公共施設などに行くと、お湯と水に別々のハンドルがあって、それぞれをひねって温度を調整するタイプの水栓に出会うことがありますよね。

どことなく「昭和」を思わせるこの混合水栓が、アーティストの手によって“意外なもの”に変身!

造形作家・脚本家・演出家であり、舞台・美術・映像を作る団体『ゆうめい』代表の池田亮(@yyyry_ikeda)さんが制作した“ひねって回せるクリスタルハンドルの指輪”が注目を浴びています。

懐かしくも現役な混合水栓のクリスタルハンドルの指輪を作りました。実際にひねって回せます(@yyyry_ikedaより引用)

  • (@yyyry_ikedaより引用)

この投稿に対し、リプライや引用リツイートでは、「指先から放水しそう」「普通にかわいい」「これはひねりたいっ!!」など、そのリアルさやレトロなかわいらしさを称えるコメントが続々。「我が家まだこれ健在」「ばあちゃんちこれだったな」など、「まだ現役」「懐かしい」という声もありました。

さらに、「I miss (水) you (湯)と言って大事な人に渡したい」「これから結婚する方に水栓したい逸品です」など、ユーモアに富んだコメントも登場し、タイムラインが大喜利状態となりました。

ちなみに「混合水栓」とは、ひとつの吐水口から、お湯と水を混合して流すタイプの水栓金具のこと。混合水栓にもいくつかの種類があり、この指輪のようにお湯と水それぞれに別のハンドルがあるものは「ツーバルブ混合栓」と呼ばれます。

思わず目がいってしまう「クリスタルハンドルの指輪」は、いったいどのようにして生まれたのでしょうか。造形作家・脚本家・演出家であり、舞台・美術・映像を作る団体『ゆうめい』代表の池田亮さん」に、制作の経緯などをうかがいました。

「クリスタルハンドルの指輪」制作者に聞いてみた

――制作のきっかけを教えてください。

元々クリスタルなハンドルが好きでした。特別感というか、キラキラ光るものをつかんで回す感じや、中に入っている金具の反射による光り具合とか。あと混合水栓の温度は自分で回して調整しなければならないから毎回手こずった体験がより記憶に残っているところとか…。

1年ぐらい前にTwitter上でクリスタルハンドルの画像を見かけたり、実家や区役所のトイレで眺めたりするたび、「ずっと回していたいなー」と考えていたところ、今月に入って「そうだ、指輪にすればずっと回せるな」という結論に至り、作りました。

  • (@yyyry_ikedaより引用)

――こだわったポイントをお聞かせください。

ハンドルを回せるようにするところと、クリスタル部分から透けて見える金具にリアリティを出すところです。

  • (@yyyry_ikedaより引用)

実物を何回も見つつ研究しながら、ホームセンターやネットで必要な材料を吟味し、何回か実験を重ねました。素材は金属を使うなど実物感も意識しています。

――以前、建物の出入口で見かける「たわしマット」のコースターも作って投稿されていますね。

  • (@yyyry_ikedaより引用)

はい。このコースターのこだわりポイントは、素材も現物に寄せたステンレスを使っているところです。

―どちらもちょっと懐かしくリアルなアイテムですが、池田さんが手がける造形のテーマを教えてください。

テーマは「たまに夢で見るようなお店を再現すること」と「今の自分が1番欲しいと思えるものを作ること」です。記憶の片隅にある、ふとした体験にもう一度会えるような、ニッチだけど特別なアイテムをこれからも目指していきます。


造形作家としてだけでなく、脚本家・演出家としても活動されている池田さん。5月28日から、神奈川と三重で池田さんが代表を務める『ゆうめい』初のツアー公演が開催されます。

「亡き実祖父の絵を展示しながら、実父と親子で出演する、ドキュメンタリーとフィクションが両立する舞台作品となっております」と池田さん。興味がある方は、こちらもあわせてチェックしてみてください。