4月8日の公開からヒットスタートを切った映画『チェリまほ THE MOVIE』。豊田悠氏による同名人気コミックを実写化した同作は、「触れた人の心が読める魔法」を手に入れた冴えない30歳のサラリーマン・安達清(赤楚衛二)と、社内随一の人気者で仕事もデキる同期・黒沢優一(町田啓太)の恋模様を描く。テレビ東京の木ドラ25枠で『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』として放送されると深夜枠にも関わらず注目を受け、海外人気も爆発することとなった。
今回はドラマの企画から同作を手がけた、テレビ東京 本間かなみプロデューサーにインタビュー。映画化に至った経緯や、そもそも赤楚、町田といった魅力的なキャストにオファーをした理由など、話を聞いた。
■ダイジェスト映画の企画を「その後の世界」に
――今回映画化ということで世間から驚かれたとも思いますが、どういう経緯で映画化に至ったのでしょうか?
ドラマ版の最終回が終わったぐらいに配給のアスミック・エースさんが、ドラマのダイジェスト映画のお声をかけてくださったんです。色々考えたり悩みもしましたが、作品を応援してくださった方々、ドラマが終わっても温かいお手紙をくれる方々に少しでも応えられたらいいなと考えたとき、ダイジェストよりもその後の世界を描く方が良いのではと思って、新撮で贈る劇場版『チェリまほ』の企画を、逆にアスミックさんに相談させて頂いて、豊田先生にも相談させて頂いて……という感じです。
――赤楚さん、町田さんの魅力も人気の一つとして大きかったと思いますが、そもそもお二人をキャスティングしたのはどういう意図があったのでしょうか?
赤楚さんは『わたし旦那をシェアしてた』というドラマで見ていて、気になる存在感の人だなと印象に残っていたんです。「表向きは明るい好青年だけど、実は後ろ暗さを抱えている」という役で、その陰と陽のバランスや生っぽいお芝居がすごく素敵だなと思っていました。安達はモサくしても愛らしさが光る方、視聴者が思わず応援したくなるような愛され力のある方がいいなと思っていたので、このバランス力と瑞々しさを持つ赤楚さんなら愛される安達になるんじゃないかなと思って、オファーをさせていただきました。
――たしかに赤楚さんはぴったりでしたね。町田さんはいかがですか?
町田さんは本当に色々な役を演じられていると思いますが、『PRINCE OF LEGEND』『中学聖日記』など、抑えたお芝居でも訴えかける力の強さがある方、「真面目にやっているのが面白い」が抜群に上手な方なんだという印象がありました。黒沢はピュアで切ない恋心にフォーカスを当てていきたいと思っていたので、コミカルなお芝居の起爆力もあり、ピュアな切なさも映える町田さんにオファーさせていただきました。
――『PRINCE OF LEGEND』の町田さんは本当に見た時に「すごい人だ」と思いました。
シリアスなお芝居もできる方なのに、ギャップがすごい。「ハンサム」という言葉が似合う感じも黒沢っぽくて素敵だと思いました。
――お二人とも『チェリまほ』のヒットもあってどんどん注目されているように思います。
個人的には初めて成立した企画、初めてのプロデュース作品だったので、赤楚さん、町田さんに限らずオファーを受けてくださった方々には「どんな結果になっても『やってよかった』と思ってもらえる作品にしたい」と思っていたんです。今仰ってくださったように、皆さんのご活躍の幅が広がったという見え方がされているのであれば、すごく良かったです。
――お二人が本当に信頼しあっているという点も大きいと思いますが、今回の撮影中ではどのような様子でしたか?
お互い肩の力がより抜けて、ラフな関係になっているように見えて微笑ましかったです。「仲がいいなあ」と見ていました。アドリブの応酬というのか、細かいお芝居や動きに、お互いが敏感に反応していくんです。そういった瞬発力は、関係性が進んだからこそ強くなったところなのではないかと思います。
――海外の反響も大きく、映画になることで、また色々な地域で公開してほしいという声もあるかと思います。
今、台湾・香港・韓国・タイ・カンボジア・ラオス・ミャンマーでの上映が決まっています。通常、海外上映は映画が完成してからセールスにかけるものだそうなんですが、『チェリまほ』はその段取りを踏む余裕がなく、映画化が解禁されてから色々な国の方々が自主的に問い合わせをくださったという珍しいケースだと聞いています。
――それだけ熱い反響があるということですね。
誰も想像していなかったです。私も、海外の方々からの反響を目の当たりにした経験がなくて……言語を越えて同じように楽しんでくださる方々がこんなにいらっしゃるとは、とてもありがたいことですし、ぜひ応えていけたらと思っています。
■本間かなみプロデューサー
2022年テレビ東京入社。これまでのプロデュース作品はドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『うきわー友達以上、不倫未満―』。