QPS研究所では今後、毎年複数のQPS-SAR衛星を打ち上げ、2025年以降を目標に36機の衛星コンステレーションを構築する計画を打ち出しており、36機体制とすることで、地球のほぼどの地点においても平均10分間隔という準リアルタイムでの地上観測データサービスの提供を目指すとしている。

この衛星コンステレーションを構築するため、3号機以降は軌道制御用のスラスターを搭載する予定で、これにより、干渉解析ニーズへの対応も期待されるとしている。干渉解析とは、時間差で同じ場所から観測したデータの差を取得することにより、地表の変位(地面がどれだけ動いたか)を測定する技術だという。

また、3号機および4号機は、QPS研究所の創業者の1人である九州大学の八坂哲雄名誉教授らが中心となって「種子島や内之浦という射場があることから九州に宇宙産業を根付かせたい」として呼びかけて構築された、北部九州宇宙クラスター所属企業や、全国の計25社以上のパートナー企業の協力を得て開発・製造を行うとしている。

一方、イプシロンロケットは現在5機まで打ち上げを成功させており、今回の6号機が「強化型」の最終打ち上げとなる。6号機では、QPS-SAR衛星3/4号機のほか、革新的衛星技術実証3号機や、超小型衛星、キューブサットなども同時に打ち上げられる予定だという。

  • 本体よりも遥かに大きな展開式アンテナを備えるQPS-SAR衛星

    本体よりも遥かに大きな展開式アンテナを備えるQPS-SAR衛星のイメージ (出所:QPS研究所Webサイト)

そしてイプシロンロケット強化型は、さらに改良強化が施された「イプシロンSロケット」にバトンタッチし、2023年度以降に打ち上げられる計画。イプシロンSロケットは、現在JAXAとIHIエアロスペースによって共同開発が進められている。

IHIエアロスペースは、このイプシロンSロケットを用いて衛星打ち上げ輸送サービスに参入する計画だったが、今回のQPS-SAR衛星3/4号機の打ち上げ受注で前倒しで実現した形となった。IHIエアロスペースは今回の受注を弾みとし、商業衛星打ち上げ市場においても、民間ミッション向け輸送サービスの受注・打ち上げの取り組みを加速させていくとしている。