女優の夏帆が9日、東京・SHIBUYA TSUTAYAで写真集『おとととい』(発売中 3,520円 SDP)の発売記念イベントを行った。

  • 写真集『おとととい』発売記念イベントに登場した夏帆 (C)SDP

自身も制作に関わった同作は、昨年6月に夏帆が30歳を迎えるまでの2年間を追い続けた1冊。2018年に「カロリーメイト」の広告クリエイティブに当時19歳で抜擢された異例の実績を持つ23歳の若手写真家・石田真澄氏が撮影を担当。被写体・夏帆との距離がだんだんと近づいていくように時間をかけてじっくり行われた。旅行に行ったり、ふとした散歩の様子を撮影したり、中には夏帆も意識することができない寝顔も。タイトル『おとととい』は、石田氏が子供の頃から使っている“一昨日の前の日”という意味の言葉で、イノセントでどこかノスタルジックな響きのする言葉を採用した。

自身12年ぶりの写真集イベントとなった今回は、オンライントークショーとして開催。撮影を手掛けた石田氏と編集を担当した上田智子氏とともに、約1時間にわたりトークセッションを行ない、制作されるに至ったきっかけや制作秘話、同作にかける思いなどを語った。

コメントは以下の通り。

■夏帆
――写真集の発売日を迎えて今のお気持ちは?

自分にとっても大切な一冊になったので今日発売日ということでうれしい気持ちでいっぱいです。

――本作は、「夏帆さんの日常を写真家石田真澄さんが追った写真集」をコンセプトに、お二人で共に制作されたそうですが、石田さんとの出会いについてお聞かせください。また、本作はどの様にして撮影、制作されたのか教えてください。

真澄ちゃんと初めて出会ったのは、3年くらい前に雑誌の撮影でお会いして、その時に真澄ちゃん自体がすごく自然体で写真を撮られる方だなという印象だったんです。私自身初めましての方に撮っていただくことがすごく緊張してしまうんですよね。でも、真澄ちゃんに写真を撮っていただいた時は、初めてだったのに、構えずに自分自身もすごくフラットな状態でいられました。とにかく撮られていて楽しかったという印象がとても強く残っていて。ちょうどそのくらいの時期に写真集を作りたいなと考えていたので、これはぜひ真澄ちゃんにお願いしたいなと思って声をかけさせていただきました。

――30歳を迎えられるまでの2年間撮影されたそうですが、特に思い出に残っている撮影はありますか? 思い入れのある写真、ページについて教えてください。

2年半かけて実際にいろんな場所に行って、暖かいところから雪が降っている寒いところまで二人で遊びがてら旅行がてら撮影したり、日常の一コマを撮っていただく形で撮影していきました。普段の撮影の様にスタイリストさんやメイクさんなどスタッフさんにも入っていただいての撮影もありましたし、2人だけで撮ったりということもありました。いろんな思い出が詰まりすぎていて、「この時すごい楽しかった!」とか「この写真すごく好き!」と挙げるのがすごく難しいです。でも、真澄ちゃんと過ごしたこの2年半がすごく自分にとって大切な思い出になったなと思っています。

――発売を迎えられた今月は、新生活をむかえる時期ですが、この時期にまつわるご自身の思い出はありますか?

思い出すのは学生時代ですね。この時期ってクラス替えだったり入学だったり、4月ってガラッと生活が変わるじゃないですか。それがすごくドキドキしてたなという思い出があります。今日は暖かくて春の陽気で、そんなことを思いながら今日ここにきました。

――タイトル「おとととい」にちなんで、発売日の「おとととい」は何をされていましたか?

だんだんと昨日何してたっけ? 一昨日何してたっけ? という、自分の記憶が曖昧になってきてはいるのですが、おととといは普通に仕事をしてました(笑)。

――昨年30歳を迎えられ、これからどんな30代にしていきたいですか?

どんな30代になるんでしょうね(笑)。20代の時は、それなりに悩んだりもがいたりしていたんですが、30代はとにかく楽しんだもの勝ちという感じで、常にいろんなことに好奇心を持って、楽しく健康に過ごしたいなと思っています。

――夏帆さんにとって、石田真澄さんとはどのような存在ですか?

真澄ちゃんは、私よりも7つ下で23歳なんです。こんなことを言うのはおこがましいんですが、ずっと見続けていたいなと思っています。これから真澄ちゃんがいろんな経験をしていろんな物を見て、それがどんな風に真澄ちゃんが撮る写真に影響するんだろうというのをこの先もずっと見続けていたいなと思っている方です。

――お気に入りカットについて、選んだ理由は?

ちょっととぼけた感じなんですけど、なんか好きな写真なんです。あまり普段の仕事でこういった写真が世にでることがないなというのと、不意に撮られた写真なんですけれど、自分が子供の頃もこんな顔してたなと思って、個人的にすごく好きな一枚です。

  • 夏帆のお気に入りカット

――本作をご覧になる方へ一言メッセージをお願いいたします。

撮影期間2年半、約3年かけて大切に大切に作った一冊です。今までの自分のキャリアの中でも、企画の立ち上げから仕上げまで参加させていただく機会というのはなかなかなくて、ここまで深く作品に関わらせていただいたというのは、自分の中でも大きな経験になりましたし、ぜひたくさんの方にこの本が届いてもらえるといいなと思っております。

――実際に作品をご覧になったときの感想は?

本当に感無量でした。セレクトもさせていただいたりだとか、色校チェックも参加させていただたりしていて、本になる前の形から見ていたので、完成した物を受け取った時には、ものすごく嬉しかったです。ここまでゼロから何かに関わって物を作るということ自体が初めてだったので、我が子の様に本当に嬉しかったです。

――作り手に参加されてのこだわりはありますか?

妥協しないことですかね。本を作るということが初めてだったので、わからないこともたくさんあったのですが、その都度、それはどういうことなのかを聞いて教えていただきました。「自分で納得できるところまで落とし込んで次に進む」ということを常に心がけて取り組ませていただくことを許していただける環境だったので、本当に自分の理想の一冊ができたなと思っています。

――作品のコンセプト、作品への想いみたいなものはどういったものですか?

私自身はなかなか自分の思いだったり、日々感じていることを言葉にするのがとても苦手で、でもその言葉にできない何かみたいなものを「写真」という形で表現できたらなと思っていましたし、日常の中にある揺らぎとか、きらめきとか、そういう物を写真集で表現できたらなと思って、それは意識して作りました。

――約3年間を切り取られた写真集、ご自身で作品を見て、変化を感じられましたか?

変わっていってるなと思います。最初に撮ってもらった時と最後の方では真澄ちゃんとの距離感も変わりましたし、そうした時間の積み重ねや、その時自分が感じていたこととか、「そのときの私」がその都度切り取られているなと思います。

――30代の抱負の時に、いろんなものに興味を示したいということでしたが、具体的にはなんですか?

子供の頃から本が好きだったので、紙の書籍で何か一つ作品を作ってみたいというのが自分の中での夢で目標だったので、それが一つ叶ってしまったんです(笑)。この先は、なんでしょうね。ゼロから関わって物を作ることって大変だし、すごく労力のいることだけど、すごく楽しかったですし、すごく豊かなことだなと感じたので、どういう形でどういうことができるかわからないですけど、この先30代も何かゼロからものづくりに関わる機会があったらいいなと思います。

――お気に入りの「ふとした瞬間」はどういったシチュエーションだったか、具体的にお聞かせください。

これはホテルで朝撮られたものです。あまりどういう状況だったか思い出せないくらい自然なシチュエーションでした。朝パンを買ってベットの上でかじっているところです(笑)。