白菜は代表的な冬野菜。寒さの中でぐっとうまみを蓄えた白菜は、煮込めばとろり、炒め物やサラダではシャキシャキの歯ごたえが楽しめます。
では白菜にはどんな栄養があるのでしょうか。水分ばかりで栄養はないと思っている人もいるのではないでしょうか。
白菜は95%が水分で低カロリーの野菜ですが、カリウム、食物繊維、ビタミンCなどの栄養素も含んでいます。本記事ではこれらの栄養素とその効能を解説していきます。さらに白い軸の部分に見かける黒い点々の正体や、大きな野菜だからこそ知りたい正しい保存方法についてもまとめました。
白菜とは
白菜は、キャベツやチンゲンサイと同じアブラナの一種です。英語で「chinecabbage」というように、 中国が原産の野菜だとされています。「白菜」という名前は、大きく成長するにつれ、白い軸の部分が太くなることから来ています。
白菜の旬はいつ?
白菜は年間通じて店頭に並んでいますが、もっとも流通量の増える旬は11~翌年2月ごろだとされています。寒い時季の白菜は甘みやうまみがしっかり。主な産地は茨城県、兵庫県、長崎県、千葉県、熊本県などです。
白菜の種類
白菜は、結球、半結球、不結球の3タイプに分かれます。それぞれの特徴は下記の通りです。
結球タイプ
中心を包むように葉が結球した円筒形で、外葉は緑色、中は黄緑~黄色。一般的に「白菜」として販売されているのがこの結球タイプです。オレンジ白菜、ミニ白菜、たけのこ白菜なども結球タイプです。
半結球タイプ
結球タイプが葉の先端近くまで締まっているのに比べ、根元からゆるやかに結球し、葉が外側へ開いているのが半結球タイプ。山東白菜(山東菜)や花心白菜(かしんはくさい)などの品種があります。肉厚という特徴を生かし、漬物にも重宝されます。
不結球タイプ
葉が結球せず広がっている白菜のこと。代表的な品種は、広島菜、たばね白菜、てごろ菜などです。
白菜の栄養素
白菜は水分が多く、緑黄色野菜のように色が濃くないため、栄養素が少ないと思われがち。では実際はどうなのでしょう。以下に主な栄養素を抜粋します。
※日本食品標準成分表2020年版による(生の白菜100gあたり)
エネルギー: 13kcal
・水分:95.2g
・たんぱく質: 0.8g
・炭水化物: 3.2g
・カリウム:220mg
・カルシウム:43mg
・葉酸: 61μg
・ビタミンC:19mg
・ビタミンK:59μg
・食物繊維総量: 1.3g
白菜は約95%が水分ですが、カリウムや食物繊維、ビタミンCなどの栄養素も含んでいることが分かります。
白菜は低カロリー
白菜は緑黄色野菜や根菜に比べ、カロリーは低め。上の数字から、生の白菜100g当たり13kcalであることがわかります。この100gとは、白菜の葉1枚と1/4程度の分量です。仮に白菜を1/4個分(500g相当)食べたとしても、カロリーは65kcal程度ということになります。
白菜の効能・効果
カロリーが低めでたっぷり食べても安心の白菜。みずみずしいその葉には、新陳代謝を促し、美肌を保つなどの効能がある栄養素が含まれています。以下にくわしく解説します。
ビタミンCで免疫力アップや美肌効果
コラーゲンの生成やメラニンの生成を抑える効果があるとされる、ビタミンC。抗酸化作用があり、免疫力を向上させて風邪などの病気から体を守る働きがあります。厳しい寒さで免疫力が下がりやすくなる冬に、白菜はぴったりの野菜だといえます。
カルシウムの吸収をよくするビタミンK
ビタミンKは血液凝固を促し、骨の形成に必要とされる栄養素です。骨粗しょう症の治療薬にもビタミンKは用いられています。
カルシウムはほうれん草とほぼ同じ含有量
白菜は同量のほうれん草に匹敵する程度のカルシウムを含んでいます。また、加熱するとかさがぐんと減るため、さらに多くのカルシウム摂取が可能に。たとえば、鍋料理でたっぷり食べる場合、白菜1/4玉(500g)のカルシウムは、コップ約1杯分(200ml)の牛乳に含まれるのとほぼ同量(220mg)になります。
造血や新陳代謝を促す葉酸
造血のビタミンと言われる葉酸も含んでいます。葉酸は、胎児の成長に重要な働きがあることから、妊娠中には特に意識してとりたい栄養素。鉄分の吸収を高めるビタミンCの働きに加え、葉酸の造血効果は貧血予防にも効果的です。
むくみ予防につなげるカリウム
白菜に含まれるカリウムは、体の余分なナトリウム(塩分)や水分の排出を促す働きがあります。そのため血圧を一定に保って高血圧を防ぎ、むくみなどの症状も改善につなげます。
食物繊維でお腹すっきり
食物繊維は100g中1.3gと決して多くはありませんが、漬物や鍋料理にするとかさが減るため、無理なく取り入れることができます。また、白菜はキムチや漬物に重宝されますが、これらに含まれる乳酸菌と食物繊維のダブルの働きで、腸内環境を改善する効果が期待できます。
白菜の選び方
白菜は、丸の状態のままか、2等分または4等分にカットされた状態で売られています。それぞれにどう選べばいいのか、ポイントを紹介します。
丸ごとの場合
結球タイプの白菜は、先端にかけてぎゅっと締まっているものを選びましょう。ずっしりと重みがあり、根元の白い部分に張りがあるものがみずみずしい白菜の目印です。外葉が外されているものよりも、できるだけ付いたままのものを選ぶのがおすすめです。
カットされたものの場合
カットされた白菜は、ギュッと葉が締まっているかどうかを確認しましょう。内側の葉は黄みを帯びているほうがおいしいとされています。白菜はカットされた後も成長が続いているので、時間が経つと断面が盛り上がってきます。そのため、店頭で選ぶ際は断面が平らなものを選ぶようにします。
白菜の黒い点々は「ゴマ症」
白菜の白い茎の部分に、時々小さく黒い斑点が付いていることがあります。「白菜の病気では?」「カビや汚れが付いているのでは?」と心配になる人もいるかもしれません。
この白菜の黒い斑点は「ゴマ症」と呼ばれるもので、白菜に含まれるポリフェノールが空気に触れたことで現れるもの。この原因には「白菜が急に寒さにあたったから」「生育過程で栄養過多になったから」など諸説あります。この黒い斑点が出ていても味に変わりはなく、食べても問題はありません。
白菜の食べ方
白菜は加熱によってかさがぐんと減るため、カリウムや食物繊維などの栄養素はたっぷりととることができるようになります。水に溶けだしてしまう栄養素もあるので、鍋料理や汁物、クリーム煮などはスープごと余さずいただくのがよいでしょう。
一方で、ビタミンCは加熱に弱く壊れてしまいます。そこで白菜は、生のままサラダにして食べるのもおすすめです。サラダにするときは、甘みとうまみが凝縮された根元に近い白い部分を使うようにしましょう。みずみずしく、シャキシャキの歯ごたえが楽しむことができます。
白菜の切り方
白菜は切り方によって食感が変わります。サラダにする場合は、繊維に沿って切ると、シャキシャキした食感が楽しめます。早く火を通したいときや、やわらかく仕上げたいときは、繊維を断ち切るように垂直に切るといいでしょう。
白菜の保存方法
白菜は丸のままでもカットされた状態のものでも、土の上で育っていた状態と同じように立てて保存します。横に寝かせて保存すると、白菜にストレスがかかり、傷むのが早まる可能性があるためです。基本的に冷蔵庫の野菜室で保存しますが、気温が低い冬であれば、冷暗所でも保存が可能。乾きすぎないよう、反対に湿気が多くなりすぎないよう、新聞紙などで包むとよいでしょう。
カットした白菜を保存する場合は、乾燥を防ぐためにラップなどでしっかり密封して、立てて保存します。切ってからはできるだけ早めに食べましょう。
丸ごと購入したものの食べきれない場合は、冷凍して保存するという方法もあります。生のものも、ゆでた状態のものもどちらでも冷凍可能。使いやすい大きさに切って、フリーザーバッグなどに入れて冷凍保存しましょう。解凍すると、シャキシャキした食感は失われてしまいますが、凍結で細胞壁が壊れた分、味しみがよくなるのでお浸しなどにおすすめです。
白菜をバランスよく取り入れて、健やかな体に
白菜は寒さが一段と厳しい11~2月ごろにうまみをぐんと増しますが、この時季は免疫力が落ちて体調を崩しがちに。白菜に含まれるビタミンCには免疫力アップの作用もありますので、鍋料理などでたっぷり食べるのは理にかなっているといえます。
また、白菜は低カロリーというのもうれしいところ。鍋料理のほか漬物、サラダ、炒め物に使えるほか、味付けも和洋中を選ばないため飽きることなく楽しめます。健康な体、美容、ダイエットに、白菜を取り入れてみてはいかがでしょうか。