米国の制裁の影響でシェアを落とした中国
欧州と日本のトータル売り上げのシェアは前年同様の6%となっている。日本はIDMのシェアが8%とそれなりにある一方、ファブレスが1%と、韓国や欧州同様に育っていない。一方の欧州もIDMのシェアは9%とそれなりにあるが、こちらはInfineon Technologies、STMicroelectronics、NXP Semiconductorsの3社の貢献が大きい。
Omdiaの調査によると、2021年の半導体企業売上高ランキングで欧州勢と日本勢は、以下の様になっており、欧州勢の方がやや優勢となっている。
- 11位:Infineon Technologies
- 12位:キオクシア
- 13位:STMiceoelectronics
- 14位:NXP Semiconductors
- 15位:ルネサス エレクトロニクス
- 18位:ソニー
そして中国は、IDMがほとんど育っておらず、ファブレスのシェアも2021年の15%から2022年は9%と一気に6ポイント落とし、トータルでも前年比で1ポイント減の4%にとどまっている。Huaweiが米国商務省の制裁により最先端半導体のTSMCへの製造委託ができなくなったり、半導体大手の清華紫光集団の経営破たんなどが影響した模様である。
中国は、世界一の半導体消費大国となっているが、半導体設計・製造大国には至っていない。
1990年以降の国・地域別IC市場シェアの推移をみると、日本勢は、1990年に約5割のシェアを占めていたものの、その後は年々順位を下げ、直近では1桁台にまで下落している。欧州も、日本同様に6%ほどと高くないものの、30年前もそのシェアは9%ほどであったので、シェアの減少割合は緩やかといえる。
一方、そうした下落傾向の日本、欧州に対し、米国とアジア勢は、1990年以降シェアを上昇させ続けており、日本を除いたアジア企業のシェアは、1990年の4%から2021年には34%にまで増加。この間のIC売上高の年平均成長率は15.9%に相当し、同じ期間のIC市場全体の年平均成長率8.2%を大きく上回る成長率となっている。
なお、IC Insightsの調査統計の中において、地域・国別生産能力調査のみ、本社ではなく各製造工場の所在国・地域で分類している。また、今回の統計には、ファウンドリの売り上げは含まれておらず、その売り上げは、製造委託元であるIDMやファブレスの売り上げとして計上されている。