アート引越センターのシンクタンク「0123引越文化研究所」は3月28日、「オフィス移転に関する意識・実態調査」の結果を発表した。同調査は2月上旬、企業の総務・人事担当者200名を対象に、インターネットで実施した。
コロナ禍にオフィス移転を行った企業の総務・人事担当者に対し、移転に新型コロナウイルス感染症の影響があるか質問したところ、47.5%が「影響があった」と回答した。
社員が移転後のオフィスに満足しているかどうか聞くと、25.0%が「とても満足していると思う」、59.0%が「やや満足していると思う」と答えており、8割以上が社員は満足していると思うととらえていることがわかった。コロナ禍の移転でも満足度が高いのか調べたところ、最も多い理由は「オフィスが広くなったから」(50.5%)で、2位は「オフィスが綺麗になったから」(46.4%)、3位は「通勤時間が短縮したから」(25.0%)だった。
移転先のエリア(都市部または郊外) について聞くと、都市部から都市部に移転したという企業が69.0%だった。コロナ禍による働き方の多様化で、郊外に移転する企業も多く存在するかと思われたが、「都市部→郊外」は16.0%と2割以下で、都心人気は変わらないことがわかった。
移転先のエリアについて、移転することを決定した時期(コロナ禍前とコロナ禍)で結果を分けて分析した。2019年12月以前のコロナ禍前に移転を決定した企業で、都市部から郊外へ移転した企業は7.1%であったが、2020年1月以降のコロナ禍に移転を決定した企業で、都市部から郊外へ移転した企業は20.7%だった。この結果から、コロナ禍の間に移転することを決定した企業は、移転先に都市部ではなく郊外を選ぶ割合が約13ポイント高いことがわかった。
移転先のエリアに対する満足度を尋ねたところ、8割以上が「満足している」と回答した。
コロナ禍のオフィス移転による会社としてのメリットを聞くと 、「コスト削減に繋がった」(41.0%)が最も多かった。2位は「生産性が向上した」(25.0%)、3位は「社員のモチベーションが上がった」(22.0%)だった。
移転理由について尋ねると、「オフィス環境を整えるため」(31.0%)、「生産性向上のため」(26.5%)を抑え、「家賃削減のため」(38.0%)が最も多かった。
今回の移転で、新設した・する予定 の"施設・設備・制度"について聞くと、「フリースペース」 (38.0%) が最も多かった。その他にも、「テレワークの導入」、「オンライン会議専用スペース」、「フリーアドレスの導入」、「在宅勤務手当」というコロナ禍ならではの回答が上位にランクインしている。一方、今回の移転で無くした・無くす予定の"施設・設備・制度"の1位は「喫煙室」(17.5%)だった。
「フリースペース」を新設した担当者に、移転後のオフィスに対する社員の満足度を聞くたところ、9割以上が「社員が新オフィスに満足していると思う」と回答した。コロナ禍において社員間のコミュニケーションが不足する中、フリースペースの新設は社員の満足度に大きく貢献していることがわかった。
会社的に見た現状のおおおよそのテレワーク率と、会社が理想としているテレワーク率について尋ねた。「現状のテレワーク率が60%以上」と回答した担当者は全体の15.0%だったが、「理想のテレワーク実施率が60%以上」と回答した担当者は、その倍以上の34.5%だった。