自分の収入にはどのくらいの税金がかかっているのか、気になった方も多いでしょう。年収1,000万円はあくまで額面であり、税金を引かれて実際に手元に入るお金は少なくなります。
この記事では年収1,000万円の会社員が、年間でどの程度の税金を負担するのか、目安について解説します。税金について改めて考えてみるための参考としてください。
給料や賞与から差し引かれる税金は所得税と住民税
会社員の方が毎月受け取る給料から引かれる税金は、所得税と住民税です。毎月の給与明細を見て「こんなに取られるのか……」とため息をつく方もいるのではないでしょうか。
所得税とは国税の一種で、国に納める税金です。収入・所得額が多い方ほど税率が高くなり、多くの所得税を納める仕組みになっています。
一方の住民税は国税ではなく地方税に該当し、地方行政サービスに充てるための税金のことを指します。地方行政サービスとは都道府県や市町村によって提供されるサービスのことで、教育、福祉、ゴミ処理、消防・救急などです。
公的なサービスは国と自治体で分担しており、所得税は国、住民税は地方自治体で使われているということです。
年収1,000万円の会社員が負担する税金は?
所得税・住民税は収入だけでなく、控除も含めて計算されます。年収が同じでも各個人・世帯で控除が違うため、納税額は異なります。
年収1,000万円のサラリーマンが払う所得税と住民税について、1つの例としてシミュレーションをしますので、参考としてご覧ください。
※各種計算で用いる控除額などは令和4年時点の情報を基にしています。
▼所得税
所得税の計算式は「課税所得額×税率-税額控除額」です。たとえば課税所得額が300万円、税率10%、税額控除額が97,500円なら、300万×10%-97,500円=20万2,500円となります。
課税所得額は、収入から経費を引いた所得額から、所得控除を引くことで計算できます。
・収入-経費=所得額
・所得額-所得控除=課税所得額
所得控除には、基礎控除・給与所得控除・社会保険料控除などがあります。基礎控除は一律48万円、給与所得控除は給与によって変動し、年収1,000万円の場合の給与所得控除は195万円です。
社会保険料控除とは、医療保険料、年金保険料、介護保険料、雇用保険料、労災保険料に関する控除のことです。これらに支払った分も控除されることになります
年収1,000万円の会社員で経費はなし、社会保険料などの控除を130万円と仮定した場合、課税所得は1,000万円-48万円-195万円-130万円=627万円となります。
課税所得にかかる所得税の税率は、課税所得が多いほどが高くなります。330万円~ 694万9,000円までの場合は20%で、税額控除額は427,500円です。
よってこのケースの所得税額は627万円×20%-427,500円で、年間に支払う所得税は82万6,500円となります。
▼住民税
住民税の計算式は「所得割額+均等割額」です。所得割は所得に応じて課税される分で、均等割とは一定以上の所得がある場合に均等に課税される分のことです。
所得割の税率は10%、均等割は一律で5000円であり、住民税の基礎控除は43万円です。
年収1,000万円の会社員で、給与所得控除は195万円、社会保険料控除130万円と仮定した場合、所得割と均等割は以下のように計算されます。
・所得割:(1,000万円-195万円-43万円-130万円)×10%=63万2,000円
・均等割:5,000円
この場合、住民税は約63万7,000円です(所得割の調整控除は考慮しない)。
※収入は給料のみ、賞与はなしと想定してシミュレーションしています
年収1,000万円前後だと不利になる制度もある
年収1,000万円前後になると、下記のような制度で不利になることもあります。
・配偶者控除
・高等学校等就学支援金
・児童手当
・遺族年金
それぞれの制度は、一定の収入・所得があると、減額になったり対象外になったりすることがあります。どの程度不利になるかは、家族構成・人数などによっても変動しますので、気になる方はそれぞれの制度の詳細について調べてみてはいかがでしょうか。
特に子ども・教育関連の負担が重くなる傾向があり、家計管理に注意が必要です。税金や社会保険料が高いことも踏まえると、年収1,000万円だからといって、経済面でゆとりがあるとは限らないということでしょう。