映画『インクレディブル・ハルク』は2008年に公開された、アメリカのコミック・レーベルである「マーベル・コミック」に登場する人気キャラクターを映像化した作品です。

本作はマーベル・コミックに登場するヒーローたちの活躍を描いた「マーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe = MCU)」の第2作であり、フェーズ1に入る作品です。

この記事では、アベンジャーズシリーズを楽しむうえで知っておきたい、『インクレディブル・ハルク』のあらすじや登場人物、見どころを紹介します。

映画『インクレディブル・ハルク』の作品情報

公開年/2008年
監督/ルイ・レテリエ
脚本/ザック・ペン
出演/エドワード・ノートン、リヴ・タイラー、ティム・ロス、ウィリアム・ハート、ティム・ブレイク・ネルソン、タイ・バーレル

「ハルク」は1962年にマーベル・コミックから発刊されたアメリカン・コミックに初登場したキャラクターです。1977年にはテレビシリーズとしても実写化されており、アメリカではよく知られています。

「ハルク」は2003年にもエリック・バナ主演で映画化されていますが、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)2作目として2008年に『インクレディブル・ハルク』のタイトルでリブートされ、エドワード・ノートンが主演を務めました。

ちなみに、2010年の『アベンジャーズ』以降は、ブルース・バナー役をマーク・ラファロが演じています。

映画『インクレディブル・ハルク』のあらすじ

第二次世界大戦中にアメリカで研究が進んでいた、スーパーソルジャーを生み出すための「兵力強化プロジェクト」。アメリカ陸軍のロス将軍は、この眠っていた研究を生物学者のブルース・バナーの協力を得て再開させた。

しかし、ブルース自らが実験台としたテストで予期せぬ事故が起こる。その結果、ロス将軍の娘であり、ブルースの恋人でもあるベティを含め、多くの人間を死傷させてしまう。

事故の影響で得た自らの特殊能力を危険と感じたブルースは、軍の追跡を逃れ、アメリカから遠く離れたブラジルに身を隠した。しかし、ロス将軍に潜伏先をつかまれ、エミル・ブロンスキーら特殊部隊の襲撃を受けることに。これにより興奮状態となったブルースは、怪物に変身してしまう。

人間の姿に戻ったブルースは、ブラジル潜伏時から連絡を取り合っていたミスター・ブルーことスターンズ博士に接触を試みる。その過程でかつての恋人であるベティと再会するも、父親であるロス将軍に追撃されてしまう。

さらに、肉体改造により飛躍的に身体能力を高めたブロンスキーがブルースの前に立ちはだかった。怪物に変身したブルースは、ブロンスキーを倒し、そのままベティを連れ去る。

このブロンスキーとの戦いの模様はメディアに撮影され、怪物姿のブルースの動画が報道されていた。目撃者が「ハルク(廃船)のように巨大だった」と語ったことから、「ハルク」という呼び名が広まっていく。

ハルクの姿から戻ったブルースは、ベティとともにスターンズ博士の元を訪れ、完全な変身をおさえる解毒剤を投与される。しかし、スターンズ博士はブルースの血液を保管しており、そこからロス将軍の計画に関係していたことが明らかになる。

一方、復活したブロンスキーはスターンズ博士に対し、ブルースの血液を投与して自分をハルクに匹敵する存在にするよう迫っていた。そしてブロンスキーは、完全なる怪物「アボミネーション」と化し、自らの力を誇示するように市街地で大暴れを繰り返す。

ブルースはこのアボミネーションの暴走を止めるため、自らの意思で再びハルクに変身。アボミネーションの前に立ちはだかる……!

映画『インクレディブル・ハルク』の主な登場人物

『インクレディブル・ハルク』に登場する主なキャストを紹介します。

ブルース・バナー

本作の主人公であるブルース・バナーは、天才的な生物学者です。興奮すると怪物と化してしまいますが、自身は非常に控えめな性格。複数の言語を操る才人であり、追っ手に足取りをつかませずに自らの足で国境を越えてアメリカに入国するたくましさも見せます。

『インクレディブル・ハルク』でブルース・バナーを演じたのは、エドワード・ノートン。デビュー作『真実の行方』でゴールデングローブ賞最優秀助演男優賞を受賞しているほか、アカデミー賞に3度ノミネートされるなど、演技力には定評があります。

ベティ・ロス

ベティ・ロスは本作品のヒロインであり、ブルースの恋人です。

ブルースが行方不明となり新たな恋人と付き合いはじめますが、ブルースと再会し、彼に対する気持ちがよみがえっていきます。ブルースを支え、実の父であるロス将軍から彼を守るために奮闘する、強い女性です。

ベティ・ロスを演じるのは、リヴ・タイラーです。ロックバンド「エアロスミス」のボーカリストであるスティーヴン・タイラーの娘として知られています。数々の話題作に出演する実力派女優です。

エミル・ブロンスキー

エミル・ブロンスキーは、ロシア生まれ、イギリス育ちの精鋭軍人。アメリカ陸軍のロス将軍にその腕を買われ、ブルース捕獲作戦に召喚されることに。ブルースの変身を目の当たりにし、その特殊能力に魅了されたブロンスキーは、自分にも同じ実験を行うことを望むようになり、やがて「アボミネーション」へと変身します。

エミル・ブロンスキーを演じたのは、イギリスの俳優ティム・ロスです。重厚な歴史劇から激しいアクションまで幅広くこなすマルチプレイヤーで、アカデミー賞ノミネート経験もある俳優です。

ロス将軍

ロス将軍は、封印されていた「スーパーソルジャー計画」の復活を画策するアメリカ陸軍の将軍。娘のベティを傷つけたブルースの捕獲に執念を燃やします。年齢による肉体の衰えに悩むブロンスキーを、スーパーソルジャー計画の新たな実験台として利用します。

ロス将軍を演じるウィリアム・ハートは、本作以降のMCU作品でも同役で出演。そのほか、数々の話題作で活躍しますが、残念ながら前立腺がんにより2022年3月に他界しています。

映画『インクレディブル・ハルク』の見どころ

続いては、『インクレディブル・ハルク』を鑑賞するうえで特に注目したいポイント、重要なシーンを紹介します。

他の「アベンジャーズ」とは異なるヒーロー像

他の「アベンジャーズ」のメンバーは自らの意思で変身し、平和を脅かす悪と戦うヒーローです。しかし、本作に登場するハルクは、それとは異なり、意に反して変身してしまう怪物です。しかも変身中は理性を失い、怒りに任せて目の前に立ちはだかる者たちを圧倒的な力で攻撃します。

自分に攻撃を加える装甲車を粉砕したり武装ヘリを打ち落としたりするハルクの姿は、ヒーローと呼ぶにはほど遠い存在かもしれません。それでも、映画後半でブロンスキーと戦うシーンでは、ハルクのヒーローとしての一面を垣間見ることができます。

ヒロイン「ベティ」の存在

本作のヒロインであるベティは一見、知的で控えめな性格に思えますが、恋人のブルースが恐ろしい怪物に変身してもなお、彼への愛情を失わない芯の強い女性です。

そんな魅力的なベティですから、ブルースが失踪している間に、新しい恋人ができるのは当然のことかもしれません。人間味にあふれるヒロイン像も、本作の見どころのひとつです。

これまでの作品とは違うヒーロー像に注目

ハルクは、他のアベンジャーズ・メンバーとは違った二面性を持つヒーローです。それゆえに、『インクレディブル・ハルク』も他のMCU作品とは一味違う、複雑な魅力を持つヒーロー映画となっています。

本作は、MCUの主要キャラクターとして外せない、ハルクの誕生を描いた作品です。ぜひこの機会にご覧になってみてください。

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