映画監督有志の会は、日本映画製作者連盟(映連)に対して13日に「労働環境保全・ハラスメント防止に関する提言書」を提出したことを22日、発表した。

是枝裕和監督

是枝裕和氏、諏訪敦彦氏、岨手由貴子氏、西川美和氏、深田晃司氏、舩橋淳氏らが名を連ねる映画監督有志の会。映画業界の労働環境改善を含む包括的な改革のため、映連と1年以上にわたって協議を進める中、今年に入ってハラスメントや暴力に関する問題が取り沙汰されたことにより、3月18日に「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します。」という声明文を発表した。

そして今月13日、「映像業界が自らの問題として真摯に向き合い、具体的な対策を実施してゆくため」の提言書を提出。「ハラスメントや暴力は個人の資質の問題ではなく、職務上の優越的な関係の悪用を許す環境を放置してきた映画業界全体の責任」とし、映連に「ハラスメントや暴力に関する声明の発表」「ハラスメントの実態の調査と検証」「ハラスメント防止のための具体的な施策の実施」「第三者機関による相談窓口の設置」の4点を求めた。

さらに、「残念ながら今の映画業界は、若者が働いてみたいと夢見る世界でもなければ、私たちが胸を張り就職を勧めることができる場所でもありません」と深刻な事態として受け止め、「この現実を、私たち映画関係者は直視しなければなりません。この業界でキャリアを築いてきた私たちには、安全な環境で映画を制作し、安心して映画ファンに届けられる映画界を未来に継承してゆく責任があります。改善に向けどう具体化していくか、私たちも当事者として反省しつつ、映画製作者連盟とともに継続して業界の改革に力を尽くします」と結んでいる。