TBSグループではSDGsキャンペーン「地球を笑顔にするWEEK」の実施をはじめ、様々な分野で国連のSDGs(持続可能な開発目標)に貢献する取り組みを進めている。その一環として、このたび、TBSスパークルが制作し、BS-TBSで放送中の番組『Style2030 賢者が映す未来』(3月20日放送回)が、イギリスの団体「アルバート」がCO2排出削減などの面で「Sustainable Production」(=サステナブルな作品)と認めた番組に与える「アルバート認証」の「2つ星」を取得した。認証の取得は日本の民放の番組としては初めて。

  • アルバート認証を取得した3月20日放送回の収録の模様。ゲストは映画作家の河瀨直美

『Style2030 賢者が映す未来』は、BS-TBSで2021年5月から月1回放送している「SDGs」をテーマにしたトーク番組で、ホストはジャーナリストの龍崎孝氏。毎回ゲストとの対話を通じて、SDGsの目標達成期限である2030年に私たちの社会や暮らしはどうあるべきかを考え、新しい生き方のヒントを探る。アシスタントはTBSの皆川玲奈アナウンサー。ゲストには、ヤマザキマリ(漫画家・文筆家)、福岡伸一(生物学者)、本郷和人(歴史学者)、斎藤幸平(経済思想家)、河瀨直美(映画作家)ら、各界から多彩な顔ぶれが登場してきた。

「アルバート認証」とは、イギリスのBBCが立ち上げた業界コンソーシアム「アルバート」が管理運営する認証制度で、番組制作の過程で出るCO2やゴミの量を数値化し、削減への貢献度から3段階の認証を与える。CO2排出量(Carbon Footprint)は、移動手段や距離、各作業場所での消費電力量、ゴミの量などをアルバートのシステムを使用して算出。削減への貢献度(Carbon Action Plan)は、スタッフや業者との目標の共有、取り組みの実施、領収書などの証憑書類などから判断される。制度は2014年にスタートし、これまでに世界で約2500作品が認証を取得している。イギリスBBCは、今年1月から発注する全てのテレビ番組で、アルバート認証の取得を義務付けている。

BS-TBS『Style2030』を制作をするTBSスパークルは、2021年10月にSDGs推進委員会を立ち上げ、オフィスや番組制作現場でのSDGs推進に取り組んできた。今回、TBSスパークルのスタッフの発案のもと、『Style2030』は、SDGsを考える番組として、番組の制作体制からもSDGsに取り組んでいくことを決め、その一環として、イギリスで広く採用されているアルバート認証の取得を目指した。

「アルバート認証」取得に向け、番組スタッフは、出演者や技術・美術スタッフら番組制作に関わるすべての人の協力を得るために、必要なAction=行動をまとめた「Green Memo(グリーンメモ)」を作成して呼びかけ。会議などの準備から、スタジオ収録当日、編集・MAのポストプロダクションまで様々な取り組みを行い、1回の放送あたりのCO2排出量を削減することを目指した。そして、3月20日の放送によるCO2の排出量を、アルバートのシステムを利用して測定。作業場所、撮影、場所移動、小道具・資料等、ゴミ・廃棄物、ポストプロダクションそれぞれでのCO2の排出量の合計が「0.76371トン」と算出され、認証を申請。審査期間を経て、先日番組あてに、3月20日放送分についての「2つ星」の審査結果がメールで通知された。

番組では今後も、CO2排出量削減も含め、番組制作過程におけるSDGsの取り組みを続けていく。『Style2030』次回の放送は、4月17日10:00~10:54。ゲストにウクライナ難民や被災者支援にも取り組む、世界的建築家の坂茂氏を迎える。

関係者コメントは以下の通り。

■番組MC 龍崎孝(ジャーナリスト・流通経済大学副学長・教授)

「サステナブルに暮らす」ってどうすればいいのだろう。私がたどり着いたのは「ていねいに暮らす」ということです。毎日、部屋を整理整頓する。ゆっくりと駅に向かって歩く。時にはお弁当を自分で作ってみる。自然を意識し、体のリズムに則った暮らし方を実行してみたら「サステナブル」って気づきました。番組の取り組みも特別なことではありません。当たり前のことを皆で丁寧にやってみたら◎。当たり前なのにうれしい、それがSDGs。

■番組MC 皆川玲奈(TBSアナウンサー)

日頃、自宅や仕事場で実践していることを、収録の場で皆で共有して行うと、SDGsの意識が生活に根付いていると感じます。これからの暮らしやすさを考えたときに、私は何をしていくか。まずは便利な時代に生きていることに感謝。これまでの価値観をひっくり返す勇気、時間や手間がかかるものを取り入れる余裕を持ち、見栄えが良いものが本当に良いものなのか、本質を見極めていきたいです。

■番組プロデューサー・片山賢太郎(BS-TBS 報道情報局報道番組部)

「あれ? ずいぶん少ないね」アルバート認証制度に申請を決めた後の収録日。ごみの量が劇的に減っていました。皆でやろうと決めたら、こうも変わる? と新鮮な驚きでした。半面、それまでは「変わらないこと」を受け入れていたのだな、とも。番組は毎回、新たな気づきと、変化を後押しする「賢者」の言葉であふれています。ぜひそうした言葉の数々に触れてみてください。

■番組プロデューサー・石郷岡真実子(TBSスパークル)

今回、予備知識のない中での申請作業はまさに手探りでしたが、これまで番組で取り上げるだけだった地球環境の話に、番組制作を通して微力ながらも「参加できる」といううれしさを感じました。この申請で大事な要素のひとつが、スタッフや出演者、業者などすべての関係者に働きかけ「巻き込んでいく」ことだったと私は思います。本当にすべての方が、嫌な顔ひとつせず快く協力してくださいました。ありがとうございました。

■TBSスパークル・SDGs推進委員会 委員長・宮崎晶子

予算や人的リソースに余裕がなく、とかく時間に追われがちなテレビの制作現場で、番組スタッフが自ら「環境に配慮したモノづくり」を進めるのは、相当大変な作業になります。今回のノウハウを広く共有することで、TBSグループ、さらには日本のテレビ業界で働く1人でも多くの方に「テレビでもやればできる」と感じていただき、現場のサステナビリティへの理解が深まっていくことが大切だと思っています。

■TBSホールディングス・社長室SDGs企画部 部長・井上波

TBSグループとしてSDGsへの取り組みを推進してきた中で、今回のように番組制作者が率先して非常に手間のかかるCO2排出量の計算と、現場での排出削減への取り組みを行ったことは、とても意義深いことだと考えています。これをきっかけに、今後もグループ全体で地球環境に貢献できる“サステナブルな番組作り”のあり方に知恵を絞っていければと考えています。

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