元総合格闘家でタレントの高田延彦が、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『クロステイル ~探偵教室~』(9日スタート、毎週土曜23:40~)の共演者の印象や撮影の感想を語った。
探偵学校を舞台に心の謎に直面することで成長する探偵の卵たちを描く同作。『半沢直樹』『下町ロケット』の八津弘幸氏による原作・脚本となる。
匡(鈴鹿央士)が通うジョーカー探偵学校の鬼講師で、現役の探偵・南武辰彦を演じる高田のコメントは以下の通り。
――一度オファーを断った、その理由とは?
役者の仕事は、やったことがあるという程度ですし、前回演じたのは約2年前で、ブランクが開いていたこと。加えて、私生活の中で記憶力はどんどん落ちていく……。セリフという新しい言葉を覚えて、そこに感情を乗せて発するなんて「俺に出来るかい!」と思いましたね。
でも一応台本を見て判断したいと思ったので読んでみたら、話自体は面白いけど、意外と私のシーンが多くて「こりゃ、あかん! ギブアップ」となりまして……。現場や作品にご迷惑をおかけしたくないと思ったので、マネージャーに「無理」と返事をしました。
――そこから、どのような心境の変化が?
マネージャーが、制作サイドに返事をするまでにタイムラグがあったので、その間も「断るという答えは、正しかったのか、正しくなかったのか」と何度も台本を見るわけですよ、後悔したくないですしね。そうしている内に、南武という役が私に近い人物像だったことで共感を覚え、マネージャーからは「できる、できる」と、妻からは「やれるんじゃないの?」と後押しがグイッグイッとあって「これはお断りしたら後悔するのかな」と考えるようになり、最終的に「やっちゃえ!」となりました(笑)。
――南武辰彦とは、どんな役ですか?
探偵社が営む探偵学校の講師で、尾行と張り込み調査のスペシャリスト。南武は、探偵という職業に対して非常にストイックなものですから、生徒への指導という面では結構スパルタで、昭和のおっかないリーダーみたいな感じ。そのクセ中間管理職なので上には上がいて、そこに挟まれながらも自分のスタイルを貫くという……。私生活でも、おそらく嫁さんの尻に敷かれているんだけど、まぁ豪快・豪傑な部類に入るのかなと思っています。
――高田さんが指導する際、心がけていることは?
我々の時代は“自分のやってきたことや自分のペースを後輩にぶつける”というスタイルで「俺に合わせろ!」みたいな感じでずっとやって来ましたからね。私の後輩だった若者は、さぞツライ思いをしたでしょうね。南武の指導もそれと近いところがあって、馬鹿だの何だのって言葉もかなり荒いですし。
そういう南武の指導スタイルは、理解は出来ますが、それは“昭和”のスタイル。イマドキの指導は、個々のキャラクターを汲み取って、A君とB君では指導の仕方をちょっと変えるといった感じですから。
――生徒役の鈴鹿さん&堀田さんの印象は?
2人とも本当にかわいらしくて、控え室などOFFの時は柔らかい空気感を漂わせているんだけど、カメラが回るとカチッとスイッチが入るんですよ。その切り替えが本当にすごいし、プロだよね。スポーツでもそうなんですけど、非常に競争が激しい仕事の中で上を目指して、一つ一つを大事に務め上げている2人を見ていると、その人の奥の部分というものが見えてくる。ガツガツしていないんだけど、ソフトな雰囲気の中からヒシヒシと伝わってくる強さがあるよね。多分、私は年齢的に言ったら2人の親父か、おじいちゃんぐらいだと思うけど「演技指導をしてもらいたい」と思っております。
――演じることに対して、心境の変化は?
自分のセリフが多いシーンの収録日が近づいて来ると緊張感が高まって、より集中してインプットすることに努めましたし、自分がどんどん南武に変化していくという作業は非常に心地良かったですね。ただ“上手く出来た・出来なかった”というスケールは経験値の浅い私の中では無いので、そこはもう監督任せ。なので“上手く出来た”という達成感はいまいち自分の中では掴み取れていないけど「ベストは尽くした」とは言えますね!
――セリフ覚えは、どのように?
テレビを見ながら、トイレなど自分1人しかいない空間の中にこもってみたり、晩御飯を食べながら心の中でつぶやいたり等いろいろ試しました。どこまでやったらセリフが定着するのかがわからないので、とにかく時間があれば台本を手に、セリフ漬けの日々。でも、不思議なもんで撮影が終わると忘れちゃうんですよ。自分が撮り終ったところの台本を今、開くとゾッとするもん(笑)。プロの役者さんからしたら「こんなもん普通だよ」と言うだろうけど、私の中ではキャパオーバー。「よく引き受けた!」と自分を褒めてあげたい気分でございます。
――今“クロステイル(接近尾行)しているもの”は?
柔術です。4年前からコーチについてもらって、週に何回かレッスンしています。加えて今では暇さえあればYouTubeで柔術のスキル系動画を見ています。非常に奥の深い競技なので、学ぶことは多いし、復習も必要。私は古傷が多いので、体のメンテナンスも必要。よくサウナで「整う」という言葉が使われますが、柔術のレッスンも終わると気持ちがリセットされて整うし、「今日も無事ケガなく終わった! 次のレッスンができる」と思うとすごくハッピーになれるので、それが私にとっての『クロステイル』ですね!
――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。
私にとっては非常にハードルの高い役でしたが、とにかく皆さんの足を引っ張らずに、少しでも作品の背中を後押しする原動力となるようベストを尽くして頑張りました。みんなの力が結集した、この楽しい・面白い作品をぜひ見ていただきたいと思います!