本日8日に本編最終回を迎えたNHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)。最後にサプライズの伏線回収劇が用意されていた。実はこの100年にわたる親子3代の物語を綴ったのは、川栄李奈演じる3代目ヒロイン・ひなたであり、なおかつナレーションを務めていた城田優が、ひなたの初恋の人ビリーだったことが判明。制作統括の堀之内礼二郎氏に、城田のキャスティング理由について聞いた。

■城田演じるビリーが物語の語り手…だから城田優が語りに

城田優

ひなた編に入ってからは伏線回収の嵐で、毎日視聴者を驚嘆させてきたが、藤本有紀氏の脚本は、最後の最後まで視聴者に驚きと感動を与えてくれた。この展開について堀之内氏は「最終回の結末は初めから決まっていました。ひなたがラジオ英語講座の講師になりましたが、そのスキットがこの物語という仕掛けでした。そのラジオ講座のパートナーが、城田さん演じるビリー(ウィリアム・ローレンス)で、だからこそ城田さんがこのドラマの語り手だったわけなんです」。すなわち『カムカムエヴリバディ』はメタフィクション構造のドラマだったわけだ。

ビリーといえば、ひなたが当時10歳の時に、アメリカから京都にやってきた美少年だ。ひなたはビリーに一目惚れし、英語を話そうとラジオ講座をやっていたが、三日坊主でやめてしまった。しかもビリーたち一家は短期間の滞在で、彼が日本を立つ時、わざわざ回転焼きを買おうと大月に立ち寄ったのに、ひなたはまったくコミュニケーションがとれなくて涙したという過去がある。そのビリーの大人バージョンが城田で、最終回の前日である7日に初登場した。

「ナレーションの城田さんは、最後の出演ありきでお願いしました。ビリーは最終的に物語の語り手だったことがわかります。ビリーはひなたの仕事のパートナーですが、これからプライベートでもいい関係を築いていく良き友人になってほしいなと。きっとあれから大月を訪ねて、ああ! という風になるのを想像して、勝手にほっこりしています」

■英語の美しさに加え「日本語でも感動させられるできる方」

ナレーション兼ビリー役の城田について、堀之内氏は「城田さんには、とても難しいことを成し遂げていただきました。英語と日本語の両方のナレーションをやって頂かないといけなかったのですが、想像していたよりもはるかに高いレベルで続けてくださった」と感心しきりだ。

堀之内氏が城田をプッシュしたのは、日本語の素晴らしさだったと言う。「今回、どなたに語りをお願いするかとなった時、英語が美しく聞こえることはもちろん大切でしたが、実はそれよりも大事だったのが日本語の美しさです。連続テレビ小説では、ヒロインたちの心情に寄り添った上で見ている方々の心を語りで揺さぶらなければならない場面がたくさん出てきます。英語を音楽のように美しく語りつつ、日本語でも感動させられるできる方はそういないと思います」

また、「城田さんはすごく耳がいいので、英語の発音もネイティブのご友人とお話しながら独学で勉強されているそうです。実際にすごく発音が上手だし、ネイティブのように聞こえるんです」と絶賛し、「もちろん、収録ではご苦労もされていて、何度も何度もやり直しをしながら録っていきました。ただネイティブのように話すというだけではなく、出演者のお芝居や場面を邪魔せず、かつ声でいかにドラマを豊かにできるかということを追及されていました。そのために何度も何度もひたむきに読みに挑戦する姿をそばで見ていて、本当に胸を打たれましたね」と語った。

この結末には、視聴者からも多くの感激コメントが寄せられている。『カムカムエヴリバディ』は朝ドラ史上でも記憶に残る1作となったのではないだろうか。今はその余韻をしばらくかみしめていたい。

  • 子供時代のひなたとビリー

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