オクラにはどのような栄養が含まれているのでしょうか。ネバネバの正体は一体何なのでしょう。本記事ではオクラの栄養についてくわしく解説。「オクラって何にいいの?」といった疑問にこたえます。
オクラのおすすめの調理法や保存方法などにも触れていますので、ぜひ参考にして、食卓に取り入れてみてくださいね。
オクラとは
オクラはアオイ科トロロアオイの属種の一年草です。原産国はアフリカで、日本に入ってきたのは明治時代のころで比較的最近だとされています。花はハイビスカスを思わせる華やかさで、それが咲き終わるとオクラの実になります。
オクラの旬は
オクラは、7~8月に旬を迎える、代表的な夏野菜のひとつです。汗をたっぷりかく夏に不足しがちなミネラルやビタミンを多く含むため、夏バテ防止に役立つ野菜です。主に沖縄や九州、四国など暖かな地域で栽培されていますが、旬以外の時季はハウス栽培のものや外国産のものが流通しています。
オクラと花オクラは別物
同じアオイ科トロロアオイの属種に、花オクラというものもあります。これはオクラのように実を食べるのではなく、エディブルフラワーとして花を食べます。しぼんだ状態を天ぷらやおひたしなどにして楽しみますが、オクラのようなネバネバ感があります。花オクラの根の部分は和紙をすくときのつなぎ(ネリ)にも使われます。
オクラの種類・品種
オクラと言ってもその種類は意外に多く、一般的な角オクラのほか、丸オクラ、赤オクラ、白オクラ、ミニオクラなどがあります。
店頭でよく見かけるのは、五角形をした角オクラでしょう。カットしたときの断面がくっきりとした五角形で星を連想させるので、七夕のそうめんにトッピングされることもあります。丸オクラはサイズも色もこの五角形のオクラと同じですが、角がなく丸くて、断面も丸いのが特徴です。
赤オクラの品種には”レッドサン”という鮮やかな赤紫色のものがありますが、加熱すると色が抜けて緑色になります。赤色を活かすなら生食がおすすめですが、食感がややかたいので細かくきざむなどの工夫が必要です。
ミニオクラは、オクラの生育段階で早摘みしたもの。成熟する前の若くやわらかい身で、サラダに適しています。しかしこのミニオクラを店頭で見ることはなかなかありません。家庭菜園でオクラを育てている方は、ぜひ早めに収穫して食べてみるのも良いでしょう。
オクラの栄養成分
ここからは、オクラの栄養成分を見ていきましょう。
<オクラ(生)>※100g当たり
エネルギー: 26kcal
・たんぱく質: 2.1g
・炭水化物: 6.6g
・食物繊維: 5g
・β-カロテン: 670μg
・ビタミンB1: 0.09mg
・ビタミンB2: 0.09mg
・葉酸: 110μg
・ビタミンC: 11mg
・カリウム: 260mg
・カルシウム: 92mg
・マグネシウム: 51mg
・アスパラギン酸: 220mg
<オクラ(茹で)>※100g当たり
エネルギー: 29kcal
・たんぱく質: 2.1g
・炭水化物: 7.6g
・食物繊維: 5.2g
・β-カロテン: 720μg
・ビタミンB1: 0.09mg
・ビタミンB2: 0.09mg
・葉酸: 110μg
・ビタミンC: 7mg
・カリウム: 280mg
・カルシウム: 90mg
・マグネシウム: 51mg
・アスパラギン酸: 320mg(推定値)
オクラにはカリウム、β-カロテンが多い
オクラにはカリウムなどのミネラルが含まれています。カリウムは体の余分なナトリウムや水分を排出し、高血圧やむくみを防ぐ効能があります。
ほかにも、オクラに含まれるβ-カロテンには抗酸化作用があるとされるほか、体内でビタミンAとなり粘膜を健やかに保つなどの作用があります。このβ-カロテンの含有量は、多いとされるレタスのおよそ3倍です。また、オクラには骨の形成に必要なビタミンKも含まれます。
オクラには疲労回復につなげるアスパラギン酸も
オクラには、アスパラギン酸も含まれます。このアスパラギン酸とは、体の代謝と深く関わり、疲労回復作用があるとされる栄養成分。アスパラほどではないにしろ、オクラにも豊富に含まれています。
オクラのネバネバの正体は「ペクチン」などの食物繊維
オクラ特有のネバネバとしたぬめりは、ペクチンといった糖類の一種。ペクチンは体の中で水溶性食物繊維として働き、水分を含んでゲル化することで、便を出しやすくする作用があります。また、脂質の吸収を抑え、コレステロール値を下げるなどの作用もあります。
オクラは栄養が不足しがちな夏場にぴったり
オクラに含まれるミネラルやビタミンは、大量の汗をかく夏場に不足しがちな栄養素。しっかり補っていきたいものです。また、特有の粘りが料理の味の絡みをよくし、さらにつるんとした食感は食欲がわきにくい夏にぴったりです。
オクラの調理方法
煮てよし、焼いてよし、炒めてよしのオクラですが、栄養を効率よくとるにはどう調理するのがよいのでしょうか。
オクラの栄養素は加熱時に失われる場合も
オクラに含まれるカリウムやビタミンCは水溶性のため、ゆでると水に溶け出してしまいます。スープやカレーなどでスープごといただく分にはよいですが、ゆでてからざるにあげてしまうと、溶けだした栄養素も流れてしまいます。
そこでオクラを加熱する際は、電子レンジ調理がおすすめです。耐熱皿に並べ、ふんわりとラップをかけてから加熱します。時間は短時間でOKなので、様子を見ながら加熱しましょう。切ったりきざんだりするのは、加熱してからがおすすめです。
オクラの産毛はどうする?
オクラの産毛は食べられますが、雑味を減らすためにも事前に取り除くとよいでしょう。オクラにひとつまみ程度の塩をまぶし、こすりながらこそげ落とします。同時に塩味がうっすらと付くので、一石二鳥です。
細かくきざむほどに粘りがアップ
オクラは加熱後にそのままだし汁に漬ければお浸しに、甘酢に漬ければピクルスになります。カレーのトッピングにもおすすめです。細かくきざむほどに粘りは増し、冷ややっこやそば、そうめんなどのトッピングにぴったり。粘りが味をしっかり絡ませるので、食欲が下がりがちな夏場にはうれしいですよね。
オクラの選び方
オクラは、時間が経つにつれしんなりとして、根元が茶色く変色してきます。購入する際は、全体にピンとした張りがあり、緑色が鮮やかなものを選ぶようにしましょう。
生育が進んだ大ぶりのオクラは少し苦みが出てかたくなっていることがあり、小ぶりのオクラのほうがやわらかく味もおいしいとされています。
オクラの保存方法
オクラは暖かい地域の野菜なので、低温や乾燥が苦手です。家庭で保存する際は、ポリ袋に入れたりキッチンペーパーに包んだりして、冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
オクラの栄養素は冷凍するとどうなる?
オクラは冷凍保存することもできます。加熱後に粗熱をとってから、ラップで数本ずつ包み、チャック付き保存袋に入れて冷凍室へ。オクラの栄養素は冷凍しても、さほど変化はないとされています。
市販されている、冷凍オクラなどの商品も便利です。
オクラで夏に不足しがちな栄養を補おう
オクラには、カリウムやβ-カロテンといったミネラルやビタミンが豊富。疲労回復につなげるアスパラギン酸も多く含まれています。オクラのあのネバネバの正体は、ペクチンなどの食物繊維。腸内で水分を抱えてゲル化して、便を出しやすくします。
こうした栄養素は水溶性のため、オクラはゆでるのではなく電子レンジ加熱にするのがおすすめ。スープに加える際は、栄養素が溶け出したスープごと食べるようにしましょう。
オクラは鮮度が落ちやすい野菜なので、すぐに食べない場合は加熱してから冷凍保存するのがおすすめです。冷凍しても栄養素はさほど変わらないとされています。ミネラルやビタミンを含むオクラ、夏場の食事に取り入れてみてくださいね。