ソニーネットワークコミュニケーションズは3月30日、MVNOサービス「NUROモバイル」の新料金プラン「NEOプランLite」を発表しました。発表会では今後の新機能も予告されたほか、興味深い近況も語られました。
高品質でシンプルな「NEOプランLite」 - 20GBで2,090円
NUROモバイルは2021年に料金体系を全面刷新したばかり。大きく分けて、安さ重視の小容量ユーザーに向けた「バリュープラス」と高品質な通信サービスを使いたいユーザー向けの「NEOプラン」という2本立てになっています。
従来のNEOプランの最大の特徴は、20GBで月額2,699円という料金の安さだけでなく、通信品質にこだわったプランということ。NEOプラン専用の帯域を用意し、「キャリアとの相互接続点での帯域不足から通信速度が低下してしまう」というMVNOの仕組み上のデメリットに対処。2月に公表された通信速度の実測値でも、MVNOとしては高速な記録を残しました。
また、LINE/Twitter/Instagramの通信量がカウントフリーになる「NEOデータフリー」、SNSへの写真投稿など上り通信時にデータ容量を消費しない「あげ放題」という付加価値でも差別化した意欲的なプランです。
NEOプラン、バリュープラスともに好評な一方で、MNO並みの通信品質を目指したNEOプランをもう少しリーズナブルに使いたいという声もあったと言います。
そこで登場したプランが「NEOプランLite」。通信品質やデータ容量(20GB)、容量超過時の制限速度(1Mbps)といったNEOプランの基本性能はそのままに、NEOデータフリーやあげ放題の機能を抜いて、よりシンプルで手ごろなプランを新設しました。NEOプランLiteの料金は月額2,090円、NEOプラン比で609円安く設定されています。
カウントフリー機能を強化、バリュープラスにも拡大
先に挙げたNEOプランの特徴のひとつに、LINE/Twitter/Instagramの通信量を気にせず使える「NEOデータフリー」というカウントフリー機能がありました。こちらについては、期間限定でテストされていたTikTokも4月1日から正式な対象サービスに加わります。
さらに、4月下旬からはバリュープラスで「バリューデータフリー」を提供。5GB/10GBプランを対象に、LINEのデータ通信をカウントフリー化します。
「アプリ不要の半額通話」がau/ソフトバンク回線でも可能に
NUROモバイルは、使用端末やお住まいの地域のエリア状況にあわせて、ドコモ/au/ソフトバンク回線を選んで契約できるマルチキャリアMVNOです。
2021年の主な改良点のひとつだった「オートプレフィックス」という機能はまだドコモ回線でしか使えませんが、au/ソフトバンク回線の対応予定が公表されました。オートプレフィックスに対応すると、通話料の半額サービスを手間なく使えるようになります。
NUROモバイルの国内通話料は22円/30秒ですが、「NUROモバイルでんわ」という通話割引サービスを使うと半額の11円/30秒になります。これは「プレフィックス番号」というものを使う仕組みで、電話をかける際に電話番号の前に指定の数字を毎回打ち込むか、専用アプリ経由で発信しなければなりません。
オートプレフィックスとは、自分でプレフィックス番号を付けなくてもネットワーク側で自動で付けて割引を有効にしてくれるものです。MVNO単独で実現できる機能ではなく、回線を提供しているMNO各社の対応も必要になるため、ドコモプランが先行していました。ソフトバンクプランでは4月下旬から、auプランでは7月末までに対応します。
新規契約が前年度比3.5倍に、大手キャリアからの乗り換えも増加
新プラン・新サービスの発表とあわせて、NUROモバイルの近況も明らかにされました。2020年度/2021年度の実績として、新規契約者数は前年度対比で約3.5倍に増加しました(※3月27日までの数値)。
あくまで一般論として述べれば、政府の値下げ要請によって大手キャリアの料金プランが変わり、特に20GBで3,000円以下のオンライン専用プランが登場したことは業界内では「ahamoショック」と呼ばれるほど。特に安さで勝負してきたMVNOにとって、ここ2~3年の市場環境は苦しいはずです。その中でこれだけ好調な結果を残せたということは、2021年に実施したNEOプラン/バリュープラスへのリニューアルで価値訴求に成功したといえるでしょう。
ユーザー属性としてはNEOプランは20代~30代、バリュープラスは40代~50代が多く、それぞれ過半数を占めています。SNSや動画をたっぷり快適に楽しみたい若者向けのNEOプラン、容量少なめで安く抑えたい人向けのバリュープラスというすみ分けがはっきりできていることが伺えます。
ユーザーの増加ペースが上がっただけではなく、他社からNUROモバイルに乗り換えるユーザーの傾向にも変化がありました。2021年5月の調査では大手キャリア(サブブランド含む)からの乗り換えは25%に留まり、ほかのMVNOからの乗り換えが半数以上でしたが、2022年3月の調査では37%にアップ。通信品質にこだわったサービスを提供したことで、MVNOに乗り換える不安要素をひとつ減らして心理的ハードルを下げられたとも考えられます。
契約後のユーザーの反応も上々で、満足率はNEOプランが94%、バリュープラスが92%。家族や友人にオススメしたいと思えるかを尋ねるNPS(ネットプロモータースコア)も2021年以降は大幅に改善されています。驚くことに、NEOプランやバリュープラスが登場する以前の調査(2020年11月~12月)では推奨者18%、批判者42%、NPSもマイナスという現在とほぼ真逆の結果。バリュープラス以降の取り組みがかなり好意的に受け止められているようです。