春が近づくと、いよいよ5月5日のこどもの日に向けて「五月人形を買うかどうか」「誰が買うのべきなのか」と悩み始める家庭も多いのではないでしょうか。
本記事では、五月人形は誰が買うものなのか地域によるしきたりの違いや、購入する際の選び方のコツを解説。また、マイナビニュース会員の男女508名のうち、すでに五月人形を所有している回答者を対象に「五月人形は誰が購入したものか」を聞いた調査結果も紹介します。
五月人形は誰が買うべき? 東日本と西日本のしきたりの違い
元々、五月人形は「母方の実家」が用意するといったしきたりがありました。しかし、時代とともに結婚や家族の形が多様化した現代では、このような風習は重視されていません。
昔は母方の実家が用意するものだった
かつて女性は、結婚すると夫である男性側の家庭に入ることが一般的で、妻側の両親は嫁いだ娘と頻繁に会えませんでした。そのため、慶事のたびに、お祝いの品などを購入して会いに行く習慣があったそうです。
現代では結婚したからといって、どちらかの家に入るという考え方はなく、夫側の家族と同居するケースも昔ほど多くないため、「五月人形は誰が買う」といった昔ながらのしきたりも意識されなくなりました。
そのため、「五月人形を誰が買う」といった明確なルールはありませんが、地域によっては昔から続くしきたりを大切にしている場合もあります。中には、「母方の実家」ではなく「父方の実家」が贈るとする地域もあるようです。
東日本(北海道、関東~名古屋)における風習
北海道や関東~名古屋といった東日本地域では、「父方の実家」が用意する昔の名残があります。五月人形は家を継ぐ男の子の誕生を祝うという意味合いから、「父方の実家」が用意する風習が根付いていたのかもしれません。
関東圏では、男の子の健康を願う節句飾りは「父方の実家」、ひな人形など女の子のための節句飾りは「母方の実家」から贈るといった地域もあります。
西日本(関西、九州)における風習
関西地方~九州地方などの西日本地域では、嫁ぎ元である「母方の実家」が用意する風習が残っています。男の子の節句飾りに限らず、女の子の節句飾りも「母方の実家」が準備するという地域が多いようです。
市町村や家系によって風習に違いがある場合でも、両家のどちらが五月人形を準備するかは話し合いで決めて問題ないでしょう。
長男のほかに次男や三男がいる場合も買うべき? お下がりは良くない?
五月人形は基本的に、一人につき一つ用意する必要があるといわれています。五月人形は子どもの身代わりとして子の安全を守ってくれる存在であり、次男が生まれたら新しく五月人形を贈るのが一般的とされています。
そのため、五月人形を父から子に受け継いだり、兄から弟へお下がりしたりすると、お守りとしての効果が薄れてしまうだけでなく、それまでの厄も引き継いでしまうと考えられているため、兄弟や知人からお下がりで譲り受けるのは好ましくありません。
実際に五月人形を誰が買ったのか、独自アンケートで徹底調査
マイナビニュース会員のうち、すでに五月人形を所有している回答者508人を対象に「誰が購入したものか」を聞いてみました。その結果を購入時のエピソードとともに、ランキングで紹介します。
1位 父(29.8%)
2位 祖父(26.8%)
3位 母(17.5%)
4位 祖母(16.2%)
5位 おじ(5.7%)
1位 父(29.8%)
・「将来まで残しておけるように、奮発していいものを購入した」(58歳男性/専門商社/営業関連)
・「初めての子どもだったので、奮発して買った」(50歳男性/流通・チェーンストア/その他・専業主婦等)
2位 祖父(26.8%)
・「祖父が初孫を祝って、年金や貯金を切り崩して買ってくれた」(33歳男性/教育/専門職関連)
・「高いし要らないと言ったが、祖父が強引に買ってきて飾った」(47歳男性/物流・倉庫/販売・サービス関連)
3位 母(17.5%)
・「鯉のぼりを上げたくなかったから 夫婦で相談して代わりにかぶと飾りを購入した」(63歳男性/不動産/その他・専業主婦等)
・「長男のときは大きいタイプを購入したが飾るのが大変だったので、次男にはケース入りの小さなタイプを選んだ」(49歳女性/その他/その他・専業主婦等)
4位 祖母(16.2%)
・「祖母が家の広さを考えて、小振りな物を選んでくれた」(51歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「初節句のお祝いに買ってもらったが、子どもが大きくなり置き場所に困るようになった」(73歳男性/その他/その他・専業主婦等)
5位 おじ(5.7%)
・「家の床の間に飾れるサイズのものを購入してくれた」(45歳男性/サービス/その他技術職)
・「飾りやすいサイズのものを購入してもらいありがたかった」(59歳男性/不動産/営業関連)
そもそも、五月人形・端午の節句の意味や、飾り物をする理由とは
そもそも、五月人形や端午の節句とは何なのか、その意味についてもおさらいしておきましょう。
五月人形は、端午の節句にあたる5月5日、現代では「こどもの日」に飾る人形のことです。
五月飾りは、家の中に飾る「内飾り」と外に飾る「外飾り」に分けられます。内飾りには兜や鎧などがあり、鯉のぼりなどは外飾りに分類されます。
端午の節句とは、男の子の誕生と成長を祝う日のこと
「端午の節句」は「菖蒲(しょうぶ)の節句」とも言われます。そもそも端午の節句は、奇数の重なる日を縁起がよいとする中国の習わしが日本に伝承したものといわれています。
当初は5月5日に限定するものではなく、端午の節句の「午」の音が「5」に通じることから、5月5日が端午の節句として定着しました。
江戸時代になると、端午の節句が公的な行事になります。当時は武士の後継と考えられていた男の子の誕生を祝うものとされていました。そして、時代とともに変化し、現代では男の子の誕生や健康と成長、出世などを願う行事として受け継がれています。
初節句とは、生まれた子が初めて迎える節句のこと
なお初節句とは、生まれた子が初めて迎える節句のことを指しています。女の子は雛人形を飾る、3月3日の桃の節句(上巳の節句)、男の子は5月5日の端午の節句が該当します。
五月人形を飾る意味
五月人形は、端午の節句に男の子の健やかな成長を願って飾られます。
五月人形を飾ることには、人形に子供の代わりとして厄を引き受けてもらい、子供が無事に育ってくれるように、たくましく立派になるようにという気持ちが込められているとされています。
鯉のぼりを飾る意味
外飾りの代表である鯉のぼりには、天の神様に男の子が生まれたことを知らせ、その子どもの健康と出世を願うといった意味合いがあります。鯉のぼりを飾る習慣は、江戸時代中期に武士たちがのぼりを立てていたのを庶民がまねたことが始まりとされています。
現在のように1本の柱に何匹もの鯉を飾るようになったのは明治時代になってからのことで、昭和時代になると鯉のぼりを家族に見立てて、さまざまな色の鯉のぼりを飾るようになりました。今では、鯉のぼりは男の子の健康や出世を願うだけでなく、平穏に暮らす家族の象徴としても広く認知されています。
五月人形を買うときの注意点
アンケート結果からもわかるように、五月人形を買う際に一番大切なのは、「誰が買うのか」ではなく「誰のために買うのか」ではないでしょうか。そもそも五月人形を贈る目的は、男の子の健康や成長を願うことにあります。
ここでは、実際に五月人形を買う際の注意点を紹介します。
祖父母に買ってもらうときの注意点
五月人形は「誰のために買うのか」が重要とはいっても、「誰が買うのか」という問題は両家の間でトラブルになる可能性も考えられます。そうならないためにも、夫婦の間で「どちらの親に買ってもらうのか」「予算やデザインはどうするのか」など、具体的なところまで事前に話し合っておきましょう。
また、祖父母が知らないうちに購入していて困ったというケースもよくあるようです。もし買ってもらう場合は、大体の予算やサイズ、デザインなども先に伝えておくと安心です。
五月人形の購入は、早めの時期に
五月人形は、端午の節句を迎える2~3カ月ほど前から店頭に並び始めます。人気のあるデザインは早くに売り切れることもあるため、希望どおりの五月人形を手に入れたい場合は、早めに手配しておきましょう。
五月人形の選び方のコツ
子どもが初節句を迎える際は、どのような五月人形を選んだらよいのか悩んでしまう人もいるでしょう。ここからは、五月人形の選び方のコツを解説します。
大体の予算を決めておく
五月人形の中にはかなり高額なものも存在するため、夫婦や親族内で話し合って、いくらぐらいで購入するのか事前に決めておきましょう。五月人形の相場を参考にするのもよいでしょう。
置くスペースを決めておく
豪華な五月人形は華やかで魅力的ですが、飾るスペースに困るケースもあります。特に人形のサイズは、店頭で見たときにイメージしていた大きさと実際に置くスペースとで、サイズが違っていたなんて可能性もありえます。
買ってから置き場所に困ることがないよう、しっかり寸法を測ってから購入するようにしましょう。祖父母ら親戚に買ってもらう場合にも、前もって飾るスペースなど伝えておく方が無難といえます。
複数の店を回ってみる
五月人形を扱うお店はそれぞれ商品の特色や傾向にも違いがあります。そのため、最初の1軒だけで商品を決めるのではなく、複数のお店を回ってから購入を検討するとよいでしょう。もちろん気に入ったものがあれば別ですが、いくつかの五月人形を見比べた上で、ベストな商品を選ぶに越したことはありません。
また、お店によってアフターフォローなどのサービスにも差があります。長期的に考えて、保証が充実しているお店で購入するのも一つの手段です。
最近では五月人形をネットで購入する人もいるようですが、人形の表情や色の鮮やかさなどは、実物を確認しないとわからないことも多いため、店頭へ足を運んで購入する方が安心です。五月人形は子どもの健康や成長を願う大事な日の飾り物ですから、実際に見て納得のいくものを購入するようにしましょう。
将来のことも考えて選ぶ
五月人形は購入後、長く使えるものかどうかという点も重要です。子どもにとっては一生ものの節句飾りですので、将来性も考慮して選ばなくてはなりません。買ったときはトレンドのデザインやカラーであっても、時間がたてば廃れてしまう可能性があります。購入する際は流行だけでなく、何年たっても飽きがこないものかも念頭に置いて選びましょう。
また、長く愛用していれば劣化することも考えられます。耐久性がある素材なのか、メンテナンスの手間など、長い目で判断する必要があります。
五月人形は誰が買うかよりも贈る気持ちが重要
昔は五月人形を買うのは「母方の実家」とされていましたが、現在では「誰が買うのか」といった明確な決まりはありません。よって、現在では五月人形は「誰が買うのか」よりも、「誰のために贈るのか」の方が重視される傾向にあります。実際に五月人形を買うときは、将来性も考慮して長く愛用できるものを選びましょう。
これから購入を検討しているという人は、この記事を参考に納得のいくものを手に入れてくださいね。
調査時期:2022年1月24日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女合計508人(男性: 387人、女性: 121人)
調査方法:インターネットログイン式アンケート