これはクリティカルなヒット商品になる予感がする。いや、すでに転売ヤーたちによる買い占めが始まっている頃かもしれない。一体何の話かというと……
そう、あの中華風調味料「味覇(ウェイパー)」から、動物性原料不使用の「ヴィーガン味覇」、通称「緑の味覇」が登場したのだ。
これはすぐに試さなきゃ時代に取り残される!と思い、近所のスーパーを巡ってみたもののあえなく全滅。ネットを覗いたところ、通常は250グラムで860円のところ、某フリマサイトや某ECサイトで軒並み1,800~2,000円で販売されているではないか……くっ、転売ヤーめ!
それでも、どうにかこうにか1缶入手することに成功。さっそくその味をノーマルタイプの「赤の味覇」と食べ比べて確かめてみたい。
チート級の調味料「味覇」とは何か
味覇とはご存知、風味とコク、旨みの三拍子が揃った万能スープの素。これをスープやチャーハンに入れるだけで本格的な中華の味を再現できるとして根強い人気を誇っている。 ぶっちゃけ、これさえあればどんな料理下手でもビシッと味をキメることができるので、「そりゃ味覇を入れたなら美味いわけだ」「味覇を使うなんてズルいぞ」と、もはやチート扱いをされることも少なくない。
それもこれも鶏、豚、野菜のエキスがギュ~ッと詰まったからだと解釈されてきたが、今回新発売となったのはヴィーガン仕様の味覇である。味は従来のノーマル味覇の寄せたらしいが、鶏も豚も使用せず、一体何をどうやって“らしさ”を表現するというのか、大いに興味をそそるところだ。
赤の味覇と緑の味覇、中華スープを作って食べ比べてみた結果……
何はともあれ、こういうのは実際に食べ比べてみるのが一番早い。ということで、ここは味覇らしく、中華スープを作って味を比べてみようではないか。
ふむ、開けてみた感じは……
特に差はない。どちらもすでに深いコクや旨みを感じる香りを放っている。
スープの作り方はというと……
どちらもお湯200ccに対して4グラムの味覇を入れればいいらしい。よし、要するに、小さじ一杯よりちょっと少なめってことだな。
ということで投入。ジュワ~っと溶けていく。
よし、完成!
緑の味覇(写真左)、赤の味覇(写真右)ともに具はもやし、わかめ、卵、そして最後に万能ねぎを少々。風味づけにごま油を数滴垂らしてみた。見た目に大きな違いはないが……果たして。
ではまず、緑の味覇からいただきます。
うまっ。……あれ?おかしい。右と左を置き間違えたかな……?
本気でそう勘違いしたほど、ヴィーガンとは思えないほどのコク、風味、旨みが揃っている!何だこれ、すごいぞ?これでヴィーガンって、マジかよ!美味い!本当に中華スープだ!緑の味覇以外、塩も出汁も入れてないのにこのクオリティ。すごいぞこれ、すごすぎる………
この勢いのまま、赤の味覇をひと口。ズズズッ。
いやいや、え?一緒やんけ!同じような味で、同じくらい美味いんですけど!
本当に、緑も赤もめちゃくちゃ似ている。緑と赤だけに、たぬきときつねくらいの差があるかと思いきや、何度味わってみてもほぼ同じ。何度も何度も交互に飲み比べて、ようやく「赤のほうが若干、後味の余韻が長いかもしれない」と思える程度だ。味わいに大きな差があるかというと、ない。正直、目隠しして食べたとき、どちらが赤でどちらが緑かハッキリと当てられる人はほとんどいないと思う。
これは相当すごい。鶏や豚の凝縮されたエキスをどう補ったかはサッパリわからないが、物足りなさは皆無である。個人的に、よくフェイクミートやヴィーガン仕様のカップ麺なども食べるのだが、ここまでコク深さや風味が再現されたヴィーガン料理はなかなか珍しい。最近はヴィーガンの飲食店も増えてきているが、これは彼らの料理を一段格上げさせる救世主になりうるのではないか。
チャーハンでも物足りなさはなし!ただし◯◯を入れるとより完璧
ちなみに、後日、緑の味覇でチャーハンも作ってみることに。味がほぼ一緒だということはわかったので、今回は食べ比べではなく、「緑の味覇で肉を使わずにチャーハンを作っても物足りなくないのか」という検証を行ってみようと思う。
まずはふわふわ卵を作って、一旦、別皿によけておく。
で、ライスを人参、グリーンピース、コーンと一緒に炒めて、緑の味覇を投入。
続いて高菜と卵、刻みネギを入れてサッと炒めて完成!
味のほうはというと、やはりこれも美味い。味覇以外は何も味付けをしていないのに、チャーハンらしい香ばしい旨みがしっかりと感じられる。肉類は一切入っていないが、食べごたえは十分にある!と結論付けたい。ただ、少しサッパリしている印象も否めない。これは、肉に由来する食べごたえというより、味の複雑さがもう少しあるといいな、という欲求に近いように思う。
これはあれだ。ニンニクだ。最初からニンニクを入れていれば、この物寂しさはなかったはずだ。ということで、ガーリックパウダーを振りかけてみると……
やっぱりコレだ!一気により美味しくなった!
スープの場合、そもそも肉が入っていないケースも多々あるので、味わいの複雑さという意味ではまったく問題がなかった。しかし、チャーハンになると、肉を含むさまざまな具が味わいを重層的にするので、今回はどうしても肉類がない分、味付け自体に問題はなくても、具材による味の複雑さにはやや欠け、少し寂しさを感じることになる。
しかし、ニンニクのようなパンチの効いた素材を追加していくことで、この寂しさはかなりの程度解消される。ここにフェイクミートでも混ぜておけば、ほとんど普通のチャーハンと比べても遜色ないのではないだろうか。
ちなみに緑の味覇は、世界的な権威である「英国ヴィーガン協会」で、ペースト状調味料として世界初となるヴィーガン認証を得ることにも成功したようだ。この話題の新作、ぜひ一家に一缶迎え入れ、地球や身体をいたわってみては?