HISモバイルは28日、ドコモ回線の音声通話SIMが月額290円から利用できる新料金プランを6月上旬より提供すると発表しました。同社の猪腰英知社長は「業界No.1の安さにこだわりました」と強調。HISモバイルでは若年層の利用者を増やすとともに、3G停波により乗り換え先を探している利用者も取り込んでいきたい考えです。
No.1価格宣言のこだわり
猪腰社長は発表会の冒頭、「大容量のデータを使いたいお客様は大手キャリアを選びます。一方で、MVNO利用者の約80%が7GB未満の利用にとどまっています。上位80%のお客様に魅力的なプランを作ることに大きな意義があると考え、今回の新プラン導入に至りました」と新プランの基本方針を語りました。
そこでHISモバイルの新料金プランは、複数の項目で「No.1価格宣言」を掲げました。競合他社の料金プランを強烈に意識した立て付けになっています。
まずドコモ回線を利用した音声通話付きプランでは、データ通信量が100MB未満なら月額290円~、1GB未満なら月額550円~、7GBまで使えるプランも月額990円~という料金設定を実現しました。
かけ放題オプションも業界最安級。5分以内かけ放題を月額790円~、完全かけ放題を月額1,770円~で提供します。
音声通話料は(専用電話アプリを介せず)常に業界最安級の9円/30秒で提供し、高音質通話(VoLTE HD+)にも対応しています。
データ量を追加したいときも、1GBあたり200円で高速通信量を追加可能。なお、データ容量を使い切った後は、低速通信(最大200kbps)に切り替わります。
「オプションの有無を選択すれば、ご自身に最適な最安値の料金プランをつくれる」と猪腰社長。新プランの提供時期については「2022年6月上旬に提供予定でしたが、5月中旬あたり、できればGW前にも提供できる可能性があります」と話していました。
店舗展開もスタート。1号店は群馬県太田市に4月オープンの予定
MVNO利用者が不安を抱くことの上位に、サポートの有無があります。そこでHISモバイルでは、同社ならではのユニークな店舗展開を準備しました。それが「HISモバイルステーション」の全国展開です。これは、もともとHISグループでSDGsの取り組みの一環として実施していた中古スマホの修理/買取/再販売の業務に、携帯ショップとしての機能を持たせたもの。「地域においてSDGsに貢献しながら、それまで接点のなかった人に対して我々のサービスをアプローチできたら。いろんな地域に進出したい」と猪腰社長も展開に期待を寄せます。
新規加入キャンペーン、HISならではの旅行と絡めた特典なども用意されました。
現行プランはどうなる?ユーザー獲得目標は?
発表後のメディアからの質問にも猪腰社長が回答しました。
HISモバイルステーションのサービス内容については「基本的には開通までの流れを窓口でサポートします。ゆくゆくは有料のサービスも出していけたら」との考えを示します。まずは47都道府県に50店舗の出店を目指すとのこと。
このタイミングでキャリアショップを出店する理由については「買取、修理を含めた色々なビジネスを通じて、どのくらいの集客があり、収益が見込めるか検討がついてきた。また世の中にiPhoneの修理業者はたくさんありますが、Androidは少ない。そこも考慮して、いまから始めれば地方でもビジネスが成り立つ可能性があると判断しました。3G停波によりスマホに乗り換えざるを得ないユーザーもたくさんいる。このタイミングで新たな相談窓口を開設して、お客様のお力になれたら嬉しい」と説明します。
新料金プランで獲得を目指すユーザー数については「会社として以前から掲げている目標が50万回線です。これをどうやったら達成できるかを考えています。今回の新料金プランも、そのためのイチ商材。このプランで目指している目標数値があるわけではございません」と回答。
現在の料金プランは残すのか、という問いには「従来の『かけ放題』はなくし、『格安ステッププラン』も新たに置き換わります。置き換えのできない20GB以上のプランについては残す方針です」とのことでした。ちなみにプラン変更は無料。先に新規契約の受付を始めて、その数週間~1か月後に既存ユーザーの乗り換え時期が訪れるという流れを考えているようです。
最後に、猪腰社長は「弊社ではMVNOとして事業を行いつつ、HISグループの旅行業・テーマパーク事業に通信や新しいサービスを盛り込むことで、新たな価値創造をしていけると考えています。今後もHISグループ内でどんな貢献ができるか、そこに軸を置きながら頑張っていきます」と話していました。