大阪シティ信用金庫はこのほど、中小企業における2022年の賃上げ動向を発表した。調査時期は2022年3月上旬、調査対象は大阪府内の大阪シティ信用金庫取引先企業、有効回答は1,037社。

賃上げ実施企業は26.3%

  • 賃上げ実施状況(出典:大阪シティ信用金庫Webサイト)

大阪府内の中小企業のうち、「賃上げ実施」企業は26.3%。前年と比べ10.3ポイント増加したものの、コロナ禍前の水準(2019年3月34.8%)に回復していないことがわかった。一方、「賃下げ実施」企業は4.2%。前年(6.5%)より2.3ポイント減少したが、前年を除くと2013年(4.2%)以来の高い水準となった。

「賃上げ実施企業ベース」の平均賃上げ率は前年比0.06ポイント増の2.94%。賃上げをしない企業を含む「全企業ベース」でみると、平均賃上げ率は同0.45ポイント増の0.58%と、11年連続プラス域となった。

「賃上げ実施」企業に賃上げする理由を聞くと、「雇用の維持や従業員の士気高揚のため」が60.1%と最も多く前年より5.4ポイント増加。次は「業績向上・回復を反映」で34.4%となったが、前年より5.4ポイント減少した。

一方、賃上げしない理由については、「景気や業況の先行きが不透明なため」が同1.4ポイント増の59.7%でトップ。同調査では、「この先の経済情勢の不透明感が強まっており、慎重になっていると思われる」と推測している。また、「業績が不振ないし改善しないから」は同2.8ポイント減の33.1%と、依然として3割を上回っている。

賃上げを予定しない企業のうち、状況に応じて一時金の支給など何らかの形で賃金を増やす意向がある企業は66.0%。業種別では、「建設業」(70.8%)と「製造業」(70.0%)で7割を超えた。