11日深夜に放送されたフジテレビのバラエティ番組『ここにタイトルを入力』。番組内容は、マヂカルラブリー・村上のMCで、バイきんぐ・小峠英二、武井壮、みちょぱが解答者として出演し、人間の五感をテーマにした斬新なクイズ番組『クイズ・ファイブセンス』……と予告されていたが、フタを開けるとカオスな世界が広がっていた――。
(※以下にネタバレあり)
■“MCとひな壇が別収録のトーク番組”を乗り切った小峠
『ここにタイトルを入力』は昨年、フジの企画開発枠『水曜NEXT!』(毎週水曜24:25~)で放送され、“収録済みのひな壇と、リアルタイムのMCの掛け合い”、“番組放送中に視聴者の意見を反映”というカオスな内容で、放送終了後のSNSでは「意味わからないな」「シュール!」「狂気を感じる」と話題になった番組。今回、新たに誕生した深夜のチャレンジ枠『月曜PLUS』(毎週月曜24:25~)の第1弾として、6回限定のレギュラー放送に昇格した。
レギュラー初回の主役は、MCの村上ではなく、小峠。前回の放送でMCを務めたトークバラエティ『バイきんぐ小峠の今夜もグダグダ気分』では、「MC小峠の多忙により、ひな壇の芸人たちと撮影スケジュールが合わなかったため、MC不在の状態で収録を実施。台本と想像を頼りに小峠がいるつもりで、ひな壇の部分のみを先撮り。その映像をひな壇実寸大のモニターに流し、後日、小峠のMC部分を入れることでトークバラエティが成立。何ら違和感なく番組を放送することが可能となる」という完全な机上の空論の中に放り込まれ、本番後には「この世の終わりのような収録」と言うほど疲弊しながらも、卓越したツッコミ技術でカオスの中を孤軍奮闘で見事泳ぎきった。
■「ハチミツに毒盛られたんですよ」と意味不明な弁解
今回の『クイズ・ファイブセンス』が始まると、解答者席の一番奥でセットに半分埋まり、左半身だけ出ている小峠の姿が。村上が番組の趣旨説明をする中、なにやら関係ない話題をつぶやいている様子だ。
その後も、クイズの出題中なのに、急に「あっクリィミーマミねー」と納得したり、村上に振られて対応した直後に「何の話してましたっけ?」と混乱したり、「ハチミツに毒盛られたんですよ」と意味不明な弁解をしたりと、どうやら反対側の右半身で別の何かが同時進行していることがうかがえる。
五感どころではない感性を研ぎ澄ませ、何とかクイズに食らいついていく小峠。こうなってくると、こちらでのリアクションに対し、反対側でどんな反応があるのかが気になってしまい、その期待は小麦粉の中から顔だけ使ってクリスタルを探し出すゲームに挑み、小峠の顔が真っ白になった状況で最高潮に達した。
■謎の説得「全然違和感ないので、他の演者には絶対バレない」
こうして、村上、武井、みちょぱに不穏な動きを一切怪しまれないまま、『クイズ・ファイブセンス』は無事エンディングに。すると、画面は収録直前の打ち合わせ風景に移行する。
スタッフから「ちょっと言い忘れたことがあったんですけど、実はこっちの確認ミスで小峠さんがダブルブッキングになってまして、同じ時間に2つの番組収録がかぶっちゃってるんですよ」と打ち明けられた小峠。その解決策として、「2つの番組を両方同時に小峠さんがやればいいのかなって思いまして」と提案され、スタジオで違和感バリバリの座席に座ると、「鏡貼ってあって全然違和感ない感じにしてあるので、他の演者さんには絶対バレないのかなと思います」と、やはり今回も机上の空論で押し切られた。
■全く動じず演じ切った中村俊介&遊井亮子
そして、お待ちかねの反対側パートがスタート。こちらは、中村俊介、遊井亮子とともに、『ボクらの時代』風の鼎談を繰り広げる『Rest Garden』なるトーク番組だった。しかし、俳優2人が目を合わせながら話す中、左半身をクイズ解答者として取られているため、1人だけ明後日の方向を見ている小峠。それでも、スタッフの説明通り確かにバレていない。
ここからは、前半の答え合わせタイムだ。小峠が一体何を弁解していたのかが次々に判明し、最近話題となった朝ドラ『カムカムエヴリバディ』とは全く違う笑いの“伏線回収”が味わえる。
反対側で行われているクイズ番組ならではスタジオの盛り上がりが、静かなトーク番組側にどんどん響きわたってくるが、中村、遊井ともに聴こえていない様子。それよりもはるかに小さい音量で小峠がクイズの解答をつぶやくと、漏れなく突っかかってくる芸当に加え、小峠にどんな事態が起こっても笑わず動じない姿には、「さすが俳優」と思わずうなってしまった。
『Rest Garden』も小峠以外、誰も収録が同時進行されていることなど疑わず無事に終了。このエンディングのタイミングが実に見事なので、最後まで見逃さないでほしい。
企画・演出を務めるのは、前回の『ここにタイトルを入力』が初演出で、4月にフジ入社3年目になったばかりの原田和実ディレクター。今後、どんなカオスな世界観で違和感だらけの番組が放たれるのか。しばらく、月曜の深夜が楽しみな時間になりそうだ。