星野リゾートは4月13日、2022年春の記者発表会を開催。代表の星野佳路氏が今後の事業展開について語った。
同社では運営特化戦略を採用。「ホテル・リゾート事業には開発・所有・金融・運営の4つの役割がありますが、日本の稼業としてのホテルは開発・所有・運営を一体として行っているケースがほとんど。私たちは1991年から運営に特化するという戦略で業績を伸ばしてきました。56施設の中で約20施設が所有・運営させていただいている案件となっています」(星野氏)。
2022年は国内で10施設を開業
同社は国内外に56施設を開業し、2022年4月以降に新たに6施設の開業、1施設のリニューアルオープンを予定している。2022年1月以降すでにオープンしている施設を含めると、新規開業施設数は10施設、計62施設の展開となる。
温泉旅館「界」は、2022年8月に「界 由布院」、11月に「界 雲仙」と「界 出雲」を開業し、さらに「界 玉造」がリニューアルオープンする。また、都市観光ホテル「OMO(おも)」は、2022年4月に「OMO7(おもせぶん)大阪」、5月に「OMO5(おもふぁいぶ)金沢片町」を開業。これまで長野県軽井沢、茨城県土浦に展開していたルーズに過ごすホテル「BEB(ベブ)」には2022年7月、沖縄で新たな施設がオープンする。
その他、星野リゾートでは、独創的なテーマが紡ぐ圧倒的非日常「星のや」、自然を体験するリゾート「リゾナーレ」といったブランドを展開。あわせて5つのブランドを中心に、国内外での開業を予定しているという。
ターゲットとする「スモールマス」とは?
同社ではコロナ禍での新たな取り組みとして、ある程度大きな市場のあるセグメントを集中的にターゲットにする「スモールマスマーケティング戦略」をとっている。アフターコロナに向けて、ターゲットとしている「スモールマス」について星野氏が語った。
セコマ会員の北海道民
まずは、12施設を運営する北海道での取り組み。地元を旅する道民に向けて、セイコーマートクラブ会員限定の優待プランや電子マネーが貯まる「旅々貯まる北海道旅プロジェクト」を開始した。
ビジネス利用
ビジネス利用の客にも力を入れる。これまでにもOMOで連泊専用のお得なプラン「憧れのリモート書斎プラン」を提供。5月1日からは、OMO宿泊利用者を対象に快適にオンライン会議ができる個室「OMOワークルーム」(1時間500円/1室あたり)を貸し出すほか、WeWorkと提携し双方の利用者に向けた特典サービスを提供開始する。
また、4月13日から同社初のポイントプログラム「OMO ポイント」を開始。宿泊総額20万円で貯まったポイントは全国の星野リゾートで使える「星野リゾート宿泊ギフト券」に交換できる。ビジネス利用で貯めたポイントでプライベートの旅行を楽しむことを後押しする。
新たな市場創造
新たな市場創造として、KabuK Styleが提供する旅のサブスクリプションサービス「HafH(ハフ)」と資本業務提携。4月13日から、「OMO」と「BEB」の全13施設の予約受付を開始した。今後も予約可能施設の拡大を順次予定していく。
シニアマーケット
シニアマーケットに対しては4月13日、「界」で70歳以上の方限定の温泉旅館サブスクリプション「温泉めぐり 界の定期券」をスタート。
ミレニアル世代とZ世代
ミレニアル世代とZ世代に向けては、「BEB」で宿泊料金を通年定額で提供する「29 歳以下エコひいき」プラン、「界」で20代の旅を応援する特別プラン「界タビ 20s(かいたびとぅえんてぃーす)」を提供している。卒業旅行ニーズに合わせた"卒旅"プランも好調という。
愛犬家
4月1日から、愛犬と泊まれるホテル・旅館を9施設から46施設に拡大した。
また、4月に始まった「プラスチック資源循環促進法」を受けて調査を進めているとし、「歯ブラシなどのホテルアメニティは無償の使い捨てを廃止、持ち帰ってくり返し使用できる質の高いものを必要な人に手頃な価格で提供する」ことを提案していくという。
海外での新たな展開も。4月13日、米国準州グアムに位置する「Onward Beach Resort Guam(オンワードビーチリゾートグアム)」の経営法人である Onward Beach Resort Guam Inc.の株式等を取得。今後は当施設の運営に参画、一定の改装を実施した後に、星野リゾートブランドのホテルとして再スタートする。海外において 5軒目の運営、米国での第2号案件。