2月から発生したロシアのウクライナ侵攻により、株式市場も大きく荒れています。2022年初頭は29,000円台であった日経平均も一時25,000円台を割れるまで売られました。また需給の懸念から原油価格が高騰したほか、各国の金融政策の違いを背景とした円安進行など、株式以外の環境も変化しています。
今回はそのような状況下で、今後どのような銘柄が注目されるのか、自動車関連企業とマザーズ上場企業の2面から見てきたいと思います。
円安メリットを追い風に、自動車の動向には注目か
為替市場では現在、急激に円安が進行しています。ドル/円は急速に円安が進行し、節目とされていた120円を3月22日に突破したあとも勢いが止まらず、3月28日には一時125円台をつけました。原油価格・穀物価格の高騰が起きている中、円安による輸入物価の上昇も伴い、更なるインフレ懸念が取り沙汰されています。
一方で輸出関連企業にとって円安は追い風であり、株式市場も円安を背景に外需関連企業を中心に3月中旬以降は反発基調となっています。ここでは自動車産業の2銘柄を取り上げます。
まずは日本で最大の時価総額を誇る、『トヨタ自動車』(7203)です。半導体不足により新車生産に影響がある中で、2021年のトヨタ自動車は、世界最大の約1,049万台を販売しました。半導体不足解消が期待される2023年度は過去最大の1,100万台の販売を予定しています。
加えて為替の円安も追い風となりそうです。2022年3月期の試算によれば、トヨタ自動車の1円当たりの円安による営業利益押し上げ効果は、対ドルで400億円、対ユーロで70億円とされており、直近のトレンドが継続すれば、円安メリットの享受も期待できます。3月23日には自社株買いも発表し、3月中旬以降株価は回復基調にあります。
トヨタ自動車自体にもちろん注目ですが、トヨタ自動車が堅調となれば、部品を提供するメーカなど取引先にも好業績が期待されます。自動車業界並びに関連業界のベンチマークとして同社の動向に注目してみるのも良いでしょう。
続いての注目は『ネクステージ』(3186)です。中古車販売大手の同社はコロナ禍でも業績を拡大し、2019年11月期と比較すると、2021年11月期は営業利益・純利益共に2倍以上となっています。
2022年11月期も更なる成長を見込み、売上高が前年比+20.2%の3500億円、営業利益が前年比+28.3%の175億円を予定しています。気になるのは事業の拡大ペースですが、2022年11月期は56の新規出店を予定しており、前期から更なる拡大を予定しています。上昇を続けていた中古車価格がロシアでの輸出低下により反落しそうとのことで、直近の株価はマイナス反応をしていますが、堅調な販売台数を背景とする業績トレンドが続くかに注目が集まります。
全体相場が軟調も、底打ちの気配も?
続いて、新興市場の銘柄から、『プレミアアンチエイジング』(4934)と『アイドマHD』(7373)を取り上げます。マザーズ市場は2021年秋頃から軟調基調となり、2022年は年初来で一時35%近く売り込まれました。そのような中、個別銘柄も強く売り込まれましたが、3月に入り底打ちの気配も出ております。特に2020年、2021年に上場した銘柄は全体相場につられ、上場後一定期間を経て下落トレンドとなっている銘柄も多く、反発も期待できます。
まず『プレミアアンチエイジング』(4934)です。同社は「DUO」をはじめとする基礎化粧品を中心に展開し、通信販売と卸売販売の両面でサービスを展開しています。業績面では通信販売・卸売販売・その他と各チャネルの成長や、第2のブランドである「カナデル」の拡大を背景とし、2022年7月期も売上高・利益共に20%を超える成長を見込んでいます。
直近の株価に関しては、第2四半期の決算発表で広告宣伝費の増加により営業利益が減少したことを受け、成長鈍化懸念から軟調に推移しています。一方で通期見通しは変更していない上、四季報では会社予想を保守的と見ています。株価の割安/割高を判断するPER(株価収益倍率)は10倍を切って割安ともいえる水準まで下落しているため、成長基調に変更がない場合は反転のチャンスもうかがえるかもしれません。
続いて『アイドマHD』(7373)です。同社は中小企業向けに営業支援を展開し、コンサルティングから営業DXツールの活用まで一気通貫でサービス提供しています。コロナ禍で注目度が高まったDXの関連銘柄でもあり、その点でも注目できるでしょう。業績も順調に拡大し、2022年第1四半期決算では、受注件数の拡大を背景に、売上高が+67.1%、経常利益が+81.0%と大幅成長をしています。
こちらは2月、3月に資本・業務提携を立て続けに発表しました。2月には副業・複業(パラレルキャリア)のマッチングプラットフォームであるKasooku(カソーク)を運営する株式会社ドゥーファと、3月には独自のAI定性与信審査技術を用いたフィンテックサービスを提供するH.I.F.株式会社とそれぞれ提携しています。多方面で提携をすることでシナジー効果が発現し、成長が加速することが期待されます。
全体相場が軟調の際は新しい投資をする気が起きにくいですが、逆に成長が期待される企業も全体相場に合わせて売られており、割安銘柄が見つかりやすい環境でもあります。相場の底を当てることは難しいですが、今のような不安定な時こそ、銘柄探しを根気よくしてみてはいかがでしょうか。