落語界、そしてお笑い界を牽引し、現在は上方落語協会特別顧問を務める桂文枝。吉本興業を代表する存在として、4月2日・3日に行われた吉本興業創業110周年特別公演「伝説の一日」では、幕開けとなる初回公演の口上を務めた文枝にインタビューし、落語界や吉本興業への思い、今後の活動について話を聞いた。

  • 桂文枝

「伝説の一日」の口上で、「1912年に吉本興業が始まりました。私は吉本に入って55年、ちょうど半分になります。ずっと笑いをつないできて、我々も次の世代に笑いをつないでいきたいと思います」と力強く挨拶した文枝。

110年続いてきた吉本興業の強さについて、「吉本吉兵衛と吉本せいによって吉本興業が始まり、2人が育てた芸人さん……エンタツ・アチャコや初代春団治たちのお客様を楽しませたいという気持ちが我々にも受け継がれている。戦前・戦中・戦後と受け継がれ、コロナ禍でも皆さんに楽しんでもらいたいという気持ちを強く持っている」と捉え、「それを僕らが次につなぎ、若い人たちがもっと若い人たちにつないでいく。そういう風にしていけば、150年、200年と続いていくと思います」と語る。

「伝説の一日」は、明石家さんまやダウンタウンをはじめとする吉本芸人が総出演。所属芸人にとっても特別なイベントであり、文枝は初開催となった10年前の100周年時の「伝説の一日」を振り返り、「なかなか一緒になることがない東京の芸人と大阪の芸人が見事に勢ぞろい。イベントもさることながら、終わった後にみんなで宴会したときに吉本のすごさを感じました」としみじみ。

「さんまさんが中心になってみんなで『いらっしゃ~い』をやろうと言ってくれて、みんなで『いらっしゃ~い』した写真は僕にとってすごく記念になったし、それまでやってきたことがあの一日によって伝説になったなと感じました」と述べ、10年ぶりにまた開催できて「うれしい」と喜んだ。

  • 吉本興業創業110周年特別公演「伝説の一日」の千穐楽四回目公演「さんまの駐在さん」で共演した桂文枝と明石家さんま

今年の「伝説の一日」では、さんまは「さんまの駐在さん」で盛り上げ、ダウンタウンは31年ぶりとなる漫才で魅了。“初代駐在さん”の文枝も千穐楽の「駐在さん」に出演し、さんまとの息の合った掛け合いで観客を笑わせた。

文枝は、さんまとダウンタウンの頼もしい活躍を「非常にうれしい」と喜びつつ、「年齢的に、もう次の人が出てきてもいいような感じがしていますし、彼らがそれを一番感じていると思います。だから、どう彼らが次の人を育てるかということだと思います」と次なる吉本のビッグスター誕生を期待する。