神としていたため、引っ越しても氏神や氏神神社は変わらないとされていました。しかし地縁が重要視されるようになった昨今では、引っ越して場所が変わってしまうと頻繁にお参りすることができなくなることもあり、新しい地域の氏神様をおまつりすることが多いようです。
引っ越しの際は入居前に新しい氏神神社にお願いして、「家祓い(やはらい)」「清祓い(きよはらい)」などを行って新居を清めてもらいましょう。
神棚におまつりするお神札は新しい地域の氏神神社から受け、前の氏神神社のお神札は年末まで一緒におまつりしておきます。そしてお神札をお焚き上げしてもらうときに、前の氏神神社のお神札も一緒にお焚き上げしてもらいましょう。氏神様が変わっても、引っ越し前の氏神様への感謝を忘れずに過ごしましょうね。
会社の事務所を新設したとき
新しく会社の事務所を設けるときには、事業の繁栄と事務所の安全を願って、その地域の氏神神社に「清祓い」を受けるのがおすすめです。可能なら会社に神棚も設置するといいでしょう。伊勢神宮、その地域の氏神神社、自分が崇敬する崇敬神社の順でお神札をおまつりするのが一般的です。
神棚を設置する際は、氏神神社の神職に相談してお祓いをしてもらうこともできます。
身内が亡くなったとき
身内が亡くなったとき、特に信仰している宗教がなければ神道式のお葬式をしてもらうこともできます。
神道の葬儀は神葬祭(しんそうさい)といい、亡くなった方の霊を鎮めて清め、家の守り神としておまつりします。神葬祭を行うときは、氏神神社の神職に相談してみましょう。
ただし神道では基本的に「死」は「穢(けが)れ」と考えられています。穢れは「気枯れ」とも書き、「身近な人を失って周囲の人々が気落ちした状態」を意味します。こうした穢れを神社に持ち込まないために、葬儀は神社ではなく自宅やセレモニーホールで行います。氏神神社に相談する際も、喪に服す必要があるご家族の場合は、直接訪問するのではなく電話などで連絡するといいでしょう。
氏神神社は頼れる身近な存在
氏神神社の基本的な意味や氏神神社でできることについてまとめました。
氏神神社では氏神をおまつりしていて、普段のお参りはもちろん、地鎮祭などの依頼などもできます。日頃から氏神様を大切にするためにも、氏神神社についての理解を深めておきましょう。