あっさり系のメニューが多いそば業界において、「肉そば」は数少ないコッテリ系の変わり種的な存在である。だがいざ食べてみると、思っていたほど肉肉しさがなく、物足りなく感じることも珍しくない。
美味しいそばを、コッテリと味わいたいーーそんな思いを持つ同胞は、ぜひ立ち食いそば屋「豊しま」へ立ち寄ってみてほしい。
「肉そば」の名店として名の通った豊しまだが、つい先日、文京区・春日に新店舗をオープンした。この機会に初めて訪問してみると……「これだよ、これ!」と大感動。新店舗の模様と、夢にみた肉肉しさを誇る肉そばの食レポをお届けしよう。
「豊しま」がタマワンにオープン! ビギナーでも入りやすい新店を訪問
飯田橋や江戸川橋に店を構える立ち食いそば屋「豊しま」。
特に本店である飯田橋店は、軒下にカウンターのみが並ぶ昭和レトロな佇まいで、「関東風 肉そば」の看板が目を引く。「美味い肉そばをリーズナブルに味わえる」と評判で、この界隈で働くビジネスパーソンたちの胃袋を掴んで離さない名店として知られる。
筆者も以前から豊しまに注目はしていたが、飯田橋店も江戸川橋店も残念ながら生活圏外で、なかなか足を運べずにいた。しかし、春日なら割と行きやすい立地だし、何やら店構えもこれまでの豊しまとはまったく違う趣らしい。
ということで、新しくオープンした春日店にさっそく突撃。そこで目にしたのは……
店構え、変わりすぎ!そりゃあまぁ新店だから、わざわざレトロ風に作り込む必要もないが、「本当に同じ店なのか?」と二度見せざるを得ないほど、豊しま感はない。だが、ビギナーとしては、こういうフレッシュな店構えのほうが入りやすいのも事実である。
新店舗がオープンしたのは、春日駅のA5出口を出てすぐのところにある高層ビル「文京ガーデン」の一角。飲食店や住宅などが入る、いわゆるタワーマンションの一階である。
さっそく店内に入ってみると……
メニューがずらり。当然、名物である「厚肉そば」(680円)もラインナップしている。ちなみに、価格も本店と同じ設定らしい。
ついにご対面! 豊しまはやっぱり「肉そば界のキング」だった
ということで、迷わず「厚肉そば」を注文。約1分という早さで到着したのがコチラ。
デ、デ、デ……デカーーーーッ!肉がデケェーーーー!!
思わず叫びそうになるほどの分厚い肉がドドンッと鎮座しているではないか。肉そばなのに、ほとんど肉しか見えない。
一般的に「肉そば」といえば、薄切りスライスされた豚のこま切れ肉やバラ肉などが乗せられているものだが、豊しまの「厚肉そば」は、分厚いチャーシューとも角煮とも受け取れる肉塊が丼を占拠している。
箸で肉を持ち上げてみると、ずっしりとした重みを感じる。
ううっ、箸がプルプルしてきた……。まさに“肉そば界のラスボス”といった出で立ちである。もし、普通の肉そばを頼んだつもりでこれが出てきたら、注文を間違えてしまったのかと焦るレベルだ。これだけのボリュームで680円となれば、飯田橋のビジネスパーソンたちが通い詰めるのもうなずける。
さて、そばが伸びてしまう前にいただこう。でもまずは主役の分厚い豚バラ肉から。
ああー、美味い!肉は箸が簡単に入るくらい柔らかく煮込まれており、口の中でホロホロと溶けていく。豚の旨みと甘辛い味付けがとにかく癖になる。噛むたびにジュワ〜ッと深い味わいが押し寄せてくるではないか。長時間煮込まれているからか、こう見えて脂っぽさもほとんど感じず、どんどん食べ進められる。肉の旨みが溶け込んだ濃いめのそばつゆも、実にいい味を出している。
続いて、そばも食べてみよう。
あっ、茹で加減も絶妙じゃないか!そばは風味も喉越しもよく、甘辛つゆもよく絡む。つい肉ばかりに夢中になってしまったが、そばもここまでクオリティが高かったとは、恐れ入る。
これだけそば自体も美味いなら、「天ぷらそば」や「たぬきそば」といった王道メニューも一度味わってみたいものである。「厚肉そば」に玉子をトッピングした「厚肉玉そば」は濃厚な黄身と濃厚な肉、濃厚な甘辛つゆともよく合いそうだな。
蕎麦でありながら、こってりとしたジャンクフード感楽しめる豊しまの肉そば。見た目のインパクトも相当なものだが、想像の上をいく美味しさで、肉そば好きだけでなく、肉好きやラーメン好きをも満足させてくれるに違いない。
初見の人はもちろん、前から気になっていたという人も、新規オープンした春日店で“豊しまデビュー”を飾ってみてはいかがだろう。