薄型テレビのHDMI端子に接続するだけで動画配信サービスやゲームが大画面で楽しめる、Amazonの「Fire TV Stick」シリーズ。意外に知られていませんが、Fire TV Stickの電源ケーブルをテレビのUSB端子や一般的なUSB充電器に接続すると正常に動作しないことがあり、付属のACアダプターを用いる必要があります。しかし、テレビ周辺のコンセントは空きがない場合が多く、Fire TV StickのACアダプターを接続するのが大変…と悩んでいる人も多いでしょう。
そのような悩みを解決する便利グッズをAmazonで発見しました。付属のACアダプターを使わず、テレビのUSB端子から電源を確保できるようになります。Fire TV Stickユーザーならば気になるアイテム、果たして使えるものなのか、試してみました。
「Fire TV Stick用のコンセントがない」問題を解決するアクセサリー
薄型テレビのHDMI端子に接続すれば、Amazon PrimeビデオやYouTube、Abema、Netflix、DAZNなどの動画配信サービスがテレビの大画面で楽しめるAmazonの「Fire TV Stick」。Amazonのセール時に大幅に安くなることが多く、先日の新生活セールで手に入れた人も多いのでは?
Fire TV Stickシリーズは「Fire TV Stick 4K」「Fire TV Stick 4K Max」などいくつかのバリエーションがありますが、どの製品も共通してユーザーから残念と指摘されるのが「電源まわり」です。電源を確保するためには付属のACアダプターを用い、1.5mほどもある長いUSBケーブルを引き回さなければならず、この配線が少々目障りなのです。
Fire TV Stickの電源端子はUSB Micro B端子なので、「USBから給電できるじゃん」と思う人も多いでしょう。しかし、付属のACアダプターを使わずに、薄型テレビのUSB端子に接続したり、自宅に設置したUSB充電器や余っているiPhone用の白いACアダプターに接続すると、電源ケーブルをつないでいるのに起動しなかったり、再生の途中で突然落ちてしまうこともあります。
「Fire TV Stickが動かない!」「Fire TV Stickが壊れた!」というトラブルの多くは、「付属のACアダプターを使っていなかった」ということに原因があるのです。
しかし、BDレコーダーや外付けハードディスク、家庭用ゲーム機、Wi-Fiルーターなどの機器でいっぱいのテレビ周り、「もうコンセントが空いていない!」という人も多いでしょう。そこで便利なのが、薄型テレビのUSB端子からFire TV Stickの電源が確保できる不思議なケーブル「Mission cables」です。Amazonでの販売価格は2,180円でした。
使い方は簡単、テレビ背面の配線がエレガントに
このMission cablesは、長さ30cmほどの短いケーブルの間に黒いプラスチックの小箱が挟まった構造になっています。重さは30グラムほどで、とても軽いです。
使い方は簡単。まず、手持ちのUSB充電器やテレビのUSB端子に接続し、10分ほど充電を行います。あとは、テレビのHDMI端子にFire TV Stickを接続し、テレビのUSB端子にMission cablesを接続するだけでOK。コンセントに付属のACアダプターをつないだり、長いUSBケーブルを引き回す必要がなく、スッキリとした配線でFire TV Stickが使えるようになります。
実際に自宅の薄型テレビで使ったところ、途中で落ちることもなく安定して動画配信サービスやアプリが利用できました。
Fire TV StickがUSBからの電力では動作しないワケ
ところで、なぜFire TV Stickは、TVのUSB端子や一般的なUSB充電器では正しく動作しないのでしょうか? ヒント、あるいは答えらしきものが、Fire TV Stickの純正ACアダプターに「Output:5.2V/1.8A」と記載されていました。
もともとUSB規格では、5.0V/0.5Aの電力を流せればよいとされてきました。昨今は0.5Aしか流せない機器はほとんど見かけなくなりましたが、昔のACアダプターや薄型テレビのUSB端子は「5.0V/0.5A~1.0A程度」の出力がほとんど。つまり、Fire TV Stick付属のACアダプターよりも電圧、電流ともに低いことが分かります。Fire TV Stickが要求する電圧や電流が、薄型テレビや古いACアダプターが提供できるそれを超えてしまい、動作不良を起こす原因となっていると考えられます。
このMission cablesは、ボックスに内蔵する500mAhのリチウムイオンバッテリーで電力を蓄え、Fire TV Stickの動作時に蓄えた電力を加えて流し、Fire TV Stickを安定して動作させる仕組みです。いわば、このMission Cableは、Fire TV Stick用のUSB電力ブースターケーブルの役割を果たしているわけです。
実際にUSBテスターで測ってみると、Mission Cableからは電圧5.2V、電流0.17~0.81A程度の電力が供給されていました。電流はともかく、電圧はブレずに5.2Vを供給し続けているので、USB標準の5.0Vよりもちょっと高い「5.2V」の電圧がFire TV Stick安定動作のカギになっているのかもしれません。
手持ちのテレビが対応するかどうかは要確認
Fire TV Stickが使用する電力は、標準的なUSB端子から得られる電力よりも電圧・電流とも少々シビアであることが分かりました。もちろん、Fire TV Stickの機種や世代、あるいはロットによっても要求する電力は異なる可能性もあります。接続する薄型テレビやUSB充電器によっても供給できる電力が異なるので、機材によっては普通にMicroUSBケーブルでつないでもまったく支障なく使えるースもあり得えます。
2千円ちょっととケーブルとしてはやや値段が張るものの、これがあればわざわざACアダプターを接続したり長いケーブルを引き回さずに済み、薄型テレビのUSB端子から電源が確保でき、配線がエレガントになります。ゴチャゴチャした配線に悩んでいた人は、購入を検討する価値があります。
ただし、Mission cablesはテレビとの相性があるようで、接続しても使えないテレビがあります。Amazonの販売ページでは、シャープのAQUOSシリーズや東芝のREGZAシリーズは使えない、とされています。もし接続して使えなかった場合は、使用済みでも対応が受けられるとされていますが、購入前は対応機種をしっかり確認するのがベターでしょう。ちなみに、筆者宅のテレビはAQUOSなのですが、問題なく使えました……。いろいろ条件が複雑なのかもしれません。(テクニカルライター/大和哲)