戦型は角換わりに
渡辺明名人に斎藤慎太郎八段が挑戦する、第80期名人戦七番勝負(主催、朝日新聞社・毎日新聞社)の第2局が4月19・20日(火・水)に石川県金沢市の「金沢犀川温泉 川端の湯宿 滝亭」で行われます。手番は事前に決まっており、斎藤八段の先手です。
開幕の第1局は矢倉模様の急戦から渡辺名人が早々にリードを奪い、快勝した一局でした。斎藤八段にとって、先手番の本局は絶対に落とせない一局です。前期の名人戦も両者による七番勝負でしたが、その時は斎藤八段の先手が3局あり、そのうち2局が矢倉でした。過去の例からすると手番を入れ替えた本局も矢倉に進むことも考えられましたが、本局は先手番の斎藤八段が角換わりに誘導し早繰り銀を選択。後手の渡辺名人は腰掛け銀で迎え撃つ姿勢です。
午前中は定跡通りの進行かと思いきや、38手目△6五歩が名人の新手でした。6四のスペースに角の打ち場所を作る手ですが、次に△6四角と打ってもすぐに逮捕される形なので少々指しづらい手です。研究を外されたであろう斎藤八段はこの手に対して長考、そのまま昼休憩に入りました。
斎藤八段は、昼食休憩を挟み実に1時間56分の長考で▲3五銀の銀ぶつけを決行しました。部分的には定跡の攻め筋ですが、後手が△6四角の反撃を用意したばかりのところなので、この手を選ぶには勇気が必要です。渡辺名人はやはり△6四角と先ほど作ったスペースに角を設置、対して斎藤八段は▲4六銀と、ぶつけた銀をすぐに戻しました。これで2手損したことになりますが、名人に角を打たせたことを主張にしていこうという心算です。
以下はお互いに形を整えつつ本格的な戦機をうかがうじりじりとした展開になっています。
名人が連勝して防衛に大きく近づくか、挑戦者がタイに戻すか、七番勝負序盤の大きな山場に注目です。 対局は2日制の持ち時間9時間で行われ、終局は20日の夕方以降が予想されます。
槇林一輝(将棋情報局)