これから起業したい、または起業したてという人は、創業や事業についてわからないことが数多くあるでしょう。自分一人では判断がつかず、「誰か信頼できる人に相談したい」と思うことがあるはずです。創業や事業について疑問がある場合、誰に相談するのがよいのでしょうか。
この記事では、起業・独立を考えたときの相談先や、相談内容ごとの最適な相談先について解説します。
■起業・独立を考えたときの相談先は?
いざ起業・独立をしようとすると、多くの疑問点にぶつかるものです。スムーズに起業するためにも、出てきた疑問を解決まで導いてくれる相談先に相談しましょう。
ここでは、起業相談に応じてくれる5つの公的機関、地域の支援機関をご紹介します。
1.商工会議所
全国各地に設置されている商工会議所は、非営利の経済団体です。中小企業の発展や地域経済の活性化を実現するために活動しており、その一環として、個人事業者や中小企業を対象に、起業や経営に関する相談窓口を設けています。
起業・独立について何か相談したことがあるなら、まずは商工会議所を頼るとよいでしょう。
たとえば、事業計画書の作成方法や会社設立の手続き、資金調達方法、助成金や補助金の案内、税理士や弁護士の紹介まで、さまざまな面からサポートをしてくれます。
そのほか、商工会議所では起業セミナーや起業家同士の交流会なども開催しています。起業に関する情報を得るだけでなく、人脈づくりにも役立ちますので、ぜひ積極的に活用してみましょう。
2.よろず支援拠点
よろず支援拠点とは、国が全国に設置した経営相談所です。中小企業、小規模事業者を対象に、経営上のあらゆる相談に対応してくれます。
よろず支援拠点では、多様な分野の専門家が在籍し、チームを組んで経営相談にあたっています。そのため、起業に関する複数の課題についてワンストップで解決することが可能です。
また、全国各地に支援拠点があるため、どこに住んでいても相談しやすいという強みもあります。
3. 中小企業基盤整備機構(中小機構)
中小機構は、中小企業を支援するために設立された、経産省傘下の独立行政法人です。全国9カ所に地域本部や中小企業大学を設置し、29カ所にインキュベーション施設(起業家の育成や新しいビジネスを支援する施設)を設けています。
中小機構では、創業支援から販路開拓、事業再生など、中小企業の成長段階に合わせた経営支援サービスを多数提供しています。
経営相談も可能で、資金調達や財務、法律、人事、知的財産権など、さまざまな経営課題について、経験豊富な専門家からアドバイスを受けることができます。
なお、遠方などの理由で直接窓口に出向くのが難しい場合は、メールや電話による相談が可能です。また、中小機構はよろず支援拠点とも連携しているため、よろず支援拠点に足を運んで相談するのもいいでしょう。
4.税務署
起業後は、開業届や確定申告書の提出などで利用する税務署ですが、各種税金の詳細やその仕組みについて職員に相談することもできます。
起業をすると、さまざまな税金を納める必要がありますし、申告や記帳などの方法も知っておかなければなりません。税金関連でわからないことがあれば、税務署に相談して疑問点を解決しておきましょう。
5.日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系金融機関です。融資を受ける際にはまず利用したい金融機関ですが、「創業支援」という形で起業相談も行っています。
ビジネスプランの作成や融資制度、会社設立や許認可手続きなど、創業に関する疑問点を相談することができるのです。
相談は、来店やオンライン(いずれも要予約)のほか、電話でも可能です。土日も来店・オンラインで相談できますので、都合の合う時にぜひ相談してみましょう。
■相談内容ごとの最適な相談先は?
起業については、公的機関や地域の支援機関に相談できますが、より専門的な内容は、その道の専門家に相談するのが解決への近道です。
次に、相談内容ごとに最適な相談先(専門家)をまとめました。それぞれの専門家にはどのようなことを相談できるのか、確認してみましょう。
・法律全般に関する相談は「弁護士」
起業して事業を始めると、法律の知識を要求される場面にたびたび出くわします。たとえば、契約書の作成やリーガルチェック、ビジネスプランの適法性を確認する場合などです。
また、業務上のトラブルが発生した際には、法的な対応も必要でしょう。このような法律全般に関する相談は、弁護士に依頼するのがベストです。
・税務や会計等に関する相談は「税理士」
事業を行うには、会計や記帳のほか、経理、総務などの業務が発生します。また、申告や節税に関する知識も必要となるでしょう。税務や会計等にまつわる相談は、税理士にお願いしましょう。
なお、会計面からの経営支援や資金調達のサポートを行っている税理士もいます。助成金や補助金の申請等にも対応してくれるため、これらについても税理士に相談するといいでしょう。
・会社設立に関する相談は「司法書士」「行政書士」
会社を設立するとなると、面倒な手続きが多いものです。その場合、司法書士や行政書士に相談しましょう。
司法書士は、法律や登記の専門家であり、会社設立やその登記手続き、定款認証手続きなどについて相談することができます。また、相談のみならず、会社設立の手続きをほとんど任せられるため、頼れる存在となるでしょう。
一方の行政書士は、行政手続きの専門家です。許認可が必要となる事業を行う場合は、行政書士へ相談してみましょう。
・雇用や労働、社会保険に関する相談は「社会保険労務士」
従業員を雇用して事業を行うなら、雇用や労働、社会保険において、専門家の力が必要となります。その場合、社会保険労務士(社労士)に相談してみましょう。
また、社労士は、助成金の申請においても頼ることができます。労働条件の変更や人材育成のための研修を行うことで助成金の対象となることもありますので、社労士に相談するのがおすすめです。
■専門家の力を借り、事業を進めよう
起業・独立をすると、一人で頑張らなければならない時もあります。しかし、事業の成功には、プロフェッショナルの知識やアドバイスが欠かせません。公的機関や地域の支援機関、専門家を頼って力を借り、事業をどんどん進めていきましょう。