ビジネスシーンでは、封筒に宛名を書いて書類や手紙を送ることもあるでしょう。しかし、「様」「御中」などの使い分けがあいまいな人も多いのではないでしょうか。

「宛」「行」と書かれた返信用封筒を使う時も、正しい書き方を知らないと、気付かないうちに相手に失礼な封筒を送ってしまっているかもしれません。宛名が長い場合や宛名に2人以上の人を書く場合、横書き、担当者がわからないなどの場合の対応法についてもまとめました。

  • 封筒の正しい宛名・宛先の書き方

    封筒の宛名や宛先には書き方のマナーがあります

封筒の正しい宛名・宛先の書き方

まずは封筒の宛名や宛先の基本的な書き方を紹介します。写真で実際の封筒での書き方を見つつ、郵便番号や宛先など個別の書き方の注意点を紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

【写真付きで紹介】宛名の書き方

一般的な封筒の宛名や宛先の書き方を紹介します。下記のルールに沿いつつ、丁寧な字で、バランスよく書くことを心掛けましょう。

  • 封筒の正しい宛名・宛先の書き方

    封筒の正しい宛名・宛先の書き方

右上に郵便番号を算用数字で記入します。記入枠がプリントされている封筒であれば、1マスに1つずつ数字を記入しましょう。

枠がない場合は郵便番号の3桁目と4桁目の間に「-(ハイフン)」を入れて「123-4567」といった形で書きます。郵便番号の「〒」のマークの記入は必要ありません。封筒に宛名を縦書きで書く場合も、郵便番号は右上に横書きで書きます。

住所は、封筒の右側に書きます。都道府県名も省略せずに、書きましょう。通常の郵便物であれば、「●番地」「●号」と正式な地番表記をつかっても、ハイフンを使って住所を書いても問題ありません。

ただし、転職などで履歴書を送る封筒の書き方においては、ハイフンを使用せず「●番地」「●号」と記入するのがよいといわれることもあります。

しかし、履歴書などの送付においても住所の表記にハイフンを使用しても問題ないといわれることもあり、厳密な決まりがあるわけではありません。

誤配を防ぐためにも、住所を読む人が勘違いしないですむよう、わかりやすく丁寧な字で書くことを意識しましょう。

住所が長い時は、2行に分けます。2行目の1文字目は1行目よりも1文字分下げます。住所の数字の書き方について、縦書きの場合に漢数字を使うか算用数字を使うか、厳密な決まりはありません。

ビルの名前などアルファベットを書く場合は、縦向きで1文字ずつ記入します。横回転にはしません。

中央には宛名を書きます。企業宛ての丁寧な郵便物などでは「株式会社」と省略せずに書きましょう。「(株)」といった略字は使いません。

敬称は個人宛ての場合「様」、会社や部署宛ての場合は御中を使用します。「様」と「御中」の使い分けについては、うっかり間違えると「マナーを知らない人なのかな?」という印象を相手に与えてしまうおそれもあります。

次で「様」と「御中」の使い分けについて、さらに詳しく紹介します。

宛名の敬称の使い分け

宛名に沿える言葉にはさまざまなものがあります。それぞれの使い方を見ていきましょう。

個人宛ての際は、個人名などに「様」を添える

個人名には「様」をつけます。実際に「様」を使った宛名の書き方の例は、以下の通りです。

  • 株式会社○○総務課 マイナビ太郎様
  • 株式会社○○営業課長 マイナビ花子様

なお、担当者の名字しかわからない場合は「株式会社○○人事課 マイナビ様」と名字のみ記載して、「様」をつけます。

団体宛ての際は、会社名や部署などに「御中」を添える

会社や部署など、団体名や組織名には「御中」をつけます。「御中」を使った書き方の例は以下の通りです。

  • ××株式会社御中
  • ××株式会社人事課御中
  • ××株式会社人事課採用係御中

なお「様」と「御中」を併用することはありません。「××株式会社マーケティング部御中 佐藤太郎様」といった使い方はしないので、注意しましょう。

  • 封筒の正しい宛名・宛先の書き方

    封筒の宛名や宛先の書き方を把握しておきましょう

「宛」「行」と書かれている封筒の書き方

封筒の中で「宛」「行」と書かれている返信用封筒を使って郵便物を送ることもあるでしょう。この場合、そのまま送るのではなく、実は書き方のマナーがあるのをご存じでしょうか。

「宛」「行」のまま封筒を送ってしまうと、失礼な印象を与えてしまうため、正しい書き方を知っておきましょう。

「宛」「行」は返信用封筒に使われる

返信用の封筒では、自分のことを呼び捨てにするために「様」や「御中」ではなく、封筒を用意する側は「宛」や「行」を使います。

そのため、封筒を受け取った側は、封筒を送る時に相手に敬意を示すために、「様」や「御中」に書き直すのがマナーです。

返信用封筒の他にも、往復はがき、企業側が宛先を広報する際などに使われています。

「宛」「行」は消す

返信用の封筒を受け取って返信する側は、「宛」を二重線で消して「様」、「行」を二重線で消して「御中」と書きましょう。

「様」や「御中」を書くのは二重線で消した「宛」「行」の左側あたりが一般的です。

実際の書き方の例はこちらです。

  • 「宛」「行」と書かれている封筒の書き方

    「宛」「行」と書かれている封筒の書き方1

  • 「宛」「行」と書かれている封筒の書き方

    「宛」「行」と書かれている封筒の書き方2

返信用封筒にはすでに宛名や宛先が書かれているため、うっかりすると「様」や「御中」への書き換えを忘れてしまうので、注意しましょう。

また、自分が返信用封筒を同封する際には、宛先を書いて「宛」「行」を使用することも覚えておけば、役に立つ日が来るかもしれません。

  • 「宛」「行」と書かれている封筒の書き方

    「宛」「行」は二重線で消して、敬称を書き添えるのがマナーです

宛名がわからない時の封筒の書き方 - 宛名なしでもOK?

封筒で郵便物を送る時、担当者の名前がわからないというケースもあるでしょう。そうした場合に「宛名なしで送ってもいいのかな? 」と思う人もいるかもしれません。

ここからは、宛名がわからない場合の書き方について紹介します。

担当者がわからない場合の封筒の書き方

担当者名がわからない場合は、組織や部署宛に「御中」で送るか、「ご担当者様」と宛名に書きましょう。

例えば、転職活動で履歴書を会社の人事課に送ることになっていて、担当者名がわからない場合は「●●株式会社 人事課御中」もしくは「●●株式会社 人事課 採用ご担当者様」としましょう。

宛名なしで送るとどうなる?

うっかり宛名なしで送ってしまうと、封筒が相手に届かない可能性があります。

郵便物はさまざまな理由で返還されることがありますが、宛名が不完全な場合も配達ができないため、返還理由にあたります。封筒を宛名なしで送らないよう、注意しましょう。

  • 宛名がわからない時の封筒の書き方【宛名なしでもOK? 】

    宛名なしではなく、「御中」や「ご担当者様」などを使い、しっかりと宛名を書きましょう

封筒の書き方Q&A - 宛名が長い時は? 2人の時は? 横書きは?

基本的な封筒の書き方がわかっても、宛名や宛先にはさまざまなケースがあり、書き方に迷うこともあるでしょう。最後に、宛名が長い時、宛名が2人の時、横書きの時の書き方を紹介します。

知っているようで実は知らない封筒の書き方もあるかもしれません。ぜひ特殊なケースでの封筒の書き方も覚えておきましょう。

宛名が長い時の封筒の書き方

会社名や部署名が長く、宛名が1行に収まらない場合は、複数行に分けて書きましょう。

宛名が2人の時の書き方

宛名が2人で連名の場合は、それぞれの名前の後に「様」をつけます。

【正しい例】
○○株式会社 マイ太郎様 ナビ花子様

実際の封筒での書き方の例は、こちらです。

  • 2人に宛てる際の封筒の宛名の書き方

    2人に宛てる際の封筒の宛名の書き方

縦書きではなく、横書きの場合の宛名の書き方

横書きでは、宛先の数字では漢数字を使わず、算用数字を使うのが一般的です。そのほか基本的な書き方は、縦書きと同じです。

実際の封筒での書き方の例は、こちらです。

  • 横書きの場合の封筒の宛名の書き方

    横書きの場合の封筒の宛名の書き方

手紙や書類を送る際には、封筒の宛名のビジネスマナーを守ろう

ビジネスシーンでは、封筒を使って書類などを送ることもあるでしょう。封筒の宛名の書き方にもマナーがあります。

うっかり相手に失礼な封筒を送ってしまうと、自分の信用や評価が下がってしまうおそれも。

マナーに添って丁寧に宛名を書くことで、むしろできる社会人としてアピールできるように、正しい封筒の書き方を身に付けておきましょう。