米Mozillaは、4月5日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 99」をリリースした。Firefox 98から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 98では、2022年3月14日にマイナーバージョンアップの98.0.1、2022年3月23日には98.0.2がリリースされている。98.0.1では、以下の変更が行われた。
- YandexとMail.ruは、Firefoxのドロップダウン検索メニューのオプションの検索プロバイダから削除
多くの方がご存じのように、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が行われた。Apple、Microsoft、Netflixなども、サービスの停止の処置をとっている。Mozillaも同様の対応をとったといえるだろう。YandexまたはMail.ruを使用してカスタマイズされたバージョンのFirefoxを使用している場合、98.0.1のマイナーバージョンアップを適用すると、アドオンやデフォルトのブックマークなどのカスタマイズ設定が削除される。Firefoxは、Mozillaが提供するデフォルト設定となる。セキュリティアップデートは行われなかった。
98.0.2では、以下の修正が行われた。
- 新しいタブを開いて[Cmd]+[Enter]キーを押すと、がアドレスバーに入力できない問題の修正
- 一部の環境でメモリ不足でクラッシュする問題の修正
- 一部のサイトの読み込みに失敗する原因となっていたセッション履歴の問題を修正
- アドオン固有の互換性問題を修正
セキュリティアップデートは行われなかった。したがって、今回のバージョンアップは、98.0.2からとなる。
Firefox 99のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 99は、図2のようになる。
新規に、Firefox 99をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[今すぐダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 99の新機能
続いて、新機能であるが、今回のリリースでは、以下が加わった。
- キーボードショートカット[n]で、ReaderModeでナレーションを切り替えることが可能に
- PDFビューアで発音記号の有無にかかわらず検索機能が追加
- Linuxサンドボックスが強化。Webコンテンツで公開されたプロセスには、X Window System(X11)でアクセス不可能に
- ドイツとフランスでクレジットカードの自動入力とキャプチャをサポート
Linuxサンドボックスが強化では、Webコンテンツで公開されるプロセスのX Window System(X11)へのアクセスを制限する。結果、Firefox Snapを使用するユーザーにとっては、より強固なセキュリティ機能を享受できる。
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で11件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が3件、上から3番目の「Moderate」が5件、もっとも低い「Low」が3件となっている。
「High」では、
- NSSTokenオブジェクトでのメモリ解放後使用
- 予期しないWebAuthN拡張機能の原因によるメモリ範囲外の書き込みが発生
- Firefox 99とFirefox ESR 91.8で修正されたメモリ安全性の問題
などが対応された。最高レベルの「Critical」はないが、早めのアップデートをすべきであろう。