Amazonがストリーミングメディアプレーヤー「Fire TV Stick」の機能をまるごと載せたスマートテレビ、「FUNAI Fire TVスマートテレビ」を発売しました。今回はアマゾンジャパンを訪ねて、ラインナップの中から43V型の4Kモデル「FL-43UF340」を体験。Fire TV搭載スマートテレビを担当する西端明彦氏に、新製品の特徴と活用術をうかがいました。
国内初のFire TVスマートテレビ登場
Fire TVを搭載するスマートテレビは、国内家電量販大手のヤマダホールディングスが独占販売を行うFUNAIブランドの商品として発売されました。北米など海外市場で先行して投入された「Fire TVスマートテレビ」が日本上陸を果たした格好です。
アマゾンジャパンの西端氏は「テレビ放送とネット動画などさまざまなコンテンツをシームレスに楽しめるスマートテレビの体験が、海外で多くのユーザーから好評を得てきました。これから日本にもFire TVスマートテレビの魅力を広く伝えたい」と意気込みを語っています。
Fire TVスマートテレビは、3月5日に4Kチューナーを内蔵した55V型/50V型/43V型液晶テレビ「F340シリーズ」が発売され、4月末には32V型HD液晶テレビのF140シリーズも追加されます。どの製品も販売はヤマダデンキが全国に展開する店舗、ヤマダウェブコムとAmazon.co.jp内にヤマダデンキが構えるウェブストアで取り扱われます。
Fire TVスマートテレビのラインナップ
- 55V型「FL-55UF340」(4K液晶テレビ):14万2,780円
- 50V型「FL-50UF340」(4K液晶テレビ):12万780円
- 43V型「FL-43UF340」(4K液晶テレビ):10万9,780円
- 32V型「FL-32HF140」(HD液晶テレビ):54,780円
【お詫びと訂正】初出時、32V型の型番を「FL-32UF340」としていましたが、正しくは「FL-32HF140」でした。お詫びして訂正します(4月11日 10:00) |
Fire TVスマートテレビの初期セットアップの手順は、他社のインターネット接続機能を搭載するスマートテレビと基本的には大きく変わりません。無線、または有線によるインターネット環境、電源とテレビアンテナケーブルの接続のほかに、モバイルアプリの「Fire TV」と無料で取得できるAmazonアカウントが必要になります。
Fire TV Stickと何が違う?
アマゾンのFire TV Stickは、テレビやモニターのHDMI端子に接続するメディアストリーミングプレーヤーです。Fire TVスマートテレビはFire TV Stickと同じ機能とユーザーインターフェース、加えてテレビ放送の視聴、および外付けUSB HDDへの録画・視聴機能を備えている所が大きく違います。さらに4KテレビのF340シリーズはBS・110度CSで4K放送を楽しむためのチューナーも内蔵しています。
Fire TVスマートテレビに同梱されるリモコンもテレビ視聴のために最適化されています。Fire TV Stickと同じナビゲーションボタンと、Alexaによる音声操作を呼び出すためのボタンをトップに配置したほか、その下には放送波の選択、番組表、数字キー、Prime VideoとNetflixのダイレクトボタンが並びます。西端氏は「付属のリモコンから、テレビのすべての操作が直感的にできる」と、その特徴をアピールしています。
いま自宅のテレビの買い換えを検討している方は、とてもシンプルにPrime Videoなど動画配信サービスが楽しめるFire TVスマートテレビが価格も手頃な選択肢としておすすめです。コンパクトな32V型のHDモデルはリビングルーム以外の場所で活用するセカンドテレビにも適していると思います。
反面、いま使っているテレビやモニターにFire TV機能を付け足すだけで十分な方は、HDMI接続ができることを確認して、Fire TV Stickシリーズを選ぶ手もあります。
動画配信サービスを網羅。スマホ連携も
Fire TVスマートテレビで見られるコンテンツは地上デジタル放送、BS・CS110度デジタル放送のほか、F340シリーズは4K放送に対応。テレビ放送は別売のUSB HDDに裏番組録画もできます。各放送のデジタル番組表にも対応します。
動画配信はPrime VideoやNetflixだけでなく、アプリを追加することでHuluやApple TVなどほかにもさまざまなサービスが利用できます。もちろんPrime Videoも含めて、有料のコンテンツ配信は別途サブスクリプション契約が必要ですが、YouTubeやTVer、ゲームアプリなど無料で楽しめるサービスもそろっています。
無線LAN機能を備え、MiracastとアップルのAirPlayをサポートしているので、スマホに保存されている写真や動画をホームネットワークを介してFire TVスマートテレビに映して見ることもできます。
Fire TVスマートテレビのホーム画面トップには「最近観たアイテム」として、ユーザーが直近に視聴したテレビ番組、動画配信サービスのコンテンツなどが横一列に並びます。頻繁に視聴するテレビ局は素速くチャンネル合わせができて便利です。最近観たアイテムの履歴や、これから見るつもりのコンテンツリスト、よく使う順番にアプリを並び替えたユーザーインターフェイスなど、最大6人までのパーソナライズされたユーザープロフィールを保存可能です。
Alexa搭載スマートスピーカーからの音声操作が便利
リモコンのAlexaボタンを押すとAIアシスタントが起動。リモコンに内蔵するマイクに話しかけると、電源のオン/オフのほかに音量のアップダウン、チャンネル送り、コンテンツの検索などが声で操作できます。
Fire TVスマートテレビでは、Amazon Echoシリーズのスマートスピーカー/スマートディスプレイとの連携により、音声でテレビをもっと簡単に操作できる「ハンズフリー・エクスペリエンス」を追求したと西端氏は説明しています。
「Amazon Echoシリーズのスマートデバイスがあれば、Fire TVスマートテレビのリモコンを使わずに、スピーカーに直接話しかけてさまざまな操作が音声でできるようになります。Echoデバイスとスマートテレビをホームネットワークに接続した後に、Echoデバイスにテレビの操作に関連するリクエストを話しかけると、“テレビを動かしたいのだろう”とAlexaが自動認識して、『テレビに接続しますか?』と聞いてきます。あとは指示に従うだけで初期設定が簡単に完了します。」(西端氏)
Fire TVスマートテレビでもEchoデバイスや他のFire TV関連製品と同様に、Alexaによるスマート家電の操作、さまざまなスキルとの連携が可能です。西端氏にはWorks with Alexa認定を取得するWebカメラの音声操作をデモンストレーションしてもらいました。スマートテレビを家族の見守りやホームセキュリティ用途に幅広く使えそうです。
気になる画質・音質をチェック
43V型のFire TVスマートテレビで、Prime VideoのUHD/4Kコンテンツ「BOSCH / ボッシュ」を視聴しました。
テレビにはダイナミック/標準/ナチュラル/シネマ/ドラマなど「映像モード」のプリセットが設けられています。ほかにも各モードごとに映像の明るさや色彩を調整、カスタマイズした設定を保存して繰り返し使うこともできます。
映像は色あいが基本に忠実。明暗はメリハリを効かせて力強く再現する傾向です。取材は夕方遅めの時間に行ったので、室内灯を標準的な明るさにして視聴しています。プリセットの標準やシネマの映像モードでは少し画面が暗く感じられました。ダイナミックにすると明部がギラついてしまうので、ナチュラルモードを基準に明るさやコントラストを整えていくと、心地よく見られるバランスに仕上がりました。
4KテレビのF340シリーズはフナイの開発による映像エンジン「Clear Pix 2」を搭載しています。地上デジタル放送はMPEGノイズを抑えながら、十分な解像感が得られる映像にチューニングされている印象でした。テレビ放送の映像もまた、一般的なリビングルーム環境であればナチュラルモードから整えると快適に見られると思います。
Fire TVスマートテレビは全機種がドルビーオーディオ対応です。音場の広がり感を強調する「映画」を含む3種類のサウンドモードや、ダイアログエンハンサーなどの機能を使うと、サウンドもコンテンツに合わせた調整が可能です。
スピーカーはディスプレイの下側に音の出口となるスリットを配置。スピーカーが下向きなので、しっかりとしたテレビラックに設置すればより明瞭なサウンドが聞けます。サウンドバーを組み合わせて迫力を高めても良いでしょう。4機種ともARC(オーディオリターンチャネル)対応の1系統を含む、3系統のHDMI入力を搭載しています。
Amazon EchoシリーズのスマートスピーカーをFire TVスマートテレビの外部スピーカーとして活用できないのでしょうか。西端氏に聞いてみたところ、残念ながら現在その機能が実現できていないようです。ちなみにFire TV Stickの場合、ホームシアターグループを設定した後に、対応するEcho端末でFire TV端末からのオーディオを再生する機能が使えます。西端氏は「今後もユーザーの要望を見ながら機能追加の検討を続けたい」と話しています。
シンプルなデザイン。驚くほどに軽量
Fire TVスマートテレビは、リビングルームに自然と馴染むシンプルなデザインも好印象でした。ただ、本体を横から見ると今どきの液晶テレビにしてはやや厚みがあります。公式の仕様表によると奥行きサイズは22.9cmです。ラックの上に設置してしまえば、あとはテレビを横から見る機会はほとんどないので、別段気にならないとは思います。
43V型は質量が10.47kgと驚くほどに軽く、置き場所の選択・変更の自由度もかなり高い4Kテレビです。ただ防災対策もしっかりと備えたいところ。製品の同梱品にはテレビ台に固定するための「転倒防止バンド」があります。同じく製品に同梱されるスタートアップガイドにも転倒防止対策について詳しい説明があるので、参照しながらテレビを固定するとよいでしょう。
ソフトウェアアップデートによる進化にも期待
付属のリモコンによる操作はレスポンスがとても速く、西端氏は「スマホのように快適な操作感」と例えています。むしろスマホには異なる動画サービスのコンテンツを一望できる「ホーム画面」がないので、動画視聴に関して言えばスマートテレビの心地よさに慣れてしまうと、スマホやタブレットに後戻りできなくなるかもしれません。
スマートテレビに初めて触れるシニア層の方には、毎度ホーム画面を介するFire TVシリーズのユーザーインターフェースがわかりにくく感じられないのでしょうか。Fire TVスマートテレビは、電源をオフにする直前までユーザーがテレビ放送を見ていた場合、次に電源をオンにすると同じチャンネルを選局した状態で起動します。つまりふつうのテレビに近い感覚で操作できるので、スマートテレビの初心者にも迷わずに使えそうです。
西端氏は「今後もFire TV Stickシリーズと同様に、Fire TVスマートテレビもソフトウェアアップデートによる機能追加・機能改善を継続的に図りながら、さらに使い勝手を良くしていきたい」と語っています。
ヤマダウェブコムでは執筆時点で、43V型が10万9,780円で販売されています(4月8日時点のAmazon.co.jp販売価格は76,780円)。購入後も機能や操作性がアップデートされるスマートテレビであることを考えれば、お買い得な買い物と言えそうです。Echoデバイスとの連携や、スマートテレビで簡単にビデオ通話ができるアクセサリーなど、Alexa対応のエコシステムがますます強力になることにも期待しましょう。