「小説家を生業とする」などの表現を見たことがある方もいるでしょう。この「生業」という漢字、正しい読み方を知っていますか。
本記事では生業という言葉を深掘りし、意味や読み方、言葉の由来、類語、例文、など幅広い内容をご紹介します。英語表現についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
「生業」とは? 読み方・意味・由来
まず、生業という言葉の読み方や意味を確認しましょう。
「生業」の読み方
生業の読み方は1つではなく、以下のようなものがあります。
- なりわい
- すぎわい
- せいぎょう
この中でもっともよく見聞きするのは「なりわい」でしょう。
「生業」の意味
生業は上記3つのどの読み方においても意味は同じです。「暮らしを立てるため、生活するための仕事」となります。
これに加えて、生業を「なりわい」と読む場合には、さらに「農業のこと、またその作物」という意味もあります。また「すぎわい」と読む場合には次のような慣用句があります。
意味: 生活のための仕事は草の種ほどに多い
「生業」の由来
生業の「業(ぎょう)」という漢字には、「わざ、仕事」という意味があります。つまり生業とは「生きるための仕事」そのものを漢字で表しています。昔、生きるための仕事とは農作業でした。そのため、「農業のこと、またその作物」のことも指すようになったと言われています。
「生業」と「仕事」との違いは?
「生業」は、「生計を立てるために行っている仕事・労働」という意味です。「仕事」は「生業」と同じように「生計を立てるために行っている労働」という意味もありますが、「職業」「職種」「やらなくてはならない業務」といったように、「生活を営むために」という意味を含まない場合もあります。
このように「生計を立てるため」「生きていくため」という意味が必ず含まれるか、含まれない場合もあるか、というのが「生業」と「仕事」の違いです。
「生業」の例文・使い方
「生業」の使い方
生業とは一般的に、会社員などに対しては使われません。小説家や美容師といった自営業の仕事や、専門性の高い仕事に対して使われます。
「生業」の例文
生業を使う例文をいくつかご紹介します。実際にどのように使うのか、シーンを想像できるようにしておきましょう。
・私は生業として、レストランを経営しています。
・そろそろ生業に本腰を入れるべき年齢となった。
・いつまでも夢を追ってばかりいないで、真剣に生業を探しなさい。
・彼は生業に熱を入れすぎて、家庭を顧みない傾向にある。
・生業に励んだ甲斐があり、私の父は巨万の富を築くことができた。
「生業」の類語・言い換え表現
生業の意味とは「暮らしを立てるため、生活するための仕事」。これと似た意味をもつ類語を紹介します。
稼業
稼業の読み方は「かぎょう」で、「生計を立てるための仕事」という意味です。「稼業に精を出す」のように使います。また、「浮き草稼業」という言葉もあり、この意味は「浮き草のように1つの場所に落ち着かない不安定な職業」となります。
稼業と似た漢字を書く「家業」もありますが、この家業は「その家に代々継がれる仕事」という意味になります。
仕事
生業は仕事と意味は同じです。仕事はあまりにも一般的な言葉ですが、改めて意味を確認するとその1つに「生計を立てる手段として行う事柄」とあります。ほかには「何かを成し遂げるための行動」「行動の結果」などの意味もあります。
職業
職業という言葉も、仕事と同じ意味。つまり生業に置き換えて使うことができます。「職業に就く」などと表現されます。また、「職」と短くすることもでき、「職を失う」「職を探す」のように使われます。
営み
営みという言葉にも、生業と同じ「生活のためにする仕事」という意味があります。「日々の営みに追われる」などの使い方があります。
商売
「商売」もかなり一般的な言葉ですが、「利益をあげる目的で物を売り買いすること。あきない」のほかに、「生活の基盤になっている仕事」という意味があります。「作曲を商売にする」などの使い方があります。
「生業」の英語表現
生業は、英語でどのように訳されるのでしょうか。
occupation、profession
生業は「occupation」「profession」などと訳されます。とくに「profession」とは頭脳において高度な知識を要する専門職を指し、医者や弁護士、教師などに対して用いられます。「~ by profession」で、「職業は~」となります。
Her father is a doctor by profession.(彼女の父親の職業は医者だ)
live、living
生業は「live」や「living(生計、暮らし)」などを使って表現することもできます。「make a(one's) living」で「生計(暮らし)を立てる、自活する、なりわいにする」となります。
I live by teaching.(私は教師を生業にしています)
business
「business」には、「職業、家業、業務、仕事」などの意味があります。主に営利目的の職業を示す際に使用します。「family business」で「家業」となります。
「生業」の意味は「生活するための仕事」
生業は「なりわい」のほかに「せいぎょう」「すぎわい」と読みますが、どの読み方においても意味は同じで「暮らしを立てるため、生活するための仕事」です。ただし、生業は自営業や専門職に対して使うことが多く、一般的な会社員に対しては使いません。
生業の類語には「稼業」などがあり、英語では「occupation」などの単語が用いられます。この機会に覚えておきましょう。