2021年10月5日からメンテナンスのため公開を休止していた、日本科学未来館のシンボル展示「ジオ・コスモス」。
メンテナンス工事を終え、より明るく鮮やかなディスプレイ表現が可能となった新生ジオ・コスモスが4月20日より一般公開されるのに先立ち、4月19日にメディア向けの点灯式が開催された。
直径6mと巨大な展示物である、ジオ・コスモスは、2001年の開館当時から日本科学未来館のシンボル展示として、人工衛星から得られた実際のデータなどを映し出している。
日本科学未来館初代館長、毛利衛氏の「宇宙から見た輝く地球の姿を多くの人と共有したい」という思いから生まれた展示だ。
2001年の展示当初はLEDパネルを用い、100万画素の解像度で展示していたが、2011年のリニューアルの際にディスプレイを有機ELに刷新。1000万画素という高精細な映像表現が可能となった。
今回、2011年から11年ぶりにリニューアルに踏み切ったのは、有機ELの寿命のためパネルに不具合が生じてきたのと、より高い質感や豊かな表現を追求したいと考えたからだという。
2021年10月から始まったリニューアル工事では、1万362枚のパネルをすべて手作業で交換したという。新生ジオ・コスモスの総製作費は約5億円とのことだ。
そして、生まれ変わったジオ・コスモスの姿が披露された。
新生ジオ・コスモスは、ディスプレイ素材を有機ELからLEDへと変更し、画素数は従来の1000万画素のままだが、日中でも見やすくコンテンツの印象をより強めるために、運用輝度を以前の約600cd/m2から1200cd/m2へ倍増した。
また、従来より広い明るさの幅を表現できるHDR(ハイダイナミックレンジ)に対応したことにより、細やかなディティールの再現やグラデーションの品質が向上し、みずみずしい映像表現が可能となったという。これにより、以前までは苦手としていた青系の色もより鮮やかに表現することが可能となった。
リニューアルに際し、日本科学未来館の浅川智恵子館長は「ジオ・コスモスは、今地球で人々に何が起きているのか見ることができる。地球の様子が日々変わって行く姿をみて、私たちの日々の努力が地球に影響を与え、そして逆の場合もあるということを見た方が感じられるようなコンテンツを作っていければと考えている。また、視覚障がい者などにも配慮し、ジオ・コスモスを用いた聴覚的なコンテンツにも挑戦していきたい」とした。
ジオ・コスモスのリニューアルには、電通や三菱電機、ゴーズ、GKテック、オムニバス・ジャパンなどが関わっており、日本科学未来館の担当者は「半導体不足の影響で、当初の予定よりもスケジュールが後ろ倒しになったりもしたが、各社のおかげでこの日を迎えられた」と感謝を述べた。
新生ジオ・コスモスは4月20日より一般公開されている。