東京商工リサーチは4月19日、「円安に関するアンケート」調査の結果を発表した。調査は4月1日~11日、資本金1億円以上の大企業、および1億円未満(個人企業等を含む)の中小企業を対象にインターネットで行われ、5,398社から有効回答を得た。
4月19日の外国為替市場は一時、2002年5月以来の1ドル=127円をつけた。19年11カ月ぶりの円安水準で、影響が広がっている。また、東京商工リサーチ調べによる上場主要メーカーの2022年3月期の期初想定為替レートは、最安値が1ドル=110円(平均1ドル=105.5円)で、期初に想定できない勢いで円安が進行している。
こうした状況の中、円安が経営に及ぼす影響について尋ねたところ、「マイナス」と回答した企業は約4割(39.6%)に達し、1ドル=113円台で推移していた2021年12月発表の「前回調査(29.2%)から、急激な円安進行に伴い4カ月で10ポイント以上悪化。また、「影響はない」が29.5%、「プラス」はわずか3.9%だった。
業種別にみると、「プラス」と回答した業種では、「宿泊業」が最も高く16.6%。次いで、「業務用機械器具製造業」(15.0%)、「輸送機械器具製造業」(1.5%)、「電気機械器具製造業」(11.2%)と、円の価値が相対的に下がる円安が、海外からのインバウンド客に有利に働く宿泊関連、輸出関連の製造業などで「プラス」と回答する企業が多かった。
一方、「マイナス」と回答した業種では、「繊維・衣服等卸売業」(77.5%)、「食品製造業」(71.0%)、「家具・装備品製造業」(70.8%)が上位に。いずれも7割を超えており、原材料や商品を輸入に頼る業種を中心に、円安がコスト高を招き、収益負担になっている現状がうかがえた。
続いて、望ましいと思われる円相場を聞いたところ、最多レンジは、「110円以上115円未満」(42.5%)だった。最頻値は1ドル=110円で、一時、1ドル=127円台に達する円安水準は、希望レートより1ドル=15円以上も円安が進んでいる。
円安が経営に「マイナス」と回答した企業の望ましい円相場については、最多レンジが「110円以上115円未満」の42.9%、最頻値は1ドル=110円と、全体と同水準の結果に。「1ドル=125円以上」の回答は0.9%にとどまり、円安が「マイナス」に働く企業には現在の円安はすでに重大な経営リスクになりつつあることがうかがえた。