今回は、ヨドバシカメラで購入できる文房具の売れ筋を調査すべく、ヨドバシカメラ マルチメディア横浜にお邪魔しました。
文房具は、老若男女が季節を問わずに使う極めて身近な道具ですが、同店では例年、2月の終わりから4月までがかき入れ時になっているそうです。フロアスタッフの田中健太氏は「春は入学シーズンでもあり、特に小学校入学用の文具がもっとも盛り上がります。入学前に必要なものをご家族で買いに来られたり、入学後に絵の具などを買い足しに来られますね」と言います。
小学校用の文具は周辺校の指定もあるため、売れ筋は毎年ある程度固まっています。しかし、売り場には中高生や学生、社会人も多く訪れ、それぞれがお気に入りの文具を購入していきます。そこで今回は、流動性が高めな“自分用文具”のトレンドのトップ5を紹介してもらうことにしました。
田中氏に挙げてもらった「文具購入の3ポイント」を踏まえて、最新の流行を追いかけていきましょう。
<文具購入の3ポイント>
- 結果的に長く使う文具は愛着のあるもの。好みに合う外観や質感をトコトン追求しよう。
- 使い心地ももちろん大切。試し書きなどして、全方向で納得したものを選ぼう。
- バリエーションも新製品も豊富なので、カラーやデザインを統一しやすい。カスタム欲を大切にしたい。
※本文や写真で掲載している価格は、2022年3月15日13:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
トレンド1位…レトロデザインの文具
最近のトレンドでは、レトロなデザインの文房具がもっとも勢いがあるそうです。売り場を眺めても、ガラス食器ブランド「アデリア」のレトロシリーズのデザインを取り入れたマスキングテープや、レターセットなどの「アデリアレトロ」シリーズ、裁縫に使うボビンをモチーフにしたコクヨの「ボビン」シリーズ、スウィーツなデザインを採用したパイロットの「ボタニカルスィートカフェ」シリーズ、ティータイムのデザインが特徴の古川紙工「オトメ時間」シリーズなど、目立つ場所に多彩なバリエーションが並んでいます。
「社会人の女性を中心に人気が際立っていますね。ちょうど昭和末期から平成初期にかけての駄菓子屋さんや喫茶店を思い出すようなモチーフを、柔らめにデザインしたものがよく売れていますね。大人の女性が子ども時代のおもちゃな感じを思い出してかわいく飾れるもの、ということなのかもしれません」
トレンド2位…パステルカラーの文具
続く注目トレンドはパステルカラーです。1位のレトロデザイン文具とも共通するところがありますが、ペンやノートなどの棚を眺めても、優しく色合いを変えたバリエーションがたくさん並んでいます。やはり購入層の中心は社会人女性とのこと。この分野では、コクヨの「ME」シリーズなどが目立っていました。
「コロナ禍で手紙を書く機会が増えて、かわいく個性が出せるレターセットやマスキングテープ、シールなどがよく売れています。同時に、手持ちの手帳やノートを自分らしくカスタムしたい、ペンケースの中を好みのカラーで統一したいというニーズも高まっていますね。複数のブランドを組み合わせても色味が揃えられるほど選択肢が広いので、自分なりの組み合わせを追求する楽しさもあると思います」
トレンド3位…文具としてのバッグインバッグ&ウェットティッシュポーチ
コロナ後に文具売り場で需要が拡大した典型例といえば、バッグインバッグやウェットティッシュポーチといった、鞄に入れられるケースが一番に挙げられるそうです。バッグインバッグはキングジムの「フラッティ」シリーズ、ウェットティッシュポーチはサンスター文具の「seepo」シリーズなどが売り場で目立っています。
「アルコール消毒したり、ウェットティッシュを使ったあと、ゴミが捨てられなくて困ることがあります。しばらくゴミを持ち歩かざるを得なくなったということで、専用のゴミ袋を入れて文具と一緒に持ち歩く人が増えています。ほかにも、ポーチをそのままペンケースに使われる方もいますね」
トレンド4位…自作できるノート「SlideNote」
4位には単独のシリーズが入りました。pagebaseのカスタムノート「SlideNote」シリーズです。14種類の用紙と3タイプの罫線から好みのリフィルを揃えて、好みのページ構成で自由にノートが作れるというのもので、サイズはA4とA5の2種類から選べます。A5カバーの価格は1,760円でした。
「挟むだけで綴じられるので、パンチ形式よりもかさばりません。校則でも問題ない学校が多くて、中高生から社会人まで幅広く支持されています。カバーもパステル系を取り入れていますし、隙がありませんね」
トレンド5位…小中学生の心をつかんだ「スマッシュ」
5位も単独シリーズによるトレンドです。ぺんてるのシャープペンシル「スマッシュ」シリーズで、男女問わず小中学生にヒットしているそうです。0.3mmと0.5mm芯タイプがあり、カラーはブラックとレッド、ダークグレーの3色が選べます。そのほか、替え芯と消しゴムも同様のカラーで展開しており、ペンケースの中を統一することもできそうです。シャープペンシル本体の価格は990円でした。
「表示窓があって、HBや2Bなど自分で切り替えられるのが好評ですね。また、前軸はラバーグリップ付きの真ちゅう製ながら、非常に軽いのも特徴です。1987年からあるシリーズですが、レッドが登場したことで盛り上がりましたね」
はみだし情報…幅広い年代を刺激する「JETSTREAM 3色ボールペン」
トップ5以外のトレンドを尋ねたところ、田中氏は幅広い年代を刺激している文具として、三菱鉛筆の「JETSTREAM 3色ボールペン」を挙げました。価格は標準カラーで495円です。
同シリーズに属する黒赤青の3色ボールペンをベースに、もっとも使われる黒インクのノックのみ後端に置いてインク量も70%増量した改良タイプとなります。パステル系の軸色を多数揃えているのもポイントといいます。
「多色ボールペンの定番で、長年愛用している人が多いシリーズです。それゆえに『黒だけ使い切って新しいのに代えてしまった』『青赤の押し間違いを何度もしてしまう』などの改良点も多く届いているようで、それらの要望に応えた仕様になっています」