近畿日本鉄道は15日、国土交通大臣に対し、2023年4月1日を実施予定日として、平均17.0%の改定率で運賃改定を申請したと発表した。同社は安全・安心・快適な輸送サービスを継続するため、運賃改定申請の準備を行ってきたという。
沿線の少子高齢化等によって利用者が減少する中、近鉄は消費税率引上げに伴う運賃改定を除き、1995(平成7)年9月以来、約27年の間、運賃を据え置いてきた。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、利用はさらに大きく減少。厳しい事業環境に陥っているという。会議や買い物のオンライン化、いわゆる「新しい生活様式」がすでに定着しつつあり、不断の経営努力をもってしても、これらによる収入減少を補うことは困難な状況としている。
一方、健全な鉄道運営を維持するために、車両・設備の更新、バリアフリー整備、防災対策等を今後も継続的に行い、安全性・利便性を確保していく必要がある。そのため、2023~2025年度の3年間で、約860億円の設備投資を計画しているとのこと。
設備の健全性維持、安全対策なとを引き続き強化していくほか、老朽化した一般車両の更新、車内防犯対策の強化、激甚化する自然災害への対策、可動式ホーム柵設置などのバリアフリー整備の加速、駅のリニューアルなど快適な利用環境のさらなる整備、将来へ向けた技術開発などを推進する。
運賃改定が実施された場合、現行の普通旅客運賃160円の区間は180円、500円の区間は590円、1,020円の区間は1,210円、2,050円の区間は2,430円、3,000円の区間は3,560円に。なお、通勤定期運賃の改定率は18.3%、通学定期運賃の改定率は9.2%で、通学定期券は改定率を抑えている。特急料金(特別車両料金・個室料金含む)、鋼索線の運賃は改定されない。