東京商工リサーチは4月12日、2021年度「焼肉店」倒産状況を発表した。それによると、2021年度の焼肉屋の倒産は18件となり、過去最少だった前年度(12件)の1.5倍に増加した。
小・零細規模店の淘汰が始まりつつある
2020年度はコロナ禍で飲食業の客足が遠のくなか、焼肉店は支援策や換気効果で顧客の安心感を取り付け、さらに消費者のコロナ疲れによる"ペントアップ需要"で人気が広がり、倒産件数は過去最少を記録。しかし、コロナ禍が長引くにつれ飲食業界は厳しさが増し、大手居酒屋チェーンが焼肉屋に業態変更するなど、焼肉人気を当て込んだ新規参入が目立ち、風向きが変化してきた。
フードサービス協会によると、2021年の焼肉店の売上高は前年比9.2%減と落ち込み、2019年と比べると売上高は22.5%も減少。2021年度に倒産した焼肉店18件のうち、14件はコロナ関連倒産だった。また、倒産原因が「販売不振」の倒産と、「負債1億円未満」の倒産は、各16件(構成比88.8%)と9割近くに上り、「味や価格、店舗の雰囲気で顧客に選別された小・零細規模の店の淘汰が始まりつつある」という。
焼肉店の倒産は、2021年度は2年ぶりに増加に転じたが、2012年度以降では3番目の低水準にとどまっており、コロナ関連支援で抑制されている状況だ。同調査では、「コロナ関連の支援効果も希薄化が進んでいる。焼肉店が客足を取り戻すため、どこまで消費者にアピールできるか。ブームだけで生き残るには難しい時期を迎えている」と分析している。