三井不動産の専務執行役員でロジスティクス本部長を務める三木孝行氏は、ロジスティクス事業について「10年前は物流施設事業部として発足し、正社員6名と契約社員2名の8名でスタートした」と当時を振り返った。
2012年にロジスティクス事業へ参入した同社は、最初の物件としてGLPと共同で「GLP・MFLP市川塩浜(千葉県市川市)」を手掛け、2014年1月に竣工した。そのあとに初めての単独開発物件として「MFLP八潮(埼玉県八潮市)」を手掛けている。さらに同年、関西初の開発物件として初めてのマルチ型倉庫「MFLP堺(大阪府堺市)」を竣工している。2015年にロジスティクス本部として独立に至ったという。
三木氏は「入居テナントにおいて最も重要なのはテナントリーシングだ」と語り、2016年から実施している「MFLP TANKS PARTY」を紹介した。同イベントは同社のテナントに入居している企業や入居予定の企業などを招き、帝国ホテルで親睦を深める目的で開催されている。ここ数年はコロナ禍で開催できなかったようで、同氏は今年の開催に前向きだ。同年は「三井不動産ロジスティクスパーク投資法人」が資産規模約755憶円で上場を果たしている。
2017年は、物流業界でも省力化や自動化のニーズが高まったことで、「MFLP船橋I(千葉県船橋市)」内に「MFLP ICT LABO」を開設した。最先端のIT機器やAI(Artificial Intelligence:人工知能)を利用し、見学可能な施設として運営している。2018年にはさらなる自動化および省人化などの物流ソリューションの営業を強化する目的で、物流総合コンサルティング会社である「MFロジソリューションズ」を設立した。
2019年は同社が海外展開した年だ。東南アジアへの事業拡大としてタイに「Bangna 2 logistics park 1期」を開設している。現地の総合デベロッパーとの共同事業として着手し、三井不動産はリーシングを担ったという。
翌2020年にはフルオートメーション物流モデルを展示した「MFLP ICT LABO 2.0」を船橋に開設した。2017年に開設した施設が非常に好評だったことから「MFLP ICT LABO 2.0」の開設に至っており、前者の約10倍の規模を誇る。入庫から出庫までの一連の作業を全行程にわたって機械化した実験的施設だ。
2021年は街づくり型のプロジェクトとして進めていた「MFLP船橋」が完成した。総延床面積は約70万平方メートルにもなり、「MFLP船橋I」から「MFLP船橋III」までの3施設では約5500人ほどが働いているという。
同社では基本的に入札で購入しているような物件はなく、土地所有者との共同事業や行政との企画コンペを主な戦略にしているとのことだ。こうした基本戦略は今後も継続するという。三木氏は「物流に国境はない」として、タイに新設する「Bangna2 Logistics park 2期」へ積極的に日系企業を誘致する予定だと語っていた。