「相対的に見て、この価格設定は無難だといえる」のように、「相対的」という言葉はビジネスシーンにおいてよく使われる言葉です。意味を正しく理解できていますか。
本記事では「相対的」という言葉についてくわしく解説します。意味や類語、「絶対的」との違いなど、押さえておきたい情報ばかり。ビジネスシーンに役立つ英語表現についても紹介していますので、ぜひ最後まで目を通していただき、参考にしてみてください。
「相対的」の意味とは
「相対的」とは「そうたいてき」と読み、意味は「ほかとの関係や比較の上に成り立つさま」となります。「相対的な価値」、「物事を相対的に見る」などと使われる言葉です。
「相対的」は以下の二語から成り立っています。
- 相対: 向き合うまたは対立していること、ほかとの関係性の上に成り立っていること
- 的: (名詞の後に続いて)~に関する、~の状態の
なお、「相対」には「あいたい」という読み方もあります。その場合は上記とは異なり、「双方が直接向き合ってことをなすこと」という意味にあります。「相対して話し合う」「相対する意見」などのように使います。
「相対的」の類語とは
「相対的」の類語や対義語を知れば、言葉への理解がより深まります。
「比較的」
「比較」という言葉からも分かるように、「比較的」には「相対的」と似た意味があります。意味は「他の同種類のものや、一般的な基準と比べて」です。「このクラスでは比較的、成績がよいほうだ」「この地域の治安は比較的よい」などと使います。
「割と・割に」
「割と」や「割に」は口語でもよく使われる言葉。「思ったよりも、比較的」という意味があります。「割と安い買い物だった」「あの人は割にやさしい」などと使います。
「相対的」が「何かと比べて」という意味があるのに対し、「割と・割に」は「思っていたよりも」と個人の印象に照らし合わせて使われる言葉です。何か具体的な対象と比べて判断する場合には、「相対的」を使うとよいでしょう。
「相対的」の対義語とは
類語に続いて、「相対的」の対義語も確認しましょう。
「絶対的」
「相対的」の対義語として真っ先に浮かぶのが「絶対的」です。「ぜったいてき」と読みます。意味は「他の何とも比べようのない状態、存在であるさま」「何にも代えがたく、それ自体が制約されない価値をもっているさま」となります。「彼の人気は絶対的だ」「絶対的な信頼を勝ち取る」などのように使います。
「唯一無二」
「唯一無二(ゆいいつむに)」も、「相対的」の対義語になるでしょう。意味は「二つとない、ただひとつの」です。「あの人は唯一無二の存在だ」のように使います。
評価での「相対的」「絶対的」の違いとは
「相対的」と「絶対的」の違いをわかりやすくするために、評価を例に考えてみます。
例えばある学校の入学試験で、「合格となるのは受験生全体の上位20%」と設定されているとします。これは「他の受験生との比較や関係によって成り立つもの」であるので「相対的評価」となります。つまり、個人の得点というよりも、全体の中でどの位置に着けているかで合否が決まるというものです。
一方、資格試験などでは入学試験とは異なり「絶対的評価」がとられることが一般的です。これは「〇〇点以上が合格」と合格の基準を明確にするというもの。「他の受験生と比べて」という順位で合否が決まるわけではありません。極端に言えば、「合格者はゼロ人」ということもあり得るのです。
「相対的」の英語表現とは
「相対的」は英語でどのように訳すのでしょうか。ビジネスシーンでも使われる言葉だけに、覚えておくと役立ちます。
relative・relatively
「相対的、相対的な」は「relative」、「相対的に」は「relatively」などと訳されます。なお「relative」は「親戚、身内」という意味もあります。
Relatively speaking, the cost of labor is high.(相対的に見て、人件費が高い)
comparative
「相対的」の英語表現として、「comparative(比較の、比較による)」も使うことができます。
「相対的」の例文
「相対的」を日常で使いこなすことができるように、いくつか例文をご紹介します。
・今度の新商品を評価するには主観ではない、相対的な見方が必要だ。
・思い込みを排して、ものごとを相対的に見るように心がけなさい。
・他人と比べる相対的な評価ばかりに気を取られていると、本質を見失う危険がある。
・美醜は人によって受け取り方が異なる、相対的な概念だと考えている。
・偏差値を導入することで相対的な判断が可能となり、受験産業は劇的に変化した。
・日本では現在、相対的貧困率の高さが大きな問題となっている。
「相対的」の意味を知って正しく使おう
「相対的」とは「ほかとの関係や比較の上に成り立つさま」という意味をもつ言葉です。類語には「比較的、割と」、対義語には「絶対的」などがあります。
「相対的」と「絶対的」には評価方法において明確な違いがあり、人事評価や入学試験、資格試験などは「相対的評価」か「絶対的評価」かで合否判定がわかれます。
英語表現の「rerative(ly)」も、ビジネスシーンにおいてよく出る単語ですので、この機会に覚えておくと便利です。