大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)は7日、御堂筋線と中央線の計9駅でリニューアルデザインが決定したと発表した。大阪・関西万博のアクセス路線となる中央線では、大阪港駅、弁天町駅、本町駅、谷町四丁目駅、森ノ宮駅のリニューアルデザインが公開された。
大阪港駅のデザインコンセプトは「海」。同社唯一の海を臨む地上駅として臨場感を生かし、エンターテインメント性や観光地としての特性をわかりやすく演出するため、デザインコンセプトを「海」とし、大海原を泳ぐ大型の海洋生物をイメージして駅舎のデザインに活用した。ホーム屋根は膜構造の透過性と質感を生かし、曲線を効果的に用いて駅空間の魅力を演出する。
海を臨むことができる立地条件を生かし、ホーム西側に展望デッキを新たに設置。先端にパラソルやクジラの潮をイメージしたシンボルを設置することで、海をより近くに感じてもらえるような展望スペースを計画している。
弁天町駅のデザインコンセプトは「ステーションアート」。万博やIRを控えた同駅で乗換え客の増加にともない、明るく使いやすい駅とした。大型デジタルサイネージを取り入れることで照明や映像による演出を行い、アートを体感できる空間に駅を昇華させるとのこと。
御堂筋線と中央線が接続する本町駅のデザインコンセプトは「インターセクション」。大阪を代表する2路線が交わり、大阪・関西万博とその先の未来をつくることをコンセプトに、高い機能性と象徴性の調和する駅をめざす。御堂筋線ホームと同様、中央線ホームも高級感のある仕上げ素材と最新の照明計画を採用した。
なお、御堂筋線と中央線をつなぐ通路・階段等の動線は、万博開催中や会期前後の交通量の変化なども加味しつつ、より使いやすい駅となるよう徐々に改装を進めていく。
谷町四丁目駅のデザインコンセプトは「ジャポネスク」。歴史的にも精神的にも大阪のシンボルである大阪城に最も近接する駅として、柱や壁のグラフィックで和を表現し、次世代への新たな美として世界へ発信する駅をテーマとした。
森ノ宮駅のデザインコンセプトは「フォレスト」。市民が憩いくつろげる、自然のある大阪城公園に隣接した立地を生かし、柱など随所に木の枝の表現を取り入れる。家族連れやインバウンドなど、すべての人々が集い親しむ、開かれた森のような駅をめざす。
西のコンコースには、今回のリニューアル工事で役目を終える御堂筋線のシャンデリアなど、歴史的価値のあるものを展示するスペースを設置。大阪城の東部地区では、新大学の開校をはじめとしたまちづくりが計画されており、また、国際的な観光拠点である大阪城公園に駅が隣接していることから、幅広い世代・さまざまな人々に利用してもらい、「Osaka Metro」の歴史を広く知っていもらいたいと考えている。
大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)は、南北軸となる御堂筋線、東西軸となる中央線の主要駅で「地下空間の大規模改革」を実施予定としている。「地下空間の大規模改革」は、老朽化した駅の壁や天井の剥離・落下の防止対策など、駅の安全性を確保する工事に合わせ、魅力的なデザインと機能を充実させることにより、駅自体を楽しんでもらえる空間として提供する取組み。2019年8月、御堂筋線の梅田駅、心斎橋駅など5駅のデザインを発表しており、リニューアル工事を進めてきた。
今回、リニューアルデザインが決定した9駅についても、前回の5駅と同様、それぞれ駅の地域性・歴史性と魅力を徹底して深掘りし、より多くの人に喜んでもらえるデザインとなるよう取り組んできたとのこと。大国町駅、大阪港駅、森ノ宮駅では、デザインだけでなく、「駅に来ることが目的や楽しみになる、そしてワクワクしていただける」ような展示スペースや展望デッキを設けるとしている。