高い支持の続くテレビ東京「ドラマ24」枠。4月クールはドラマ初主演となる、お笑いトリオ・ハナコの岡部大が主人公を演じる『しろめし修行僧』(毎週金曜24:12~)が8日からスタートした。ラッパーを夢見る、ほぼニートの寺の息子・米田(こめだ)たくあんが、「しろめしに合う最高のおかずとは何か」との究極の問いに向き合いながら、托鉢の全国行脚修行を続ける新グルメドラマである。
「ほかの人になっていたら、めちゃくちゃ嫉妬していた。『とにかくあいつは食べるぞ!』という男になりたい!」という岡部に話を聞くと、並々ならぬ“食への愛”が伝わってきた。また、人生のポリシーだという「おかわり無料」の深い精神も。さらに芸人としてのみならず、俳優としての評価が高いことへの思いも聞いた。
■人生初ラップのパートナーはDJ松永
――第1話ではラップを披露されていましたが、ラップは初めてだそうですね。初ラップのパートナーがDJ松永さん(Creepy Nuts)とは。
ちょっと贅沢過ぎますよね(笑)。『考えすぎちゃん』というトークバラエティ番組でずっとご一緒させていただいていて、ハナコの単独ライブでも差し入れをいただきました。今回のたくあんのラップに関しては、本人的にはカッコいいラッパーを目指していると思いますが、周りからどう見えるかは分かりません(笑)。僕はただ全力でかっこいいつもりでやるだけです。
――ラップは初とはいえ、たくあんは、坊主&食いしん坊キャラ。まさに岡部さんが演じるべき主人公ですね。
絶対自分にやらせてもらいたいと思いました。ほかの人になっていたら、めちゃくちゃ嫉妬していたと思います。もし僕じゃなかったら、「坊主でよく食べるヤツがここにいるよ!」と思っていたはずです。
――とはいえテレ東の飯テロものは、ブランド枠です。そこへのプレッシャーは。
やっぱり身が引き締まりますね。今までのドラマの登場人物史上、一番食べるキャラになりたいと思っています。「とにかくあいつは食べるぞ!」という男になりたいです。皆さんもその時間は、美味しいものを食べている姿を前に、お腹が空きたくて見てるようなところがあると思うんです。いかに皆さんのお腹を空かせることができるか、責任重大だなと気合いが入りまくってます。
■ベストおかずは、母手作りの「わらびのたたき」
――やはり普段から「美味しそうに食べるね」と言われます?
先輩方からも「本当に美味しそうに食べるな。飯のおごり甲斐がある」と言っていただくことが多いです。事務所の先輩だと、サンシャイン池崎さんとか。ほかの事務所の先輩だと、シソンヌのじろうさんにもめちゃくちゃお世話になっています。じろうさんには「今度、主演ドラマが始まるんです」とお話ししたら、「お前にぴったりの役だな」と言ってもらいました。
――たくあんは白飯に合うおかずを探して修行を続けますが、岡部さんも白いご飯は好きですか? そしてそこに合うおかずも。
はい。めちゃくちゃ好きです。美味しいご飯を食べたいから修行に行くみたいなたくあんの気持ちはよく分かります。僕自身の好きなおかずは、実家から届く段ボールにいろいろ詰まっている中の、母手作りの“秋田のわらびたたき”です。わらびをアク抜きして柔らかく煮て、包丁でたたいて味噌とかと和えて作るものなんですけど、実家にいるときからめちゃくちゃ好きで、大学で上京して以降、今も「今年も採れたから送るよ。早めに食べなさい」みたいに連絡をくれて送ってくれます。お金がなくても、お米とその段ボールに入ってるおかずだけで過ごせます。
――「食べる」演技については、何か意識していますか?
そうですね。ロケ弁はなるべく食べないようにしようと思っています。
――(笑)。演技というより、リアルに美味しく食べている姿を見せたいと。
そのシーンに向けて、お腹は確実に空かせていこうと。その白米とおかずに全集中できるように、お腹の空き具合をしっかり調整していこうと思っています。それで米の吸い込みに差が出てくると思うので。
■演じることが好き、憧れは原田泰造や角田晃広
――さて、このところ役者としても求められています。率直な思いを教えてください。
ありがたいです。やっぱり僕はコントがやりたくて。そしてコントがきっかけでこうしたお仕事をいただいていると思うので、めちゃくちゃ嬉しいです。これからもコントはしっかりやっていきたいと思っていますし、こうしたお仕事にもどんどん繋がっていけばと思います。
――ではもともと演じることに興味があったんですね。
演じるのは好きです。芸人としてもエピソードトークとかより、何かのキャラクターになり切っているときが楽しいです。そういう意味でも、演技のお仕事は自分が一番好きなことに近い部分があるので、興味はありました。
――では最初に俳優としてのオファーをいただいたときも、純粋に嬉しかった。
はい。まさかの朝ドラ(『エール』)でしたけど。おばあちゃんもずっと見てくれてましたし、親も本当に喜んでくれました。
――芸人さんでお芝居をされている方は多いですが、昔から有名な喜劇役者さんは多いですし、自然な形ではあります。今回のドラマには毎回マドンナが登場しますけど、寅さんを演じてきた渥美清さんもコメディアン出身ですし。
そうですね。同じ事務所の原田泰造さん(ネプチューン)や、ほかの事務所の東京03の角田(晃広)さんにも、僕はめちゃくちゃ憧れています。お芝居になったらすごくステキでかっこいいし、トリオはトリオで皆さんに愛されているし。そんな風に自分もなれたらいいなと思います。今回のたくあんも、それこそ寅さんみたいにシリーズになって、みんなに愛されるようなキャラクターになっていけばなと思っています。
■人生のポリシーは「おかわり無料!」何事も特盛で。
――これまでは岡部さんのイメージを生かした役柄が多いですが、原田さんや角田さんのように、さまざまな役を演じていきたいですか?
確かにこれまでは人柄がいい役で、いつも顔がテカテカに汗をかいているイメージがあるので、顔をテカらせずに、「岡部、クールだな」みたいな落ち着いた役もやってみたいです。
――では、役者としての野望を教えてください。
今はとにかくこのたくあんというキャラクターで、どんどんおいしいものを見つけていきたいです。まだまだ今回の話数では入りきらない美味しいものがたくさんあります。47都道府県ありますから、日本中のご飯のお供を食べ尽くす勢いでやりたいですし、日本から飛び出して、それこそアジアツアーというか、アジア修行旅とかで、中国の麻婆豆腐を乗せるとか、もっと遠くに行ってアメリカとか海外編の世界のご飯のおかずとか、たくさん食べていきたいです。
――最後に、本作には「一日一膳」との格言が出てきますが、岡部さんが好きな言葉、ポリシーを教えてください。
「おかわり無料」です。
――人生のポリシーが、ですか?
はい。大盛とか、特盛とか、おかわり無料とか、大好きです。つまりはサービス精神と言いますか、出会いにしても人生経験にしても、特盛で行きたいんです。コントでもやり過ぎで怒られることもありますが、僕はもっともっとやりたい。これからも色んなものを盛って、「おかわり無料」で頑張っていきたいです!
■岡部大(ハナコ)
1989年5月30日生まれ、秋田県出身。秋山寛貴、菊田竜大と共にお笑いトリオ、ハナコを結成。キングオブコント2018で優勝。坊主頭がトレードマークで食べっぷりもよく知られており、愛されるキャラクターでCM出演も多い。俳優としての評価も高く、連続テレビ小説『エール』(20年)、ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(20年)に続き、本作の米田たくあん役で初主演を果たした。
(C)「しろめし修行僧」製作委員会