東京ビッグサイトで開催の「第11回IoT&5Gソリューション展」(4月6日~8日)にて、カシオ計算機が人工知能(AI)技術を搭載した法人向けの「エンドポイントAIカメラ」を参考出展。サーバーやクラウドを介さずに、カメラ単体で人やモノをリアルタイムに認識・分析・予測できるのが特徴です。担当者は「製造、流通、小売などさまざまな業界で活用できるソリューションです。2022年度内に販売を開始できれば」と意気込みます。
欲しいAIを取り込めるカメラ
エンドポイントAIカメラは、顧客のニーズに適したAIを取り込んでカスタマイズできます。例えばtiwakiの姿勢推定AIエンジンを取り込んだケースでは、人の姿勢を見える化できるようになります。製造業なら、工場ラインの作業員(手の動き)をモニタリングして工程を確認、流通業なら倉庫員の動きを追跡してトレース、小売業なら来店者の導線を分析(どんな商品をどの程度ピックアップしたか解析)――といった活用が考えられます。
従来型の監視カメラを使ったAIソリューションでは、撮影した映像はAI処理のためにサーバーやクラウドに送られるのが一般的でした。しかしエンドポイントAIカメラでは、カメラ内で処理が完結します。通信設備がマストではないため、企業としては最小限の設備で現場に導入できるメリットがあります。多彩なユースケースに対応できるよう、カメラ背面には多くのインタフェースが用意されていました。
エンドポイントAIカメラは、カシオの画像処理技術とルネサスエレクトロニクスのAI技術を融合させた(ワンチップ化した)もの。カメラ内には、両社が共同開発を進めてきたLSIも搭載されています。
「いま市場で展開されている監視カメラを使おうとしたとき、カメラに実装済みの機能を使うしかありません。エンドポイントAIカメラなら、これから事業に必要となるAIを組み込んで使うことが可能です。特定のAIに縛られません。お客さまのニーズを満たすようにカメラをカスタマイズして、ワンパッケージで提供できます」(カシオの担当者)
カシオは業種業態を超えたパートナー企業との共創によって、この新規事業を進めていく考えです。ちなみにベンダー企業が提供する(パソコン向けに作られた)AIは、DRP-AI Translatorという技術によってエンドポイントAIカメラ用に変換できます。実際の販売価格については、カメラモジュール単体では10~20万円ほど、その上にソリューションの料金が乗ってくるイメージとのことでした。
最後に担当者は「今回が初めての出展となりました。販売代理店のリョーサンと一緒になり『どのようにすればお客さまの課題を解決していけるか』を検討していきます。さまざまなAI技術・企業ソリューションを展開する企業さんともコミュニケーションして、マッチングしながら取り組みを進めていきます」と話していました。