誰しも必ずやってくる厄年。避けたくても、避けられない。しかも、女性は30代には6回も厄年が巡ってくるとか……。

40代の筆者は「ようやく厄年ラッシュを乗り越えた」と思った矢先、四十肩を発症。しばらしくして、一眼レンズカメラが動かなくなり、猫にSDカードをかじられ破損。もはや私が壊れそうな状態に。疲れがたまっているせいか、何かの呪いか、厄なのか……。

そんな大変な目にあっている人を救うプランを星野リゾートが考案したと聞き、「ならば!」と体験してきました。

「京都やくよけOMO(おも)散歩」は、京都にある3つの「OMO(おも)」限定のプラン。1200年の歴史を持つ世界遺産「東寺」にある国宝のお堂で厄よけ祈願を受け、ご祈願された御札とOMOオリジナルの腕念珠を授かれる、なかなかすごい内容になっています!

厄年真っただ中の方や最近不調を感じている方。京都旅行と合わせて、スペシャルな厄よけでリフレッシュしてみてはいかがでしょう?

■京都のOMOだからこそ! の特別なプラン

  • 2021年4月15日オープンの「OMO3京都東寺」

「OMO(おも)」とは、星野リゾートが手掛けるブランドの一つ。各地域のエッセンスをおしゃれに取り入れ、比較的リーズナブルに宿泊できる個性的なホテルです。

今回ご紹介する「京都やくよけOMO散歩」を体験できるのは、京都にある3施設(OMO3京都東寺、OMO5京都三条、OMO5京都祇園)。

ちなみに、京都のOMOであれば、名前に「東寺」とついていなくても「OMO5京都三条」や「OMO5京都祇園」のゲストも参加OK。費用は1人4,000円。おひとりさまから申し込めるので、一人でひっそり厄よけ祈願ができます。

  • 歴史好きが集うOMOレンジャー

一人での参加もOK。とはいえ、いきなり"東寺に一人で行く"のは不安ですよね。そこで頼りになるのが、ご近所ガイドOMOレンジャーの存在。

OMOレンジャーとは、街を知り尽くした星野リゾートのスタッフさん。東寺にまつわるアレコレや、知らなければついうっかり素通りしてしまいそうな隠れスポットもレクチャーしてくれるツアー「東寺まんだらさんぽ」を毎日開催しています。

「京都やくよけOMO散歩」では厄よけ祈願の前に、この「東寺まんだらさんぽ」を楽しめます。ディープなスポットを巡り、旅の高揚感を味わいながら、東寺までのんびり歩く……。これが本当に楽しいです!

■「OMO3京都東寺」でお参り支度

  • 砂の上に書をしたためる「写経テーブル」

最初は集合場所となる「OMO3京都東寺」の「OMOベース」にて、お参り支度を行います。

使用するのは、「OMOベース」の中心部にある「写経テーブル」。「写経テーブル」とは、"書の達人"だった弘法大師・空海をイメージして作られた、砂の写経のこと。砂なので消すのはさっとひと拭き。何度でも気軽に書を楽しめます。

今回したためる文字は「開運厄除」。心静かに書き上げていきます。

  • 今回は、OMOレンジャーの二宮さん(歴女のたまご!)がアシスト

文字を書き終えると、OMOレンジャーが仏具の「持鈴(じれい)」を鳴らすと、周囲の空気がまるで浄化されたよう。

「チリン、チリン……」

心地よい鈴の音色は心に深く染み渡ります。穏やかな気持ちになって、まるで厄が体から遠のいていくようです!

  • 塗香は3種類の中から、好きなものをチョイス

気分が良くなったところで、仏具の一つ「塗香(ずこう)」をひとつまみ。手のひらに刷り込ませて、心身をさらに清めていきます。

これでお参り支度は完了!

■「東寺まんだら散歩」のスタート

  • OMOレンジャーによるプチ講座

厄よけの準備が整ったら、いよいよ「東寺まんだらさんぽ」へ。まずは、エントランスの正面に飾られた「まんだらアート」前で、OMOレンジャーによる仏像や東寺についてのプチ講座を受けます。

プチ講座のポイントは、大きく分けて2つ。

「世界遺産の東寺ってどんな場所?」 「仏像にあるいろいろなご利益を知って、ゲットしよう!」

つまりこのプチ講座を受ければ、ただ東寺を知るだけでなく、私たちが望む現世利益まで求められるんです。なんて、ありがたいの……。

ちなみに、ここでよく使われる「まんだら」=「曼荼羅」のこと。東寺には、曼荼羅(仏様の世界観)を3Dにした立体曼荼羅が21躯あります。日本で立体曼荼羅が見られるのは、東寺だけ。このあと、本物の立体曼荼羅にお目にかかれると思うと、ドキドキが止まりません。

  • 分かりやすい手作りフリップを使って解説

誰もが気になる金運を上げたいなら、宝生如来(ほうしょうにょらい)。ビジネスマンにとって大切な仕事運を上げたい人は、帝釈天(たいしゃくてん)や梵天(ぼんてん)。

こんな風にご利益を知りだすと、東寺に行くのが何倍も楽しくなりますよね。

■1200年前の悠久の時を感じる東寺へ

  • 東寺の正門にあたる「南大門」

ホテルを出発したら、街に愛されるディープなお店をOMOレンジャーに教えてもらいながら、東寺へ向かいます。東寺までは、のんびり歩いて約10分。1200年前から同じ位置に残っているという南大門をくぐって、境内に入ります。

京都には約1500のお寺があると言われていますが、教科書で習った「鳴くよウグイス平安京」で知られる「794年の平安京遷都」から続くお寺は、京都広しと言えども東寺しかありません。

南大門からまっすぐ、金堂、講堂、食堂(じきどう)と建物が連なりますが、この並びは1200年前とまったく同じ位置だと言うから驚きです。

通常、一つの国宝を見るためにお寺や神社に足を運びますが、東寺は重要文化財&国宝のオンパレード! まるで"国宝のコレクション館"のようなすごいお寺です。

  • 「立体曼荼羅」を展示している、白と朱塗りの講堂

立体曼荼羅を拝めるのは講堂の中。薄暗い講堂に入ると、21体の仏像が佇んでいます。ここも21体中、大日如来はもちろん、五智如来(大日如来・宝生如来・阿弥陀如来・阿閦如来・不空成就如来)すべてが重要文化財に加え、それら以外の立体曼荼羅(菩薩・明王・天部)もすべて国宝です(あの帝釈天も国宝!)。

立体曼荼羅は、アイデア豊富な空海が「絵に描かれた仏様の世界をもっと分かりやすく表現したい」という意図で作っただけあって、表情や出で立ち、どれをとってもリアルで迫力満点。OMOレンジャーが丁寧に教えてくれるので、ディープな視点で鑑賞できます。

  • 国宝指定の日本一高い五重塔

「京都のシンボル」と言われる五重塔も、東寺では外せないスポット。高さは54.8m、五重塔としては日本一の高さです。

空に向かって、すっと高くそびえ建つ姿は壮観……! しかしこの五重塔、高いだけに雷には弱く、過去に4回も落雷が原因で燃えたのだとか。その都度、繰り返し再建され、現在の五重塔は江戸時代再建の5代目にあたります。

ちなみに雷には弱い反面、地震にはめっぽう強いのだそう。中は心柱を備えた免震構造になっていて、現在のスカイツリーも東寺や法隆寺の五重塔を応用して作られたとのこと。まさに、日本人の知の結晶ですね。

実はこれもすべて、OMOレンジャーから教えてもらったこと。OMOレンジャーとの時間は、まさに「なるほど! へえ!」の連続です。

  • 御影堂にきたら、屋根にも注目 ※弘法市の時期に撮影

「到着です!」とOMOレンジャーがひと言。厄よけ祈願が行われる国宝「御影堂」の前にやってきました。

さすが国宝だけあって屋根も一味違います。この屋根は、瓦よりも手がかかる檜の皮を重ねた「檜皮葺(ひわだぶき)」。「檜皮葺」とは、歴代天皇が住まわれた「京都御所」や「清水寺」など、高尚な場所にしか使われない希少な屋根なのだとか。

■歴史ある国宝で、厄よけのご祈祷を

  • 荘厳な雰囲気の御影堂内

OMOレンジャーとはここでお別れ。弘法大師・空海が住んでいた御影堂で、空海の"生活の息吹"を感じながら厄よけ祈願を行います。

名前を呼ばれ、用意された場所に着席。

「ドーーーン! ドーーーン!」

僧侶が鳴らす太鼓の音が聞こえたら「いよいよ祈祷が始まります」の合図。

  • 真言宗の密教法具を使って行われる厄よけ祈願

ご祈祷の時間は、およそ20分。厳粛でひんやりとした空気の中、ご祈祷が進められます。

「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」をお唱えしながら、パラパラ……と経典を振りながら読経するさまは圧巻です。

心地よい緊張感があり、この場のパワーを吸収しながらゴリゴリ「浄化されてる感」がすごい!

  • 僧侶から直接授与品を受け取ります

ご祈祷を終えると、ご祈願された御札が入っている袋とOMOオリジナルの腕念珠を授与されます。

  • ご祈祷済みのお札とオリジナルの腕念珠

袋の中に入っていたのは、金色に輝くお札。神々しい雰囲気で、いかにもご利益がありそうですよね。

いただいたお札は、北を背に御札を南へ向けるか、西を背にして東へ向けるといいのだとか。ただし方角が分からない、方角通りにうまく置けない場合は、どこに向いていても「南に向いている!」と思うことが肝心だとのこと。

そして、お札と一緒に授かれる腕念珠は、仏具の素材として重宝される「正梅」とふんわりしたピンク色のローズクォーツを素材にしたOMOオリジナル。筆者はカバンの中に入れて常に持ち歩いていますが、強力なお守りを持ち歩いているようで、どこへ行くにも絶大な安心感があります。

■京都らしい体験をプラス!

  • 「小澤清風園」によるお抹茶体験(1,000円)

厄払いのあとは、オプションで「小澤清風園」のご主人の手ほどきを受けながら、お抹茶体験を楽しめます。

「小澤清風園」は、かつて東寺の門前でお茶を売る人々がいたことから開かれた、東寺にゆかりがあるお茶屋さん。日本茶インストラクターの資格を持つ小澤成介さんが、時にユーモアを交えながら、お茶にまつわるイロハを教えてくれます。

「お茶屋さんに行ったら、渋いお茶を飲まされた……なんて、かなわんやろ。これがほんまのお茶の味やで」

そんなご主人の言葉に、思わずほっこり。茶道経験ゼロの人も、楽しく心を整えられ、京都らしい思い出を作れるでしょう。

■世界遺産のお寺で気軽に厄よけできる京都のOMOへ

ホテルで特別な時間を過ごしながら、世界遺産のお寺で厄払い。体験後には、ちょっぴり人生の風向きが変わったような気がしました。

スペシャルな「京都やくよけOMO散歩」、みなさまもぜひ!