日本労働組合総連合会は3月31日、「非正規雇用で働く女性に関する調査」の結果を発表した。調査は2月8日~10日、20歳~59歳の非正規雇用(有期契約社員・嘱託社員、臨時・非常勤公務員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト)で働く女性1,000名を対象にWEBで行われた。
現在の主な仕事の雇用形態を聞いたところ、「パートタイマー」が圧倒的に多く60.0%を占め、次いで「アルバイト」が17.4%、「派遣社員」が11.5%という結果に。非正規雇用を選んだ理由を聞くと、「ある程度労働時間・労働日を選べるから」(39.0%)、「通勤時間が短いから」(24.5%)、「家事に時間が必要だから」(20.4%)が上位となった。
配偶者・子の有無別にみると、「家事に時間が必要だから」や「育児や介護に時間が必要だから」では配偶者や子がいる人のほうが高く、「就業調整(年収や労働時間の調整)をしたいから」でも配偶者がいる人のほうが高い傾向が顕著にあらわれ、固定的性別役割分担による家庭的責任の偏りの影響がうかがえた。
また、今後の働き方については、「正社員転換して、現在の勤め先で働きつづけたい」「別の勤め先に転職して、正社員の仕事に就きたい」といった「正規雇用」希望が25.8%。他方、「非正規雇用のまま、現在の勤め先で働きつづけたい」「別の勤め先に転職して、非正規雇用の仕事に就きたい」など、引き続き「非正規雇用」で働きたいと思っている人が少なくないことがわかった。
個人年収を聞いたところ、「100万円未満」(31.1%)や「100万円~199万円」(35.0%)が多く、平均は167.9万円。雇用形態別にみると、有期契約・嘱託社員が平均268.0万円、派遣社員が平均255.2万円、パートタイマーが平均137.3万円、アルバイトが平均152.3万円という結果に。
また、主な家計収入が"自分の勤労収入"という人では平均214.2万円、週の労働時間別にみると、フルタイム(週40時間以上)の人では平均250.6万円となった。
さらに、「【経済的ゆとり】があるか」と聞くと、66.9%が「(あまり+まったく)ゆとりがない」と回答。特に、主な家計収入が“自分の勤労収入”という人では、76.3%と高い結果に。また、日頃生活をしていて感じる不安を聞いたところ、「生活の維持、収入」が最も多く57.6%。次いで、「老後の生活」(54.8%)、「健康」(38.7%)、「仕事」(36.1%)、「親などの世話・介護・支援・生活の維持」(30.7%)と続いた。
続いて、非正規雇用で働く女性の職場環境について、男女による扱いの差を感じることがあるか聞いたところ、34.7%が「ある」と回答し、特に、派遣社員では56.5%と半数を超えた。
具体的な内容としては、「仕事への割り振りや配置」が最も多く45.0%、次いで、「昇給・昇格のスピード」(38.3%)、「リーダー職への登用」(24.5%)、「募集・採用」(23.3%)、「正社員・正規職員への転換」(19.6%)という結果に。
また、制度や施設の利用に関して、「正社員・正規職員と同じ内容・基準で利用できる」あるいは「正社員・正規職員と異なる内容・基準だが利用できる」を合計した『利用できる(適用される)計』をみると、「通勤手当」(74.5%)や「年次有給休暇制度」(69.6%)、「職場の福利厚生施設(食堂・休憩所・更衣室等)の利用」(67.3%)で7割前後と高い割合に。他方、調査項目中で低くなったのは、主に「育児のための休業制度」(30.4%)、「介護のための休業制度」(24.2%)、「テレワークや在宅勤務の制度」(17.6%)だった。
新型コロナウイルス感染症に関連して直面した雇用や収入に関わる影響を聞いたところ、「収入の減少」が最も多く23.3%、次いで、「勤務日数や労働時間の減少」が21.2%となった。
また、仕事面で不安に感じたことを聞いたところ、「収入の減少」(32.9%)、「会社の衛生管理(感染予防や感染者発生時の対応など)」(20.4%)、「(仕事による)メンタル不調」(12.7%)、「解雇や雇い止め」(10.3%)が上位にあがった。