Playdateの出荷がついに開始、製品版レビューも解禁に!
4月18日(ポートランド現地時間)、クランク付き携帯ゲーム機「Playdate」の出荷がついに開始されました。予約1万台までが「Group #1」に含まれており、4月18日から今後数週間で徐々に出荷開始されるとのこと。
またこのタイミングに合わせて、製品版の実機レビューも全面的に解禁されました。前回は開梱レビューに留まりましたが、今回はPlaydateの操作感や、ゲームのファーストインプレッションも含めた深掘りレビューをお届けいたします。
改めてスペックを解説、唯一無二のクランクを装備
まずはPlaydateのスペックのおさらい。本機にはCPUに180MHzのCortex M7を採用。SDK(開発キット)は「Lua」と「C」をサポートしています。RAMは16MB、L1 Cacheは32KB、Flash(ストレージ)は4GBを搭載しています。
ディスプレイは400×240ドット、1-bit(白黒)。サウンド機能はモノラルスピーカー、ステレオヘッドフォン端子(4極プラグ、TRRS)、コンデンサマイクを内蔵しています。
ワイヤレス通信機能はIEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯)、Bluetooth(後日対応予定)をサポート。データ通信、充電用にUSB Type-C端子も備えています。
本体サイズは76×74×9mm、重量は実測84.9g。バッテリー駆動時間は時計表示で最大14日間、ゲームプレイで8時間とうたわれています。
肝心の入力装置は、十字ボタン、A+Bボタン、スリープボタン、メニューボタン、3軸加速度センサー、そして本製品最大の売りである「クランク」です。
クランクのアームの長さは実測27mmとコンパクトながら、「ツマミ」を収納するためのヒンジが設けられており、クランクの回転の固さも絶妙。筆者は以前試作機を触ったことがありますが、その時はクランクが軽すぎるように感じました。今回の製品版は操作して気持ちいい感触に改良されたようです。
24本のゲームが毎週2本ずつ12週にわたって到着
前回のレビューでお伝えしたとおり、Playdateは初回起動時にオープニングアニメーションが流れます。その後、画面の指示に従って、無線LANルーターへの接続、デバイスの登録(Register Device)、時刻の設定、デバイス情報送信の可否……と進んでいけば設定は完了。その後、2本のゲームがダウンロードされます。
Playdateには「シーズン1」のゲームとして24本のゲームが無料で含まれており、初回登録時にまず2タイトル、その後1週間に2本ずつ12週に渡ってゲームが配信されます。
ゲームがダウンロードされるとスリープ時の時計画面に「New games Available!」と表示。ホーム画面で包装紙にくるまれた箱の画像を選択すると、なかからゲームのタイトル画面が現われます。なかなかワクワクさせてくれる趣向です。
わかりやすいメニュー構成、技適マークもありますよ
メニュー構成はシンプル。メニューボタンを押すと、volume、settings、screenshotの項目が出てきて、そこからsettingsを選ぶと設定画面に遷移します。
設定画面にはGames、Account、Wi-Fi、Lock Screen、Auto Lock、Accessibility、Time、Device Metrics、Systemの9項目が並び、Systemの下にはDevice Info、System Update、Input Test、Regulatory Labels、Restart Playdate、Factory Reset、Send Crash Reportが並びます。
現時点で言語設定はなく(英語表示のみ)、今後搭載されるかどうかもわかりませんが、比較的スマートフォンの設定画面に似ていますね。迷うことはないと思います。
配信に便利なミラーリングアプリ、SDK、ウェブ開発環境も用意
Playdateは関連ツールも充実。Playdateの画面をリアルタイムにミラーリングできる「Playdate Mirror」、ゲーム開発環境の「Playdate SDK」、「Pulp」などが用意されています。
Playdate Mirrorでミラーリングした画面を映像ソースにすればゲーム配信できますし、本格的なゲームを作りたい人はPlaydate SDK、ゲーム開発が初めての人は比較的ハードルの低いPulpとふたつの選択肢があるわけです。Panicがユーザーコミュニティーを重視していることがよくわかりますね。
Playdateのオススメゲーム5本をショートレビュー!
さて最後にPlaydateのオススメゲームを5本ご紹介します。どれもクランクありきのPlaydateならではの作品です。
Crankin’s Time Travel Adventure
まずは「塊魂」の高橋慶太氏が手がけた「Crankin’s Time Travel Adventure」。本作で斬新なのがクランクを回したときだけ、自キャラの時間が動くこと。しかし自分が止まっていても、敵キャラは動き続けるので、クランクの順回転、逆回転で時間を動かし、ちょうどいい場所に導かなければなりません。自キャラの時間だけを操作できるという点が非常にユニークな作品。イチオシです。
敵キャラは蝶、鳥、豚などが登場。単にかがんだり、ジャンプしたりだけでなく、鉄棒にぶら下がったときの身体の伸びを利用するというロボットならではの避け方もあります。
Whitewater Wipeout
アタリの「California Games」のサーフィンを彷彿とさせるゲームが「Whitewater Wipeout」。波に乗って勢いをつけたら、大きくジャンプして大回転。回転数が多ければ多いほど高スコアを達成できるという単純明快なゲームです。
しかし、当然うしろからは着水できません。欲張りすぎは厳禁です。思い切りと冷静さの両方が必要というなかなか奥の深い作品です。
Hyper Meteor
これまたアタリの「Asteroids」を思い起こさせるのが「Hyper Meteor」。ただし本作には攻撃手段として砲塔は用意されておらず、弱点である白い部分に体当たりして破壊するゲームシステムを採用しています。
また、自機が中央固定ではなく、移動が可能という点もAsteroidsと大きく違うポイント。クランクでの繊細な操作が要求され、ぱっと見より結構難易度の高いゲームでした。
Star Sled
同じく宇宙を舞台にしたゲームが「Star Sled」。本作には攻撃手段はありません。美しい宇宙に浮かぶ「Sparks」を自機のうしろにのびる光の軌跡で囲むのがミッションです。
ふたつのSparksを同時に囲んではいけないので、針に糸を通すような繊細な操作が必要とされますが、Playdateのクランクは方向の微調整が容易。クランクを装備したPlaydateならではの作品です。
b360
最後にご紹介するのはPlaydateのメーカーであるPanic製ゲーム「b360」。一目でわかるとおり、本作は360度対応のブロック崩しゲームです。全方向へのボールを打ち返すためには、素早く、正確なパドル操作が必須。Panic製ゲームだけに、クランクを最大限に活用したお手本のようなゲームと言えます。
Playdateは待った甲斐あり! 予約した人すべてに早く届け!!
初めてPlaydateの存在を知ったときには、完全オリジナルの携帯ゲームに正直若干の不安を感じていました。
しかし、こうして製品版の実機を手にし、リリースされる全タイトルをプレイし(さすがにクリアーはしてないですよ)、充実した開発環境を見てみると、その予想はいい意味で裏切られたと感じています。この出来なら、すでに予約している方々のもとにPlaydateが届けば、「待った甲斐があった」と喜びの声を上げることでしょう。
予約しているすべての方にできるだけ早くPlaydateが行き渡ること、そしてシーズン2では全ユーザーが同時にゲームを楽しみ、盛り上がりたいものです。「Group #2」(1~2万台予約ぶん)の筆者もじっくりと到着を待ちたいと思います。
【お詫びと訂正】初出時、RAM容量を16GBとしていましたが、正しくは16MBです。お詫びして訂正いたします。(2022年4月21日 20:15) |