2022年4月1日に、NTTグループによる保育・学び・ワーク・コミュニティの複合施設「スカピア」が横須賀市にオープンしました。地域のICT人材の育成、生活利便性の向上を目指したユニークな取り組みです。

前日に開催されたオープニングセレモニーには横須賀市長も訪れ、今後の展開に期待を寄せました。

  • NTTグループによる複合施設「スカピア」がオープンした。横須賀のスカ、ユートピア(理想郷)のピアが名前の由来

横須賀の『理想郷』を目指して

スカピアは、次世代型のICT教育施設。学童保育、子どもから大人まで学べる習いごと教室、果てはコミュニティイベントの開催まで、横須賀市民が楽しく交流できる憩いの場を目指しています。

  • 教室のイメージ。NTT東日本 横須賀別館ビル(神奈川県横須賀市若松町3-1-6)のワンフロアに、学童ルーム、ICTルーム、レッスンルームがもうけられた

NTT東日本がビルのフロアを提供し、ICT技術を活用したコンテンツを企画、テルウェル東日本がスカピアの構築・運営主体となり、NTTe-Sportsがeスポーツ教室とイベントの提供を行うという枠組みです。学童事業を運営するのはウィズダムアカデミー。スカピアを通じてICT人材育成やeスポーツの推進を目指す横須賀市も、バックアップを約束します。

  • 各社の役割

スカピアの取り組みは、横須賀市、NTT東日本、NTTe-Sportsが2020年10月21日に締結した、ICT及び新たなスポーツを活用した「地域活性化に向けた3者連携協定」が具体化したもの。オープニングセレモニーでは、テルウェル東日本の谷誠氏、東日本電信電話(NTT東日本)の中西裕信氏、NTTe-Sportsの中村浩氏、横須賀市の上地克明市長が登壇して挨拶しました。

  • (左から)テルウェル東日本 代表取締役社長の谷誠氏、東日本電信電話 執行役員 神奈川事業部長の中西裕信氏、NTTe-Sports 代表取締役社長の中村浩氏、横須賀市の上地克明市長

テルウェル東日本の谷氏は「さまざまな人が集まり、安心して笑顔になれる施設を目指していきます。スカピアを通じて、横須賀市が目指す『個性ある地域コミュニティのある都市の実現』の一翼を担っていきたい。NTT東日本グループとしては、この取り組みを横須賀市の内外に広げていけたら」と意気込みを語ります。

東日本電信電話の中西氏は「NTTグループでは、通信・ICTはもとより、非通信、アセットも活用して地域の課題解決や活性化に取り組んでいます。スカピアを通じて、充実した安心できる学童を実施し、また将来に向けてICTの育成などに寄与していきます」と話しました。

続いて、NTTe-Sportsの中村氏は「横須賀市においてeスポーツを活用した地域活性化を目指してきましたが、構想から1年半、やっと立ち上げることができました。eスポーツは子どもから大人まで楽しめます。教育に役立ち、高齢者の健康増進にもつながる。ゆくゆくはスカピアで育った子どもに、世界的なトッププレイヤーになってもらえたらうれしいですね」と述べます。

また、横須賀市の上地市長は「地域活性化に向けた3者連携協定が、ようやくここに実を結びました。本当に素晴らしい施設ができた。スカピアは、ほかのどこにもない場所、“理想郷”を目指します。横須賀市の子どもたちの将来を考えたとき、さまざまな最先端技術に触れることができる環境は貴重。横須賀市から日本全国へ、そして世界に羽ばたく人材を育てたい。ここが横須賀市だけでなく、日本全体にとって画期的な場所になることを願ってやみません」とアピールしました。

  • 横須賀市、NTT東日本、NTTe-Sportsが2020年10月21日に締結した、ICT及び新たなスポーツを活用した「地域活性化に向けた3者連携協定」

用途はさまざま。学びながら遊び、知恵をつけていく場所に

このあとテルウェル東日本の担当者から、スカピアの内容について説明がありました。

  • フロアマップ。専有面積は190平米

学童保育としては「Nキッズアカデミー 横須賀校」として運営します。最新ICTに触れながらプログラミング、eスポーツのほか、英語、ピアノ、アート、習字、そろばんなども学べるとのこと。おやつ、食事を提供するサービス、専用車で学校までお迎え / 自宅までお見送りするサービスも用意しています。

また、子どもから大人まで通える「カレッジ・コミュニティ」としての機能も。eスポーツ、プログラミング、DX人材育成、ドローン教習などを提供予定です。

このほか「レンタルスペール」としても運営します。例えばゲーミングPCやゲーミングチェアを完備した部屋(8席)では、eスポーツを楽しめるほか、コワーキングスペースとしても利用可能。またアップライトピアノを完備した「防音プライベートルーム」では楽器を自由に演奏できます。「レッスンルーム」は会議利用、習いごと教室、イベント開催など、幅広い用途に対応します。

  • 学童保育「Nキッズアカデミー 横須賀校」

  • 子どもから大人まで通える「カレッジ・コミュニティ」を開校

  • 「レンタルスペール」としての機能

メディアからスカピアの期待感について聞かれた上地市長は「ICT活用のこうした施設は市としても念願でした。eスポーツと学童の融合、これを横須賀の発展のよりどころにしたい」と回答。子どもに向けては「素直に楽しんでもらえたら。いま、子どもたちの居場所はなくなりました。私たちの時代は、学校から帰ってきたらランドセルを家に放り投げて、公園でみんなで遊んでいた。だから町中で子どもたちが集う場面が欲しかった。スカピアは現代版の公園みたいなもの。学びながら遊び、知恵をつけていく場所にしていければ」と呼びかけます。

予約状況について聞かれたテルウェル東日本の担当者は「学童については現在19名に申し込んでいただいています。レンタルスペースなども含め、目標数値をもうけてはいませんが、横須賀市の皆さんにご利用いただければ」と回答。なおレンタルスペースの利用は、予約システムRESERVA(レゼルバ)を利用しているとのことでした。

利用についての説明会には、この3カ月ほどで100名近くが参加。「新しい教育、コンテンツなど、学校では出来ないことに興味を持っていただいている。また学童と習い事を同時に行えることにも魅力を感じてもらえています」とテルウェル東日本の担当者は自信をのぞかせます。

  • この日、eスポーツの体験教室がメディアに公開された

  • こちらはプログラミング授業のワンシーン

利用料金(月額)のイメージは、例えば週1~2回の学童利用で約22,000円、週6回で約27,500円。お送り・お迎えサービスは片道 / 往復 / 利用頻度によって料金も異なり、料金幅は約3,520円~26,400円くらい。習い事は約6,600円~15,000円とのことでした。